初めての挑戦でグランプリ獲得。コラージュアーティスト「みたさん」に聞く、Adobe Expressの魅力
多種多様な素材を組み合わせることで、新たな作品を構築するデジタルコラージュ。コラージュアーティストのみたさんは、人物や花をモチーフにした美しいコラージュ作品を、SNSで積極的に発信されています。
みたさんは、Adobe MAXのロゴを使ってオリジナル作品を投稿するデザインコンテスト「MAX Challenge 2023」のAdobe Express部門のグランプリ受賞者でもあります。普段の制作ではAdobe Photoshopを使用されており、「Adobe Express」を使用したのは今回が初めてだったそう。
そんなみたさんに、Adobe Expressを使い始めたきっかけからその魅力、作品づくりへのこだわりや想いまで、詳しくお話を伺いました。
「最初に興味を持ったのは、動画編集でした。当時SNSなどで『動画編集は稼げる!』という投稿をあちこちで見ていたので、自分でもやってみようと思ったんです。
それから動画編集を学べる合宿イベントに参加し、そこで初めてAdobe Premiere Proに触れました。同時期に『画像の編集もできるといいよ』とアドバイスされ、Photoshopも使い始めました」
みたさんがPhotoshopでのデザイン制作を学んでいく上で、強いモチベーションになったのがアドビ製品を使いこなすプロのクリエイターの存在でした。Adobe Community Evangelistとして活躍するパパさんやアートディレクター兼コラージュアーティストのカズシフジイさんの作品を見て、「自分でもこんなコラージュ作品を作りたい」と思うようになったといいます。
その後、クリエイターの方が発信されているチュートリアル動画を参考に独学を重ね、アウトプットを続けていき、コラージュアーティストとして本格的に活動していくようになりました。
▲みたさんが制作したコラージュ作品
作品づくりにおけるポイントについて、みたさんは次のように話します。
「不正解がないのが、コラージュのいいところ。SNSの反応や評価で良し悪しを判断されることはありますが、クリエイティブに成功・失敗は存在しないと僕は考えています。とはいえ、作品づくりで意識していることはあります。例えば、使用する画像の画質をなるべく均一にすること。素材ごとに画質がバラつくと、違和感が生じてしまうので。
また、作品では意識的に花を用いるようにしています。花は多くの人に愛されているし、嫌いという人もほとんどいないのでモチーフにしやすいんですね。
花は、色も形状も非常に複雑です。一見シンプルな茎でも、拡大すると細かなギザギザがあるので、自動選択による切り抜きができません。精緻な手作業が要求されるので、丁寧に切り抜き作業を行います」
コンテスト応募がきっかけで、Adobe Expressに出会う
みたさんがAdobe Expressに出会ったきっかけは、「MAX Challenge 2023」でした。コラージュアーティストの友人に「一緒にMAX ChallengeのAdobe Express部門に挑戦しないか」と誘われ、コンテストへの応募を決めたそうです。今までAdobe Expressを使用した経験はなかったものの、思い立ったが吉日、早速「Dream Bigger」というお題に沿った作品の制作に取り掛かりました。
「生成AIなどの登場で、これまでできなかったことがどんどん実現できるような時代がやってきました。そんな想いを、作品で表現したいと考えました。Adobe Expressでの制作は初めてでしたが、手軽な操作感と今までのデザイン経験に助けられましたね。
普段Photoshopで作品を制作する時は、柔らかさが感じられる表現を意識しています。Adobe Expressでも同様で、頭から何かが飛び出すという表現に波のような曲線を加えたいと思ったんです。そういった時に、Adobe Expressの消しゴム機能は重宝しました」
Adobe Expressの消しゴム機能は、画像の背景を削除する時に、切り抜きエリアを微調整できるツール。Photoshopのマスクのように、画像の切り抜きを行った後もかんたんに以前の状態に復元できることが特徴です。この点が、みたさんの制作の助けになったといいます。また、コラージュに使う画像素材を集める時にも嬉しい発見がありました。
「Adobe Expressで利用できるデザイン素材は、 Adobe Stockと連携している点がいいですね。Adobe Stockで素材をダウンロードして、その素材を配置して……という工程が不要なのでとにかく楽だなと感じました。
受賞作品に使用した素材は、実は検索して最初に表示されたものを使っているんです。いくつか条件を選択して、表示された素材がイメージにぴったりで。『これだ!』と思い、迷わず採用しました。時間をかけることなく、すぐにイメージ通りの素材を見つけられることができました」
▲グランプリを受賞した作品
作品に綴られている「想像がどんどん現実になる」という言葉にも、工夫が凝らされています。フォントはポップになりすぎないよう、明朝体を選択。中央の女性に視線が集まるよう、画像の右端に縦書きで配置した上で、文字間隔を調整して美しさを追求しています。さらに、デザインを邪魔しないように、文字色に黒を使用。こうした試行錯誤が、グランプリ受賞につながったといえるでしょう。
Adobe Expressには、クリエイティブに必要なものが揃っている
Adobe Expressを使った初めてのデザイン制作で、見事グランプリに輝いたみたさん。実際に使用してみて、「Adobe Expressなら、クリエイティブに必要な基本的なことが何でもできると思った」と語ります。
「色調補正やコントラストなどは、Adobe Expressのアプリ内で問題なく調整できます。画像の切り抜きも精度が高いし、デザイン素材も使いやすいです。投稿するSNSに合わせて画像をすぐにリサイズできるなど、Photoshopやllustratorよりも便利なのではと思うほど、機能が充実しています。
レイヤーの管理がしやすい点も、Adobe Expressの大きな魅力ですね。ブラウザ上で視覚的にレイヤーを管理することができて、クリエイターのことをよく理解してくださっているなと感じます。
これだけの機能を、Adobe Expressは基本無料プランの範囲で使えるわけです。普段からPhotoshopに慣れているクリエイターだけでなくデザインツール未経験の人にも、『とりあえず使ってみてはどう?』とおすすめしたいアプリだと思います」
イメージしたものをさっと作れる手軽さが魅力である一方、コラージュ作品のクオリティを追求する上で、Adobe Expressに対してやや物足りないと感じる部分も。
「デジタルコラージュでは、作品全体の一体感を高めるために、より細かく、より精緻に素材を切り抜くことが重要です。『1ピクセル単位まで画像の切り抜きにこだわりたい』という場面では、より小回りがきくPhotoshopの方が優れていると思います。とはいえ、Adobe Expressの消しゴム機能は操作も難しくなく、とても便利です。まだ試したことのない人は、ぜひ一度この機能を体験してほしいですね」
生成AIとは、「友達になる」スタンスのほうがうまくいく
2023年11月に開催された「Adobe MAX Japan 2023」を通じて、みたさんが強く感じたのは、Adobe Fireflyなどに代表されるAI技術の進歩でした。特に生成AIの進化によってコンテンツ制作のハードルが一段と低くなり、より多くの人々が気軽に創作活動を楽しめるようになりました。
みたさんは、近い将来、人々が作り出すクリエイティブの質はAIによって大きく底上げされると考えています。
「重要なのは、デザインツールや生成AIの発展に一喜一憂するのではなく、クリエイターである僕たちが何をすべきかだと思います。日々進化するAI技術に絶望するのではなく、むしろ『友達になろう』という距離感のほうが、うまくAIと付き合っていける気がします。AIで代用しにくい部分で差別化を図るなどして、オリジナリティをどう出していくかを模索していきたいところです」
AIなどの技術が急速に進展する中で、様々なクリエイターから刺激を受けながら、高い志を持って自己研鑽を続けるみたさん。最後に、今後の活動について伺いました。
「2024年1月からは一般企業に就職するため、まずは新生活の基盤を整えます。余裕が出てきたら、また自分の作品を発表したり、デザインのご依頼を受けたり、個展を開きたいと考えています。
イベントごとは大好きなので、『Adobe MAX Japan』は今後も必ず参加します。『MAX Challenge』の受賞も狙いながら、自分なりにクリエイティブを楽しんでいきたいですね」
見田 寛和(みたさん)| @nagomian_nise
大阪在住。SNSで流れてきたコラージュ作品に一目惚れし、Photoshopでの作品制作を開始。コラージュの自由さ、Photoshopの可能性の無限性、すべてが新しく楽しく感じているうちにPhotoshopのヘビーユーザーに。2024年もアドビ主催のコンテストでの受賞が目標。