デザイン経験ゼロのブルーベリー農家が、高品質なInstagram投稿やPOPを自作するまで
ブルーベリーの生産量・全国3位を誇る群馬県。恵まれた土壌を持つ渋川市で、BerryFarm斉藤農園の斉藤美保さんはブルーベリーやいちごを栽培しています。
「採れる量は少なくていい。とにかく良いものをつくりたいんです」そう語る斉藤さんのいちごやブルーベリーは色合いが美しく、大粒。丹精を込めて作られたブルーベリーは、3年連続で群馬県知事賞を受賞する快挙を成し遂げています。
デザイン制作に縁のなかった斉藤さんですが、現在はマルシェ出店用のプライスカードやPOP、シールからInstagramへの投稿画像の制作まで、幅広くAdobe Expressを活用されています。「使うのがとにかく楽しい」と語る斉藤さんに、ブルーベリーやいちごの魅力を伝えるAdobe Expressの使い方や、その醍醐味について教えていただきました。
斉藤さんがベリー類の栽培を始めたのは、2018年のこと。高品質なベリー作りに尽力するうえで、斉藤さんには悩みがありました。
「どうしたら、育てたいちごやブルーベリーを手に取って頂けるのだろうと、ずっと悩んでいました。直売所でいちごやブルーベリーが何種類も並んでいると、お客様は何を基準に選ぶかわかりづらいようで……。
これまで、たくさん作るよりとにかく『良いものを作りたい』という気持ちで果物を栽培してきました。大粒のブルーベリーを作ると収穫量が減ってしまいますが、すごく魅力的な品種なんです。
いちごは“やよいひめ”という品種です。あまり知名度はありませんが、知られていないことが勿体ないくらい美味しくて。この魅力を伝えたいし、ぜひ味わっていただきたいと思っています。
ですが、どんなに美味しい果物を作ったとしても、食べてもらえなければ意味がありません」
マルシェや直売所で果物を手に取ってもらうには、第一印象が大切。そう考えた斉藤さんは、消費者と商品の出会いを後押しするため、POPやショップカードの制作を考えるようになります。しかし、問題は他にもありました。
「正直、デザインにお金はかけられません。うちは小さな農園で金銭的な余裕はありませんし、外注しても良いものか悩みました。ですが、私たちがどんな想いでいちごやブルーベリーを作っているのかを伝えるうえで、カードや手紙の制作はやっぱり最適な方法なんです。自作したい気持ちもありましたがうまく作れなくて、本当に困っていたのです」
商品の魅力を伝えたい気持ちを捨てられず、5年間の検討を経て斉藤さんはパンフレットの制作依頼を決心します。
「本当に、パンフレットを頼むだけでも5年ほど悩んだんですよ。うちみたいな零細農家は、お金をかけられないですから。
それに、『うちみたいな小さな農園に作ってもらえるのだろうか』という気持ちもありました。でも写真編集のスキルはないので、『写真を1枚入れて、隣に文章を並べて書く以外、やっぱり私にはできない』と思って」
彼女がAdobe Expressと出会ったのは、知り合いのデザイナーにおすすめされたことがきっかけでした。
「ブルーベリーの写真をSNSに投稿していることをデザイナーさんにお話ししたら、Adobe Expressを紹介していただきました。『無料でPOPやカード作りもできるから、使ってみてはいかがですか?』と。しかも、憧れのツールであるAdobe Illustratorを出しているアドビさんの製品。飛びつくようにアプリを入れました」
使い方は「直感的に動かすだけ」
実は斉藤さん、これまでも画像編集アプリを利用したことはありました。しかしどれもうまく使いこなせず挫折。商品の写真に、自分で文字入れすることが憧れだったそうです。
「デジタル機器に慣れておらず、写真の編集スキルもありません。他の写真加工ツールも使ってみたのですが、続けられなくて。Illustratorも使えたら素敵ですが、とてもじゃないが自分では使いこなせないと感じていました。
初めてAdobe Expressに挑戦してみたら、なかなか良いものができたんです。驚きましたね。誰かに使い方を教わったわけではなく、直感的に手を動かしただけでした」
文字を入れる作業に慣れてくると、今度はテンプレートが気になりはじめたそうです。
「Adobe Expressのテンプレートは素敵ですよね。当時は年末だったのでクリスマスカードを作ってみようと思い、サンタさんの袋をいちごに変えてみたり、ツリーの飾りをブルーベリーにしてみたり、いろいろ試してみました。
こちらは、ネモフィラ祭りのテンプレートです。ネモフィラのブルーがブルーベリーの色と近いと思って、あてはめてみました。スキルに自信がないからこそテンプレートを使って『こうしたら楽しいかな、ああしたら素敵かな』と楽しんでいます」
現在は、父の日や母の日などの季節のイベントのほか、お客様へのプレゼントに誕生日カードを作ることもあるといいます。SNSやECサイトに載せる画像の加工にも、Adobe Expressを活用されています。
「自分の撮った写真を簡単に加工でき、素敵に変身させることができます。最高ですね」
スマホで撮った写真をそのままアプリで編集でき、保存も簡単。この手軽さもAdobe Expressのポイント。諦めていたデザイン制作を手軽に行なえるようになり、お客様とのコミュニケーションを取りやすくなりました。
自作することで、デザイナーとの共通言語ができる
かつては消費者に商品を手に取って貰うべく、果物を綺麗に並べたり、パッケージに工夫をしたりしていた斉藤さん。現在は写真だけでなく、マルシェ用のプライスカードやPOP、シールまで作成しています。
「お客様の背中を押すのは、やはり第一印象です。POPやシールは果物の良さを伝える手段としても効果的で、デザインの力をひしひしと感じています」
Adobe Expressを使用する以前、斉藤さんは業者にシールを発注していたこともあったそうです。しかし、成果物になかなか納得できなかったとか。
「高いクオリティで印刷したかったので、業者さんに発注したのですが、実際に使ってみたら違和感があって……。
そのとき『自分の求めるデザインを相手にお伝えすることは、とても難しい』と気づいたんです。なんせ、私が何を求めているか、どんなことをお客様に伝えたいか、私自身がわかっていなかったのですから。
そこでAdobe Expressを使って、様々なデザインを試すことにしました。作成したものを自宅でシールに印刷し、商品に貼ってみました。自宅で印刷したものなので鮮明な画像ではありませんでしたが、試行錯誤するうちにデザインに求めていることがはっきりしてきました」
その結果、『土から大切に育む』という農園の想いをお客様に届けたい、というシールの目的が明確になり、伝えたいメッセージとイメージをデザイナーに具体的に伝えることができるようになったそうです。
言葉だけでなくビジュアルで伝えるデザインの制作を依頼する際、デザイナーに対して求めているものが伝えられなかったり、そもそも自分の求めているものがわからなかったりするケースが多くあります。
Adobe Expressでデザインのイメージを自作することで、デザインに求めている要素が明確になり、プロのデザイナーとのコミュニケーションをより円滑にすることができます。
コンテンツ制作が楽しみに変わった
「お客様にいちごやブルーベリーの魅力を伝えたい」という想いでAdobe Expressを使い始めた斉藤さんですが、今では「仕事であることを忘れるほど楽しんでいる」といいます。綺麗でかわいいデザインを作るため、頻繁にAdobe Expressを利用されているそうです。
「沢山あるテンプレートを見るのがとにかく楽しくて、暇な時間に眺めることもあります。一度制作を始めると『ああでもない、こうでもない』と試行錯誤しはじめてしまい、バリエーションが沢山できあがります。それを見て自分で喜んでいますね」
仕事での活用はもちろん、私生活でも制作した画像をご自宅に飾っているそうです。Adobe Expressを活用してからの心境の変化についても、教えていただきました。
「私が撮影した写真が素敵な姿に変身するので、写真と一緒に自分も素敵になった気がするんです。綺麗な写真が手元にある、それを私が作っているという事実が嬉しくて、写真を印刷してみたり、飾ってみたりしています。Adobe Expressを使ってから、とても生活が豊かになりました。
私みたいな素人でもデザインを楽しむことができて、本当にありがたい。とても感謝しています」
Adobe Expressを使えば、専門的なデザインの知識や経験がなくても、斉藤さんのように様々な形で画像や動画の編集を楽しんでいただけます。まだ利用をされたことがない方は、ぜひ試してみてください。