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表面を表現するテクスチャの作成が仕事であるテクスチャアーティストにとって、光線によって表面素材がどのように見えるかを理解することは重要です。
物理ベースレンダリング(PBR)とは、光により異なって見える素材をより正確に表現するための、シェーディングとレンダリングの方式のことで、物理ベースシェーディング(PBS)と呼ばれることもあります。3Dモデリングワークフローのどの側面が説明されているかによりますが、PBSは通常、シェーディングの概念に固有であるのに対し、PBRは、レンダリングとライティングに関連するものです。両方とも、物理的な正確さを重視してアセットを表現するプロセスを表しています。
レンダリングシステムを使って制作するコンテンツの種類に関わらず、シェーディングに物理ベースレンダリング方式を使用することで、ワークフローの効率が向上します。
フォトリアリズムという芸術のジャンルでは、写真のように見える画像の制作が重要視されます。同様に、PBRの目標は、光によって物体がどのように見えるかを正確に表現することです。これにより、視覚体験が生み出されたり、変化したりします。
現実世界に存在するように見えるものを作成すると、より没入的な体験が生み出せます。「背景に溶け込むため、見ている人はストーリーに集中するのです」とMcDermottは述べています。偽物とわかるものが見えると、見ている人の関心がストーリーから離れてしまいます。
PBRワークフローで作業しているアーティストは、基本反射率、つまり、反射される色と光の最小量に留意する必要があります。
「鏡面反射」とは、表面で反射された光のことです。光線は表面で反射され、異なる方向に向かいます。これは、光の法則に従って発生します。つまり、完全に平らな表面では、反射角と入射角が等しくなります。
ただし、ほとんどの表面は完全には平らでないため、表面の凹凸に従い様々な方向に光が反射します。このように光の方向は変わりますが、光量は一定です。
凹凸の多い表面では、ハイライト部分が大きくなり、暗く見えます。滑らかな表面では鏡面反射が維持されるため、適切な角度から見ると、明るく見えたり、強い光を感じたりします。
拡散、散光、表面化散乱という用語はいずれも、内部で吸収されているか、散乱している光の効果を表します。光が散乱すると、光線の方向がランダムに変わり、方向のずれの大きさは、素材の表面の粗さによって異なります。したがって、粗い表面では光が散乱します。散乱によって、光の方向はランダムに変わりますが、光の量は変わりません。時には、散乱した光が、再び表面に当たり、再び目に見えることがあります。
散乱量が多く、かつ吸収量が少ない素材は、関与媒質または半透明材と呼ばれることがあります。その例は、煙、ミルク、肌、ヒスイ、大理石です。
半透明材を通過するとき、光は吸収されるか、散乱することがあります。光が吸収されると、熱など、別の形のエネルギーに変換されるため、光量が減少します。このような色の変化は、波長によって異なりますが、光線の方向は変わりません。
まったく散乱せず、吸収量も少ない場合は、光線が表面をまっすぐ通過できます。これが該当するのはガラスです。透明な水のプールで泳いでいるときは、目を開けると、透明な水を通して周りが見えます。しかし、そのプールの水が汚れている場合は、汚れの粒子で光が散乱するため、水の透明度が下がり、遠くが見えなくなります。
物質の中を光が通過する距離が長いほど、吸収されたり、散乱したりする光が多くなります。吸収されたり、散乱したりする光の量が、物体の厚さによって左右されるのは、このためです。
フランスの物理学者であるAugustin-Jean Fresnel氏により発見され、グラフィックスの教授であるWenzel Jakob氏が引用したフレネル効果によると、表面で反射される光の量は、光を感じる視角によって異なります。
再び、プールの水で説明します。水面から垂直に真下を見ると、プールの底が見えます。このように表面から見ると、光の入射角がゼロ、つまり、垂直入射となり、表面に対して光が垂直に通過します。水面に対して平行に極めて近い角度からプールの水を見ると、水面での鏡面反射が強くなり、水面より下がまったく見えなくなります。
テクスチャでの作業を続ける場合は、これらの主要な3Dライティングの概念に関する知識を増やすことが必要になるでしょう。知識が増えると、技術的観点からPBRの機能に対する理解が深まり、芸術的観点からもPBRを理解しやすくなります。PBRの方法論をよく採用しているMcDermottは、「PBRを理解すると、作業負荷が大幅に軽減されます」とも述べています。「クリエイティブな作業にかける時間を増やし、優れた作品を制作することができます」。
PBRについて詳しくは、Allegorithmicから出版されている、Wes McDermottの著書『The PBR Guide』をお読みください。