PC不要、スマホだけでポスター制作。「天草納豆」に聞く、Adobe Expressの活用法

圧力釜で蒸し、赤松で作られた経木で包み、炭火を使って温度調整した納豆を丁寧に発酵させる――独自の製法で作る東京・三鷹「天草納豆」は、多くのテレビ番組でも取り上げられる人気店です。パリの日本食イベントにも出展するなど、海外でも注目を集めています。

そんな天草納豆で、店頭に立つ傍ら、店舗のポスターやSNSでの告知を担当しているのが川岸玄樹さんです。画像処理検定、計算技術検定、プログラミング技術検定、時計修理技能士など多彩な資格を持つ川岸さんは、お客さんとして食べた天草納豆の味に感動したことがきっかけで就職することになったのだそうです。

「高校で情報処理を学んだ後、前職は時計修理士として働いていました。ロレックスなどの高級品を扱うこともありましたね。現在でも時計のデザインはやっていて、生成AIを使ってデザインした時計を作ることもあります。

天草納豆の特徴は、赤松の皮で包んで熟成させることで納豆特有の匂いと粘りを抑えていることです。豆の味が、しっかり味わえる作りになっています。すべて国産の遺伝子組換えでない大豆を使用していて、お店の中で一品一品手作業で完成させています。

通常の納豆以外にも、ドライ納豆も製造しています。どちらも赤松の皮に包んでいるため、松の芳醇な香りがしますよ。店頭販売のほかネット通販も行っており、遠方のお客様にも味わっていただいています」

納豆の魅力をより多くの人に伝えるため、川岸さんはクリエイティブの制作に「Adobe Express」を活用されています。川岸さんがAdobe Expressを使い始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「前職時代、忘年会で案内チラシのデザインを頼まれたことがありました。ただ、当時は職場にPCがない環境だったんですね。 『スマホだけでデザインを作れるツールがないか』と探してみたところ、まとめサイトでAdobe Expressが紹介されているのを見つけました。無料で使えるとのことだったので、これはいいかもと思って使ってみたんです。

使ってすぐ、とてもいいツールだと感じました。豊富なテンプレートが用意されていて、そのまま使うもよし、写真をオリジナルのものに変更するもよし。汎用性がすごく高いですね」

フォントや色などを少し変えるだけで、かんたんにチラシができあがることにも感動したといいます。

「私は情報処理の学校を出ていますが、デザインの専門知識はありません。そういう人間でも、感覚的にいいなと思うものを選び、文字を変えたり写真をのせるだけで立派なチラシを作ることができる。本当にすごいと思いました。

テンプレートの完成度の高さ、種類の豊富さにも驚きました。プロのデザイナーが作ったと言われても違和感がない。それを少しアレンジするだけで、商業レベルで使えるのは便利すぎますね」

PCを所有していない人でも、手軽に使える

川岸さんは、特に店舗に掲示するポスターやチラシを作る上で、Adobe Expressを活用されています。新商品の案内やキャンペーンの告知など、お客様に訴求したい情報を入れるだけでデザインが作れてしまう点がとても便利なのだとか。

実際に店舗では、Adobe Expressを使って制作されたポスターがいくつも設置されていました。商品のパッケージにマッチした、落ち着いた色使いの上品なデザインが目を引きます。

こちらのドライ納豆のポスターは、「和食ケータリング」のテンプレートをベースにスマートフォンで制作したもの。ポスターのテンプレートは、商品の写真や店舗へのアクセス、問い合わせ先などの必要な情報が一目でわかるように構成されているため、重宝しているといいます。

A collage of food on a table Description automatically generated

▲左がテンプレート、右が川岸さんの制作したポスター

川岸さんがAdobe Expressを使う上で、特にこだわっているポイントを聞いてみました。

「一目ではテンプレートを使っているとわからないようにすること、ですかね。以前、他の企業さんの広告でテンプレートそのままを使っているようなデザインを見かけたことがあって、『自分だったら、もっとオリジナリティーを出すのに』と思った記憶があります」

オリジナリティーを出す上で工夫しているのがフォント選びやテキスト効果。インパクトを出すために文字にアウトラインを追加したり、ドロップシャドウを入れて文字を引き立たせたりと、様々なアレンジを加えています。

「Adobe Expressでよく使う機能としては文字のアウトライン(縁取り)ですね。背景写真と文字が同化しないように、文字の周りに白や黒の縁取りを入れる機能はほぼ毎回使っています。 加工系のアプリだと、文字をデザインするのは後回しになりがちなんですよね。Adobe Expressはテキストを装飾する機能が豊富なので、伝わりやすい文字に作り込めるんです。

写真を差し替えたり、フォントや色を変更したりと、細部にこだわってアレンジするようにしています。手間をかけると、どうしても時間はかかるんですけどね」

A screenshot of a phone Description automatically generated

▲スマホ上でアウトラインの色や太さを調整したり、シャドウをつけたりできる

「SNS用の投稿画像も作っていますよ。例えばイベント出店の告知など、特にお客様の興味を惹きつけるためには、写真に文字を重ねるだけだと味気ないので、Adobe Expressを使っておしゃれに仕上げています」

川岸さんは、天草納豆の広報活動にAdobe Expressを利用し続けている理由として、アプリで手軽に画像を編集し、すぐにSNSで投稿できる点を挙げています。店内の様子やおすすめの商品をスマートフォンで撮影し、リアルタイムに近い状態で発信できるため、よりお客様とのコミュニケーションが取りやすくなります。

「スマホしか持っていない、PCを所有していない人でも手軽に使えるのがいいですね。普段は店舗で販売をしながらSNS運用もしているので、なかなかPCを開く時間が取れないんです。何かを作りたいと思ったらすぐに写真を撮って、そのままスマホで作業を完結できるのは大きな魅力ですね。

Adobe Expressを使えば、デザイン制作のハードルがぐっと下がります。仕事中、『明日はこのイベントがあるな』と気づいたらアプリを開いてチャチャッと作ったり。テンプレートを選んでから文字入れまで10分~20分程度でできてしまうので、タイムリーに届けたい内容を届けられるのがありがたいです。

例えば月に1回、久我山にあるBar『SOU』にて納豆BARというイベントをやっているのですが、告知用の投稿を作ってInstagramに上げたりしています。投稿を見てお店に足を運んでくださる方も多いですよ」

A poster of a liquor store Description automatically generated with medium confidence

こうしたSNSでの日々の情報発信を通じて天草納豆の評判が広がり、新聞やテレビなどの取材につながっているのかもしれません。

天草納豆の魅力を海外へ

最後に、川岸さんに今後はどのような活動に力を入れていきたいのかも聞いてみました。川岸さんいわく、今後の目標は「海外展開」。納豆独特の匂いが苦手という方にも「天草納豆なら、おいしく食べられる」と好評なことから、近年では海外のメディアにも取り上げられ、ベトナムやタイ、アメリカなど海外からのお客様が増えているそうです。

「海外展開を見据えて英語版のカタログを作る機会があって、Adobe Expressで日本語版を作成し、それを複製して英語版を作ることもあります」

Adobe Expressのデスクトップ版にはコンテンツを多言語に翻訳することができる「翻訳」機能があり、川岸さんは海外のお客様に向けて、こういった機能を今後もっと活用していきたい、と語ります。

「現在は、納豆を世界に広めるための活動をしているところです。2024年3月からタレントさんを『納豆王子』(天草納豆アンバサダー)として起用させていただきました。彼を世界に売り出そうとしていて、最初に露出するのは読売新聞さんの社会版なんです。

一昨日ファンクラブを作って、もう40人のファンが集まりました。世界進出を真剣に考えているので、ぜひチェックしていただけるとうれしいです(笑)」

天草納豆

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