写真にボケ加工を施す方法
被写界深度とボケの効果を理解し、写真に美しいボケを加えましょう。
ボケで写真をスタイリッシュに
写真の背景をぼかすのは、写真をプロが撮影したように魅力的に見せるテクニックのひとつです。ボケを使用すると、画像から被写体が浮かび上がり、写真で見せたいものがグッとわかりやすく伝わるようになります。「写真家として、また芸術家として、メッセージ性のある作品に仕上げるように心がけています。撮影技術を習得すると、自分が世界に発信したいことと、そのメッセージに込めるスタイルの選択に目を向けられるようになります」(写真家/Grace Riveraさん) ボケ味のある写真を撮るには、練習と勉強を重ねることが必要です。練習を繰り返すことで、撮影時やソフトでの編集時に、ボケ効果を使用して、写真をより思い通りにコントロールできるようになります。
ボケ味とは
ボケ味は海外でも、「boke」として 「レンズが焦点から外れた光の点を表現する様子」 と定義されています。これは主観的な用語で、たとえば「その画像にはいいボケ味がある」というように使い、一般に画像背景のぼかしの美しさを指します。
芸術的なメッセージを伝えるボケ味のある写真を作成するには、練習と勉強が必要ですが、編集ソフトウェアで作成されたものであっても、写真のボケは画像に美しさとインパクトを与えます。
ボケ効果を計算に入れてレンズを選択する
撮影したい種類の画像を撮影するのには、レンズを購入する前にどのレンズが最適かを知ることが重要です。
浅い被写界深度で撮影をする場合、単一の被写体を焦点にできますが、その焦点から離れるほどぼやけていきます。こうした撮影には、よりF値(絞り)の数値が低いレンズが必要になります。開口部を目の瞳孔のように考えてみましょう。絞りを開き、開口部を広くするほどより多くの光を入れることができるようになり、被写界深度は浅くなりますが多くの範囲をぼかすことができます。絞りを絞ると開口部は狭くなり、被写界深度は深く、ボケは少なくなります。
質の高い美しいボケ写真を撮影するには、F値の低いレンズが必要です。最大のボケ味を得るには、F値1.2または1.4に設定できるレンズがよいでしょう。ズームレンズや単焦点レンズで焦点距離を長くするのもボケを大きくするのに役立ちます。より多くのボケ味を求める場合は、70ミリ以上のレンズ焦点距離をおすすめします。
シャッタースピード、絞り、配置とボケの関係
実験として、果物のボウルのような明るい照明の静止物から始めて、狙ったボケ味を表現できるまでトライアルショットを撮りましょう。
シャッタースピード:シャッタースピードは、カメラのシャッターが開いて、カメラのフィルムまたはセンサーに光が当たる時間のことを指します。カメラの絞りを開くと取り込まれる光量が増えるためにシャッタースピードより高速に設定でき、結果、鮮明な写真を撮影することができます。シャッタースピードとF値を変更して、ボケがどのように変化するかを確認しましょう。
絞り:レンズ内部にあり、取り込む光量を決定しているのが絞りです。絞るほど取り込む光量は少なくなり、長いシャッタースピードが必要になります。逆に開くと取り込む光量が多くなるため、短いシャッタースピードでも撮影できるようになります。同時に絞りは焦点の合う範囲「被写界深度」を決定しており、開くほど浅く、絞るほど深くなります。F値を変更して自由に撮影してみましょう。
配置:カメラと被写体の距離、被写体と背景の距離は、すべてボケに影響します。被写体までの距離を変えたり、被写体と背景の距離を変えたり、さまざまな位置から撮影をして、レンズの作るボケがどのように変化するかを確認しましょう。
焦点:フォーカスする被写体により、ピントの合う面は変わります。被写体のいろいろな部分にフォーカスをして写真を撮影し、どのような仕上がりになるかを確認してみましょう。このとき、オートフォーカスはオフにしておきます。「カメラが判断するのではなく、フレームで何に焦点を合わせるかを自分で決定したいのです。オートフォーカスをオンにするのとオフで撮るのでは、大きな違いが生まれます」(写真家/Khara Plicanicさん)
撮影後の編集で、よりよいボケ味を出す
Adobe PhotoshopやAdobe Lightroomのような写真編集ソフトを使用すると、美しいボケ効果をかんたんに作り出すことができます。
「フィールドぼかし」フィルターで画像に基準となる焦点を設定すると、ほかの部分に多彩なぼかしを作成できます。設定スライダーを増減し、どのような種類の背景ボケを作れるか、試してみましょう。
ボケを直接、コントロールすることも使用できます。「フィールドぼかし」フィルターには、画像のボケの色と強度を修正および変更するために使えるボケのカラースライダーが用意されています。
繰り返しになりますが、実験こそが成功への道です。最初の画像が思い通りにならなかったとしても、がっかりしないでください。ベテランの写真家でさえ、美しいボケ味を獲得するために長い時間を練習に費やしています。「これらの動きを何度も何度も繰り返して、ようやく使いこなせるようになりました。経験を積み重ねると、自分の目が露出計のようになり、希望通りの仕上がりを実現するためにはどのような設定が必要か、わかるようになるのです」(ベストセラー作家で写真家/Carli Davidsonさん)
ボケの実験を重ねていくと、いろいろな選択肢やアレンジ方法が見つかります。殻を破って、自分だけの写真スタイルを磨き始めましょう。
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