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拡散光とは?
なぜ夕暮れ時やゴールデンアワーに撮影した写真が昼間に撮った写真より良く見えるのか、またスタジオで撮ったポートレート写真はなぜ、被写体を照らす最適な光を捉えているのか、と疑問に思ったことがあるでしょう。その答えは拡散光にあります。
拡散光、またはソフトな光はフィルターにかけられたた光のことです。薄いカーテンを通って入ってくる太陽光は拡散光です。裸電球が放つ直接の光に対し、ランプシェードを通した光は拡散光です。ランプシェードは光を和らげ、拡散します。ゴールデンアワーの太陽は角度が低く、大気が光を拡散するディフューザーの役目をするので、柔らかな光となります。
同様に、ディフュージョンシートをフィルターとして使えば、1日のどのような時間帯でも、太陽や別の光源からの強い光を柔らかく、美しい光にすることができます。
撮影:カレブ・ガスキンス
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硬い光と柔らかな光の違い
硬い光、または直接光は、濃い影と鋭く明るいハイライトを作り、強いコントラストを生み出します。例えば、雲の全くない午後の直射日光は硬い光です。
硬い光は真っ直ぐに降り注ぎますが、柔らかな光はいろいろな方向に拡散します。どちらもディレクショナルライト(被写体に90度または270度以外の角度で当たる光)として使えますが、柔らかな光が低いアングルから被写体を照らす時、画像のコントラストが低下します。そして柔らかな影とハイライトのシーンが生まれます。例えば、正午の真上から照りつける太陽と、水平線に沈む夕日の違いを考えてみましょう。
撮影の距離も重要です。理屈に合わないかもしれませんが、「光源が被写体に近いほど、光は柔らかくなります」とガスキンスさんは言います。高い空の一点にある太陽は、顔のすぐ近くにあるロウソクより、強い光を放ちます。
しかし、拡散光を使った写真を撮る際には、屋外や真昼での撮影を避ける必要はありません。適切なツールとノウハウがあれば、自然がどのような光を投げかけようと、拡散光を使うことができます。
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機材を揃えるか、自分で作るかは自由
「柔らかな光を作るのに多くの機材はいりません」とガスキンスさんは言います。スタジオ並みの良質な光は、高価な機材を揃えたプロのみが作り出せるとは限りません。予算に関係なく拡散光は作ることができます。しかも、方法はたった1つではありません。
どのような拡散光のテクニックを使おうともその考え方は同じです。すなわち、光源と被写体の間に半透明のスクリーン、シート、またはフィルターを設置すれば硬い光を拡散してソフトな光を作ることができる、ということです。この考え方を理解すれば、身の回りにあるどのような物でも、光を拡散するのに使うことができます。窓のカーテン、ベッドシーツ、ソフトボックスのフォームボード、反射板キットなどが代用できます。
ソフトボックス・ディフューザー
ソフトボックスは簡単な箱状の道具で、光を反射するために内側が銀色になっていて、白の拡散レイヤーを光に被せます。ソフトボックスは光がスクリーンを通る時に光の方向を定めて光を拡散させます。ほとんどの写真スタジオで、光を調整するための必需品となっています。傘やスクリムも、光を拡散する道具としてよく使われますが、光の形状が少し異なります。
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反射板と5点セット
大変使い勝手が良く、手軽な価格で購入できる照明器具が反射板の5点セットです。梱包しやすいディスクには、リバーシブルの反射素材のレイヤーが付いています。それを調整すると下の拡散レイヤーを出すことができます。このレイヤーで光量を調整できます。
暗い影の部分に光を当てたい場合は、反射レイヤーに光を反射させて被写体に当てます。強い光を拡散したい場合は、反射レイヤーのジッパーを開けて、ディフューザーを被写体と光源の間に配置します。この便利な機材は、2,000円程度で購入できます。
「光は拡散すればするほど、柔らかくなります。「しかし、ディフュージョンシートの数が多ければ、その分、光も強くしなければなりません。それはシートのレイヤーの数だけ、通ってくる光の量が減るからです」とガスキンスさんは説明します。
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室内で拡散光を作り出す方法
室内で拡散光を見つけたい場合は窓辺を見てみましょう。自然光を利用しているスタジオの多くは南向きに窓があり、安定した拡散光を1日中取り入れています。被写体の位置を、窓に近いが直射日光の当たらない場所にし、自然の拡散光を使ってクローズアップの写真を撮ります。よりソフトな光にしたい場合は、窓にカーテンを引きます。なるべく半透明のカーテンを使います。
光を完全にコントロールしたい場合は、ソフトボックスやその他のライトモディファイヤーを使って、被写体に光を当てます。被写体をより魅力的に見せるには、ソフトボックスを被写体から30度の位置にセットします。または、他のポジションにして色々な効果を試してみましょう。1つか2つの照明で、様々な外観やムードを表わすことができることに驚くことでしょう。
「スタジオの照明で撮影する時は、最も大きなソフトボックスを使って最もソフトな光を出すようにします」「もしスタジオに白い壁がある場合、光を壁にバウンスさせて、壁を巨大なソフトボックスにしてしまいます。もしライトモディファイヤーや、ディフュージョンシート、スクリムなどがなければ、照明2個と壁を使って光を調整できます」とガスキンスさんは説明します。
屋外で拡散光を作り出す方法
写真をどのような外観やムードにしたいかによりますが、屋外では強い光を自分で拡散することもでき、または母なる自然にまかせて、自然の光をそのまま使うこともできます。
天候の良い日に強い光を拡散するには、ライトモディファイヤーやディフューザーを使います。反射板5点セットは大変便利な器具です。屋外であれば照明、スタンド、電源もいりません。
曇りの日には、天気そのものを利用しましょう。雲の多い日は、良い風景写真は撮れませんが、低い空が自然のディフューザーとなり、ポートレート写真には格好の天気となります。
曇り空の他にも、光のアングルや時間帯による光の違いを利用することもできます。「もし太陽の光をコントロールするのに何も機材がない場合は、最も良い方法は早朝や夕方に撮影することです。その時間帯には、最もソフトな光になります」とガスキンスさんは言います。
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光をコントロールする
様々なタイプの光の性質を知り、その利用方法を理解できると、光の拡散も簡単にできるようになります。様々なツールやテクニックで拡散光を試し、好みのスタイルを見つけましょう。照明をセットする時に肝心なのは、何が最良の方法なのかではなく、自分にとってどのような照明が最良なのか、ということです。
「自然の光をよく観察して、光がどのように変化するか分かるようになりましょう。私はそのようにして、スタジオの照明の使い方を学びました。何度も試行錯誤を繰り返すのみです」とガスキンスさんはアドバイスします。
これで拡散光の基本的な原理が理解できたことでしょう。外に出かけて行って、光を見つけ、作って、思い通りの写真を撮影しましょう。
協力
カレブ・ガスキンス