稟議書の書き方と、承認を得るコツ【テンプレート付き】
「稟議書作成は面倒で時間がかかるもの」と思っている人は多いのではないでしょうか。
また、稟議書を作成する際に、何をどう書けばよいかわからない、どんな点に注意して書けば承認されるのかわからない、といった悩みを持つ人も多いでしょう。
そこでこの記事では、稟議書の基礎知識や書き方・書く際の注意点をご紹介します。
無料の稟議書テンプレートも用意しているので、ぜひご活用ください。
目次
【無料】利用シーン別の稟議書テンプレート
利用シーン別に、稟議書のテンプレートを用意しました。稟議書の作成や編集業務の効率化に、ぜひテンプレートをご活用ください。
また、これから解説する内容をテンプレートと照らしあわせながら確認することで、さらに理解が深まり、より効果的な稟議書が作成できます。
物品購入に関する稟議書テンプレート
高価な備品を購入したり、大口の新規取引をしたりする場合に使用する稟議書です。一般的な稟議書の項目に加えて、購入品名や費用、費用の内訳といった項目を設けています。
契約に関する稟議書テンプレート
取引先との契約前に使用する稟議書です。取引先情報や契約内容、契約金額、契約後の取引開始日などの項目を設けています。
採用に関する稟議書テンプレート
新しい人材の採用時に使用する、採用稟議書のテンプレートです。採用活動を開始する前や、採用決定時に使用します。
これらのテンプレートをカスタマイズして使う際は「Adobe Acrobat Pro」がオススメです。
Acrobat ProはPDFの編集から共有、電子契約に至るまで、PDFにまつわる充実した機能が搭載されたオールインワンソリューション。直感的な操作でだれでも安心して利用できます。
さて、稟議書のテンプレートをダウンロードしたところで、次は稟議書の基礎知識をおさらいしていきます。
稟議書とは、関係者から承認や決裁を得るための書類
「稟議」とは、個人の権限だけでは決定できない事柄に関して、関係者に承認・決裁を得る手続きのことです。
「稟議申請」「社内稟議」などとも呼ばれ、組織内の重要な決定を行う際に実施されます。
例えば、大口の経費が必要となるとき、新規事業を立ち上げるとき、新規採用・昇進・給与の変更など人事関連の決定を行うときに稟議が行われます。
そして「稟議書」は、稟議を申請する際に使用する書類です。複数の関係者間で回覧し、承認や決裁を得るために使います。「立案書」と呼ばれることもあります。
稟議書を書く5つのメリット
面倒だと思われがちな稟議書業務ですが、実は様々なメリットがあります。稟議書を書く具体的なメリットは、以下の5つです。
- 会議を開かずに承認を得られる
稟議書を活用すれば、会議を開かずに上司や関係者から承認を得られます。時間を有効活用できるだけでなく、会議室の予約や日程調整の手間も省けます。
- 意思決定の根拠や責任の所在が明確になる
稟議書には提案内容だけでなく、提案の根拠となる理由も明確に記載します。また、承認者のコメント欄や確認欄が設けられているため、誰がどのような理由で判断を下したのかが透明化され、責任の所在が明確になります。
- よりよい意思決定につながる
稟議は複数の承認を経るものです。多角的な視点から検討を重ねることで、よりよい意思決定が実現できます。また、複数人の確認が入ることで、潜在的なリスクが特定されやすくなり、リスク回避にもつながります。
- ビジネス能力の向上にもつながる
稟議書の作成には、意思決定に必要な情報を整理するスキル、論理的に説明するスキルが必要です。そのため、稟議書を書き進める中で、これらの能力が養われていきます。また、稟議書を回覧したり、関係者と意見交換を行ったりする過程では、協働する能力も身に付きます。
- 今後に活かせる情報資産になる
稟議書には意思決定のプロセスが残るため、類似する案件の参考資料として役立ちます。また、過去の稟議書を参考にすることで、同様の事例に対する以前の取り組みや結果を知ることができ、実践的なヒントを得られます。
このように、稟議書は情報資産として蓄積され、組織全体の学びにもつながります。
以上のことから、稟議書業務は「単なる事務手続き」以上の恩恵を受けられます。しかし、稟議書の内容に不備があると、せっかくのメリットを活かせません。
そこで、稟議書作成のポイントとして、稟議書に最低限必要な6つの項目をご紹介します。これらの項目を漏れなく記載することで、説得力のある稟議書が作成でき、承認がスムーズに進みます。
稟議書に最低限必要な6つの項目
稟議書に必要な項目を理解しておくことで、作成・承認までをスムーズに進められます。
稟議書に必要な項目は以下の6つです。
- 起案日
- 稟議書を提出する日付を記載します。
- 起案者
- 稟議を申請する人の氏名を記載します。
- 件名(タイトル)
- 稟議の概要を記載します。「PCの新規購入について」「東京への出張費用について」など、わかりやすく簡潔に記載しましょう。
- 稟議の内容(申請事項)
- 稟議の内容を詳しく記載します。まずは要点を述べ、その後に詳細な内容やデータなどを記載します。
- 提案の必要性や費用対効果、ほかの選択肢よりも優れている点を明確に示しましょう。また、リスクやデメリットがある場合は解決策も提示してください。
- 承認者のコメント欄
- 承認の可否や提案に対するコメントを、承認者が記載する欄です。
- 押印欄
- 承認者が押印する欄です。一般的に稟議書の最下部に設けます。また、厳格な決まりはありませんが、下位職者が先に押印し、左から右へと順に押印していくケースが一般的です。
- そのほか、財務責任者や出金責任者など、決裁に関わる人の記入欄を別に設けることで、決裁の進捗状況や責任範囲の所在が明確化できます。
以上が、稟議書を書く際に最低限必要な項目です。ただし、稟議の内容によっては書き足した方がよい項目もあります。例えば、購入の稟議書であれば商品名や数量など、契約に関する稟議書であれば取引先の情報・契約の詳細などの情報が欠かせません。
既存の様式になくても、関係者から承認・決裁を得たい項目があれば、必要に応じて付け加えてみましょう。
なお、PDFにまつわるあらゆる機能が搭載された「Acrobat Pro」を使えば、企業の様式や稟議の内容に応じて、テンプレートをサッと編集できます。回覧や署名による作業が効率化できる機能も備えているので、ぜひご活用ください。
次に稟議書を書くコツ、そして稟議を通すコツを解説します。
稟議書を書くコツ・通すコツ
稟議書は、必要な項目を埋めるだけなく、決済する人を納得させるため、わかりやすく情報を伝える必要があります。
以下4つのコツを押さえれば、稟議が通る可能性をグッと引き上げられるので、ぜひ参考にしてみてください。
- 簡潔に、わかりやすく記載する
- 実行の効果とリターンを記載する
- 想定されるリスクと対処法も記載する
- 関連各所に事前に周知し、調整しておく
【コツ1】簡潔に、わかりやすく記載する
稟議書を書く際には、冗長な表現を避け、簡潔に記載しましょう。結論を先に書き、その後に理由や具体的なデータなどを書いていきます。以下のように箇条書き形式でまとめるのもオススメです。
- 稟議の目的:〇〇〇〇
- 申請の理由:〇〇〇〇
- 導入の効果:〇〇〇〇
また、会社の規模が大きいと、稟議の承認者が「関与していない業務内容が書かれた稟議書」に目を通すこともあります。そうした場合であっても、稟議書を見る人が内容を理解し判断を下せるように、わかりやすくまとめることが重要です。
そのほか、「専門的な用語はなるべく使わない」「余白を十分に取って視覚的に見やすくする」といった工夫も心がけましょう。
【コツ2】実行の効果を記載する
稟議の内容を実行することで、具体的にどのような効果が生まれるのか、そしてどのようなリターンが期待できるのかを記載しましょう。たとえば、効果やリターンを時間や金額などの値で数値化できると、稟議したい内容がより現実的なものになります。
効果が具体的に書かれているほど、稟議の判断はスムーズに進みます。反対に、稟議を実施したことで得られる効果やリターンの説明が不十分だと、承認者が判断材料をもてなかったり、関係者の理解が得られなかったりして、稟議は承認されにくくなってしまいます。
ツール導入に関する稟議を例に挙げると、以下のようにまとめられます。
▼効果とリターンの具体的な表現例
- ツール導入によって部署全体の業務時間を20%削減できる
- 年間稼働日220日 × 8時間 × 20% = 352時間の削減
- 単位時間あたりの売上高が3,000円の場合、削減した時間を別の業務に充てることで、3,000円/時間 × 352時間 = 1,056,000円の利益創出が期待できる
このように、なるべく数値化して記載します。すべてのケースにおいて数値化できるわけではありませんが、可能な限り意識しましょう。
このように稟議がとおることで得られる成果を定量的に示せると説得力が増しますので、意識しましょう。
【コツ3】想定されるリスクと対処法を記載する
稟議書には、稟議内容を実施することで生じるリスクと、その対処法も明記しましょう。
なぜなら、リスクと対処法を記載することで、承認者は提案の妥当性や実現可能性を客観的
に判断しやすくなるからです。また、リスクをあらかじめ予測し、その対処法を提案することは、稟議の説得力を高めることにもつながります。稟議は申請する側だけでなく、承認者側も責任を負うことになるため、決裁者の立場になってリスクと対処法を考えましょう。
【コツ4】関連各所に事前に周知し、調整しておく
稟議を通す際には、関係各所に事前に要件を伝えて調整する「根回し」が欠かせません。「根回し」と聞くとネガティブなイメージをもつ人もいますが、もともとは樹木を移植する際に根本に施す処理を指す園芸用語で、ニュートラルな言葉です。ビジネスにおける根回しは、稟議の円滑な進行や相手への気遣いなどポジティブな効果をもたらします。根回しを行うと、承認者は稟議の内容を十分にした理解したうえで、冷静な判断を下せます。
稟議書を作成するデメリット
ここまで稟議書のメリットや書くコツ・通すコツをご説明してきましたが、デメリットもいくつか存在します。稟議書のメリットを活かし、デメリットを回避するためにも、具体的にどのような箇所にボトルネックがあるのかを確認していきましょう。
【デメリット1】作成や承認に時間や手間がかかる
稟議書を作成したり、会議に比べて稟議書のほうが回覧・承認に時間がかかったりすることは稟議書のデメリットです。
特に、関係者が多かったり、稟議書が電子化されたりしていないと、全員に回覧して承認を得るのに数日〜数週間かかることもあります。
【デメリット2】印刷や保存にコストがかかる
紙媒体で稟議書を運用する場合、用紙代や印刷代などが必要です。また、保存する際には、ファイルの保管スペースが必要になったり、探す手間がかかったりもします。
【デメリット3】保存後の検索性やセキュリティが担保しにくい
紙媒体で保存したり、機能が不十分なツールなどを使って作成した稟議書は、検索性やセキュリティが担保しにくい課題があります。特に紙媒体の稟議書では、過去の稟議を参考にする際に保管された用紙を探す必要があります。また、稟議書が紛失・破損した場合、情報漏洩のリスクにつながりかねません。
このように、紙媒体で稟議書を運用するのはいくつかのデメリットがあります。しかし、そういった紙媒体での稟議書業務をデジタル化することで、業務速度を各段に向上させられます。
「Acrobat Pro」を使えば、ご紹介したデメリットはすべてクリアできます。
それではAcrobat Proの導入によるメリットを詳しくご紹介します。
Adobe Acrobatで稟議書業務を効率化しよう!
PDFにまつわる便利機能が1つにまとまったAcrobat Pro。文書業務全般に役立てられ、全世界500万以上の企業が業務推進に活用しています。
Acrobat Proの稟議書業務に活かせる便利な機能を紹介します。
- 稟議書を手早く、カンタンに編集できる
- 回覧・承認作業をスムーズに進められる
- 検索性やセキュリティ性が担保できる
- ページの削除や並べ替えが可能で、サッと整理整頓できる
1.稟議書を手早く、カンタンに編集できる
Acrobat Proを使えば、PDFファイル上のテキストの修正や削除、新規追加などがカンタンに行えます。また、文字サイズの変更や行間の調整、箇条書きといったスタイル設定も可能です。そのほか、画像の追加や文字のハイライト、コメントの追加などもでき、いずれも直感的に操作できます。
2.回覧・承認作業をスムーズに進められる
Acrobat ProではPDFのリンクを共有し、1つのPDFファイルを複数人で、同時に確認できます。そのため、紙を印刷して部署を周り、1人ひとりに回覧する必要がなくなります。また、前の人の承認が終わるまで待つ必要もありません。承認者は手の空いたときに確認でき、コメントやレビューが行えます。
さらに、Acrobat Pro上で署名の依頼も可能です。署名を依頼した人には通知メールが届き、オンライン上で署名が行えます。なお、署名にはテキスト入力・自筆・画像などが利用でき、ハンコの印影をあらかじめ画像として用意しておけば、紙と同じような感覚で承認印を押すこともできます。
そして、すべての承認が完了すると、関係者全員に確認のメールが届きます。稟議書の承認依頼を行った人は、承認者が通知メールを開いたことや、署名したことを確認できるため、稟議の進捗状況をリアルタイムに把握することが可能です。
ちなみに、Acrobat Proはモバイルデバイスでも利用できるため、出先やリモートワーク下で稟議を止めてしまう心配もありません。
3.検索性やセキュリティ性が担保できる
Acrobat Proを使えば、キーワードで検索して、目的のファイルを瞬時に見つけることが可能です。複数のファイルを横断して検索ができるほか、大文字と小文字を区別した検索・完全一致による検索などもできます。
そして、墨消し機能を使ってPDF内の情報を削除して塗りつぶしたりすることができ、情報漏洩を未然に防げます。
また、署名されたファイルには改ざん防止のシールと監査レポートが記載されるため、安心してご利用いただけます。
4.ページの削除や並べ替えが可能で、サッと整理整頓できる
先ほどご紹介したように、稟議書は上手く活用すれば会社の情報資産になり得るものです。
Acrobat Proを使えば、ページの削除や並び替え、PDFファイルの結合などもカンタンに行え、スムーズに整理整頓ができます。これまで使用した稟議書を稟議の種類ごとに結合したり、日付順に並べ替えたりすることも可能です。
このように、Acrobat Proを使えば稟議書の業務をもっと効率化できます。
もちろん、稟議書の業務以外にも役立ち、ペーパーレス化と業務のデジタル化によってコストダウンにも貢献します。
ぜひ、今すぐAcrobat Proを導入して、業務効率化に取り組んでみてくださいね。
(編集:ウェブライダー)
https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/acrobat-pro-64.svg
ぜひAdobe Acrobatオンラインツールをお試しください
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