チュートリアル記事

初級

5 分

Lightroom Basic - 03 質感を変える[基本補正(外観)]編

※ 本記事は「デジタルカメラ・マガジン」2020年11月号(発行:株式会社インプレス)の特集記事を抜粋したものです
写真・文 ● 木村琢磨

質感を表現することは撮影者が現場で感じ取った被写体の持つイメージを第三者に伝える重要な要素だ。自分のフィルターを通じて被写体がどう見えたのかを反映させることが目的となる。作品を最終的にモニターを通じて見せるのか、プリントとして見せるのか、どれくらいのサイズでプリントするのか、状況に合わせて適切なディテール調整をすることで、より一層作品の見栄えが良くなる。自分の作品をどのようにアウトプットするのかを決めて現像することで、より適切な処理を施すことが可能だ。

基本補正(外観)

被写体を構成する細かな線や質感の強弱と抜け感を調整

外観補正を施すことで被写体の持つディテールの調整が可能となる。硬く見せたいのか、柔らかく見せたいのか、自分の感じた被写体の「質感」を撮影後に反映する。「基本補正」の外観に関する設定は、主にディテールを調整するテクスチャ、被写体の輪郭の強弱を調整する明瞭度、画面全体の抜け感の調整が可能なかすみの除去の3つだ。カメラとレンズではなかなか調整が効かない効果であるため、外観補正は現像の醍醐味でもある。撮影時に反映することが難しいだけに、どのような結果になるのか現像結果を想定して撮影しておくと現像でその効果を得やすい。露出補正と同じく作品のイメージがガラッと変わるツールであるため意図せぬ過度な補正には注意が必要だ。

テクスチャ

被写体を構成する細かな線や質感の強弱と抜け感を調整

外観補正を施すことで被写体の持つディテールの調整が可能となる。硬く見せたいのか、柔らかく見せたいのか、自分の感じた被写体の「質感」を撮影後に反映する。「基本補正」の外観に関する設定は、主にディテールを調整するテクスチャ、被写体の輪郭の強弱を調整する明瞭度、画面全体の抜け感の調整が可能なかすみの除去の3つだ。カメラとレンズではなかなか調整が効かない効果であるため、外観補正は現像の醍醐味でもある。撮影時に反映することが難しいだけに、どのような結果になるのか現像結果を想定して撮影しておくと現像でその効果を得やすい。露出補正と同じく作品のイメージがガラッと変わるツールであるため意図せぬ過度な補正には注意が必要だ。

明瞭度

輪郭線の強弱が変化する

明瞭度では被写体の輪郭のコントラストの強弱をコントロールすることが可能となる。プラス補正をすることで輪郭線を強く描いたような仕上がりになる。逆にマイナス補正をすることで輪郭線が目立たなくなり、まるでソフトフォーカスのような効果を得ることが可能となる。

かすみの除去

全体の抜けの良さが変化する

その名の通りかすみを取り除く効果を得られる機能で、大気の状況が良くない中で撮影した画像でも補正を加えることで、抜けの良い1枚に仕上がる。反対にマイナス補正をすることで意図的にもやをかけたような1枚に仕上げることもできる。変化量が大きいので大胆な調整には注意が必要となる。

活用例1

朝焼けに染まる岩肌の質感を引き出す

朝焼けに染まった海辺の岩のディテールを強調する。かすみの除去を使い朝焼けのグラデーションを鮮明にし色のコントラストを高める。その後、テクスチャと明瞭度を上げて岩肌の細かなディテールを強調した。岩の硬さとザラっとした手触りの質感を再現でき、立体感も増している。

活用例2

春の柔らかな拡散光の雰囲気を作る

春の柔らかい日差しを浴びた木のある風景を撮影。現場で感じた春の光の柔らかさと拡散した日差しの雰囲気を3つの設定を全体的に下げて再現。かすみの除去を下げることでもやがかかったような空気感を再現でき、全体にソフトな質感を演出できる。加えてテクスチャと明瞭度を下げることでエッジが少しにじむため、柔らかな印象に仕上がる。

HINT

やり過ぎによるトーンジャンプやエッジ処理に注意

外観での補正は結果が大きく変化するため面白くなって効果を強めてしまいがちだが、それに伴う弊害も出てくる。特にかすみの除去や明瞭度は効果をかけ過ぎるとグラデーションにトーンジャンプが発生したり、エッジの処理が不自然になりやすい。意図的に強めに仕上げる場合はともかく、補正結果は細かく確認したい。

ディテール

シャープさやノイズの処理バランスをより細かく指定できる

主に先鋭感(シャープ)とノイズの調整ができるのが「ディテール」だ。カメラ内でもシャープの調整は可能だが、数段階程度の大まかな設定しかできない機種がほとんどだ。Lightroomを使うことでシャープの調整幅もより細かく設定することが可能となる。カメラの画素数が増えてどんどん解像感を求めるようになり、ついシャープを高めに設定してしまう傾向にあるが、シャープとノイズは相互関係にある。解像感を高めるためシャープを強めにかけるとフラットな背景にノイズのようなピクセルが浮き出てくる場合がある。シャープを高め過ぎたために輪郭が強調され、結果的にノイズのように見えてしまう孤立点が出現してしまうのだ。また、ノイズを目立たなくすればするほど画像の先鋭感は失われていき、シチュエーションや被写体によってちょうど良いバランスを見極めることが重要となる。

A シャープ/適用量

細部の解像感を高められる

シャープの調整でメインとなる効果。全体的なシャープの強弱をスライダーを使って調整する。読み込み時はデフォルトで40が適用されているが、好みや目的に応じて適用量を調整する。

半径

エッジに適用されるシャープの太さを調整する。数値が大きくなるほど被写体のエッジが太くなり数値が小さいほどエッジは細くなる。

ディテール

被写体のエッジ部分にかかるシャープの適用量を調整できる。数値を上げると輪郭が強調されるがノイズの発生の原因ともなる

マスク

シャープが適用される範囲を調整する。数値が小さいほど全体に適用され、数値が大きくなるほど強めのエッジ部分にシャープが適用される。

活用例

シャープを抑えて肌の質感を柔らかく

解像感を求めてついシャープを高めてしまうが特にバストアップで撮影した人肌などはシャープが強過ぎると柔らかさが失われるため、適用量を0にするのも選択肢の1つだ。

B ノイズ軽減/ 輝度

輝度ノイズを抑制する

高感度撮影などで発生するザラッとしたノイズを目立たなく補正してくれる。効果を強くし過ぎると本来のディテールまで失われてしまうため程よい数値を見極めよう。

活用例

持ち上げた暗部のノイズを低減

露出アンダーで撮影した画像を現像で露出を上げた際はシャドウ部にノイズが発生しやすい。ノイズ軽減を使い、星が消失せず天文台のディテールが失われないように数値を調整した。

効果

周辺減光や粒状感など印画紙への焼き込みやフィルム調の再現に便利

周辺光量や粒子の調整が可能なのが「効果」だ。切り抜き後の周辺光量補正は開放絞りで撮影した際などに発生する周辺光量落ちを調整する機能のこと。周辺光量落ちを目立たなくする役割もあるが、意図的に周辺を焼き込んでトンネル効果を作ることもできる。印画紙に引き伸ばした際に仕上げに四隅を焼き込んでいた人も多いのではないだろうか。四隅を焼き込むことで画面中央に視線を誘導することができるため、強調したい部分を目立たせることができる。粒子の設定では意図的にノイズを乗せて画像に粒状感を付与できる。山などの遠景のディテールを擬似的に増幅しているように見せるなど、解像感を演出できる他、低感度で撮影した写真を、あえて高感度ノイズでざらついたように仕上げることも可能だ。粒子の数だけでなくサイズや粗さまで細かく調整可能なので、自分好みのフイルム調を楽める。

A 切り抜き後の周辺光量補正/適用量

周辺光量落ちを再現できる

適用量を下げると周辺光量がどんどん落ちて画面の四隅が暗くなる。日の丸構図の作品との相性が良く、画面中央に視線を誘導するトンネル効果を作ることが可能だ。反対に数値を上げることで意図しない周辺光量落ちを補正したり、ホワイトエッジ効果を作ることができる。

B 粒子/適用量

写真に粒子を加えられる

粒子の適用量を上げることで意図的に画像に粒子を加えることができる。少し懐かしさを感じさせるフィルムライクな質感や高感度で撮影したときのざらっとしたノイジーな質感を再現できる。

活用例

粒子を乗せて風景を立体的にする

あえて粒子を付加させることで遠景の木々などのディテールが強調され、より一層解像しているように見せることができる。小さなモニターでの鑑賞では差は分かりにくいが大判に引き伸ばしてプリントした場合に差が出てくるので、アウトプットに合わせて適用する。


2022年8月31日

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