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提灯の写真の撮り方

3つの法則で提灯の写真を魅力的に写そう - スマホで「できる」基礎からはじめる映える写真の撮り方と仕上げ方 第17回

提灯の撮影に法則はある……のかな?

今回のテーマは「提灯」です。

撮影していて感じたのですが、提灯のあるシーンは千差万別で、いろいろな撮り方や仕上げ方があるなと。

でも、だからこそ何らかの指針があると助かりますよね。

そこで、簡単で分かりやすくて、見映えよく提灯を写して仕上げるポイントを考えてみました。

それが、「わき役」「1/3」「黄色」の法則です。

詳細は後述しますが、「わき役」と「1/3」は提灯に限らずいろいろなシーンで使える撮り方なので、覚えておくとよいかも。

それと、同じ場所、同じ構図でも、撮影する時間によって印象が大きく異なるのも提灯の面白さです。

トップに掲載した写真は、暗い夜空の下で輝く提灯の力強さを写してみたのですが、下のように空の明るさが残っている時間帯もまたよいものです。

暮れゆく一日の哀愁のようなものが感じられますし。

どちらがよいかはお好み次第。

後から好きなほうが選べるように、時間帯を変えて撮影しておくのがおススメです。

撮影のときは「わき役」と「1/3」を意識する

提灯が撮りやすい設定にしよう

撮影に使ったカメラは、モバイル版Lightroomのカメラ機能です。

まずは、提灯に役立つカメラ機能の使い方を確認しておきましょう。

明るい提灯を写すとき、失敗しやすいのが露出(写真の明るさ)です。

「光」を写すわけですから、太陽に向かって写すような逆光の状態になり、周囲が暗く写ることがあります。

見た目や撮りたい明るさよりも暗く写ったり、明るく写るときは、①カメラ画面の上で指を上下(スマホを縦に構えた場合は左右)にスライドして、撮りたい明るさになるように調整(=露出補正)します。

②「Exp」の数字がプラスの方向に大きいと写真は明るく、マイナスの方向だと暗く写るようになります。

明るさは厳密に決めなくても大丈夫です。適度な明るさになっていれば、Lightroomの編集機能できれいに仕上げられますから。

ちなみに、元の明るさに戻すときは、②の「Exp」の文字をダブルタップすると簡単です。

それともうひとつ、①「・・・」をタップして、②「グリッドとレベル」を選択し、③縦横3分割の線と、④水平のレベルをタップして表示しておきましょう。

分割線は1/3の構図(後述参照)を作るときに役立つし、水平のレベルは傾きのない安定した写真を撮るために必要になります。

提灯のほかに「わき役」も探してみる

下の写真は提灯のあるシーンのひとつで、状況が分かるように全景を写しました。ビルの合間、裏通りの一角に飾られた提灯がとてもフォトジェニックです。

シンプルに写したかったので、通行人などの雑多な景色が入らないように、特徴的な巨大提灯だけを切り取ってみました。

暗く写るように露出を調整して、背景のビルの壁を目立たなくしています(撮影後にLightroomで編集)。

提灯はきれいに映っているのですが、ぼんやりと闇に浮かぶ写りが寂しいというか、不気味というか。個人的には好みではありますが。

たいていの場合、「撮りたいものだけを大きく写す」とカタログ写真のようになり、面白みが出しにくくなってしまいます。

そこで、わき役となる存在を探して写した写真が下になります。

主役とわき役があることで見るべき部分が増えるので、寂しい印象が払しょくされました。

また、暗い中に提灯の灯が浮かぶという写し方は同じですが、光の数が増えたおかげで、不気味さから幻想的な印象に変化したのではないかと。

わき役がいることで主役が引き立つし、写真に動きや物語性が出てきます。

わき役は何でもいいんです。何らかの「見るべきポイント」が写っていれば、あとは写真を見る人が勝手に意図を考えてくれますから。

というわけで、写真がつまらないと感じたらわき役を探してみる。

これは提灯の撮影だけでなく、あらゆるシーンで応用できる考え方です。

画面の1/3のラインを意識してみよう

写したい提灯を見つけたら、それを画面のどこに配置するかが、よしあしの分かれ道になります。

何も考えないで写すと、たいていは下の写真のように中央付近に配置するのではないでしょうか。

写したいものを中央に置く撮り方がダメというわけではありません。でも、この写真の場合は、平凡過ぎて見応えがあるとはいえませんよね。

提灯以外に見るべきもの(わき役の存在)がない点ももの足りないし、なんとなく傾いている画面も不安定な印象になってしまいます。

そこで登場するのが、1/3に分割したラインや交点上に提灯を配置する撮り方(三分割構図)です。

あらかじめカメラの画面にグリッドを表示(前述参照)しておけば、そのライン上に提灯を重ねるだけなので簡単です。

1/3のラインを意識して提灯を配置し、空いているスペースにわき役として奥に続く人混みの道を写した写真が下になります。

だいぶよくなったと思うのですが、いかがでしょう?

もちろん、ほかにもいろいろな写し方があります。適当に写しても、よい写真になることだってあります。

でも、「見映えよく写せる方法」をひとつ知っていれば、撮影の現場で悩まないで済むのですから。覚えておいて損はありませんよ!

そうそう、1/3の分割線は厳密にこだわる必要はありません。

中心に配置しないための目安なので、適当でいいんです。こだわり過ぎると撮影が面倒になるので、ゆる~く考えましょう。

そして、ここから先がLightroomの真骨頂。写真を編集することで、さらなる魅力アップが図れるのです。

編集の詳細は下で説明しますが、「黄色」(暖色系)を強くするように色を調整すると、提灯のシーンに似合う色彩にすることができます。

これで、提灯の撮影に役立てたい3つの法則、「わき役」「1/3」「黄色」が出揃いました。

編集機能で提灯のシーンを演出しよう

よい撮影がよい仕上がりをもたらします

今回編集した写真は、トップにも掲載している下の写真です。

編集前の撮影したままの状態は、下のような明るさと色になっています。

撮影時に明るく写るように露出を補正したので、仕上がりに近い明るさです。

でも、色や雰囲気など、まだまだもの足りない状態です。ここから、見映えのよい写真に仕上げていきましょう。

ちなみに、この写真も「わき役」と「1/3」を意識して撮影しています。

わき役は一目瞭然の五重塔で、並んでいる提灯のひとつを主役に見立てて、1/3のライン(黄線)上に配置しました。

提灯がたくさん並んだシーンは、バランスよく写すことが難しいものです。

そんなときは、どれかひとつを主役にしてしまいましょう。主役が決まれば、構図が作りやすくなるはずです。

提灯のあるシーンは暖色系が決め手

目指す仕上がりは、暖かみのある黄色い色彩(暖色系)です。

作業はモバイル版のLightroomで行ないますが、パソコン版も同じように作業できます。

サムネール一覧で写真をタップして大きく表示したら、①左上の文字の部分をタップ。表示された一覧から、②「編集」を選んで編集画面で表示します。

編集する写真はきれいに見える明るさで写しているので、今回は自動的な補正をベースに調整していきます。

考え方としては、「自動補正できれいにする」→「自分好みの明るさと色にカスタマイズする」です。

まずは、自動補正の適用から。

①「自動」ボタンをタップします。

作業はこれだけ。

これで、Lightroomが写真を解析して、明るさやコントラスト、鮮やかさを「見映えよく」仕上げてくれます。

自動補正は、あくまでも「Lightroomが提案するきれいな写真」です。必ずしも「好みの色」になるとは限りません。

そこで、自分好みの明るさや色になるように調整していきます。

最初は、明るさ(露出)の調整を施します。

①「ライト」ボタンをタップして、②「露光量」スライダーを左右に移動してきれいに見える明るさにします。ここでは、右に移動して明るくしました。

後からでも変更できるので、大まかな調整で大丈夫です。

明るさが決まったら、雰囲気を左右する「色」の調整に入ります。

①「カラー」ボタンをタップして、②「色温度」スライダーで黄色(暖色系)が強く感じる色にします。作例は、スライダーを右方向に移動しました。

「ろうそくの炎に照らされている色」をイメージして調整してみましょう。

暖色系が強くなることで、風流でやさしい雰囲気の写真に変化します。

自動補正をベースにすれば、たいていの場合、明るさと色の調整できれいな提灯の写真になるはずです。

これで作業は完了なのですが、今回はさらなるひと手間を紹介。それが、提灯の写真にぴったりな光が滲んだような甘い描写です。

使う機能は、①「効果」ボタンをタップして表示される、②「テクスチャ」と、③「明瞭度」スライダーです。

これらのスライダーを左方向に移動すると、ふんわりとした幻想的な写真にすることができます。

「テクスチャ」スライダーは細かな部分が、「明瞭度」は全体がソフトな描写になりますが、両方のスライダーを適当に動かして、自分好みのバランスを見つければOKです。

効果が強いと絵のようになってしまうので、「弱め」を意識して調整するのがコツです。

最後に、明るさを見直しておきます。

①「ライト」ボタンをタップして、②「露光量」スライダーで最終的な明るさに調整。

作例は少し左に移動して明るさを抑え、夜空が暗く見えるように仕上げました。

これで完成です。

提灯の写真は、部分的に明るかったり暗かったりと明暗差が激しことが多いので、基本的な補正は自動機能に任せると編集がラクになります。

今回は暖色系に仕上げていますが、クールな寒色系が似合うシーンもあります。

好みや気分で色が変えられるのもLightroomの面白さ。撮影した写真は撮りっぱなしにはせず、Lightroomで編集して写真の魅力を引き出しましょう。

執筆者:桐生彩希

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2022年5月23日

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