イルミネーションを上手に写してファンタジックに魅せよう - スマホで「できる」基礎からはじめる映える写真の撮り方と仕上げ方 第11回
イルミネーションを魅力的に写すことって、難しいですよね。
肉眼ではきれいに見えていても、写真ではもの足りないのはよくあることです。
というわけで、今回はイルミネーションの写し方と仕上げ方を考えてみます。
撮影に使うカメラはもちろん、スマホにインストールしたLightroomです。
被写体は、デジタル一眼レフでもきれいに写すことが難しいイルミネーション。Lightroomのカメラで上手く写せるのか半信半疑でしたが――、問題なし。
トップに掲載した写真のとおり、大満足です。
僕が実践しているイルミネーションの写し方も改めて検証してきたので、それも含めて紹介したいと思います。
では、はじめましょう。
イルミネーションは手ぶれが生じやすいシーンです。
カメラをしっかりと構えていても、シャッターボタンを押した反動でぶれてしまうこともあります。
そこでおススメしたいのが、2秒タイマー。
Lightroomのカメラ機能に搭載されているセルフタイマーを2秒にセットして、シャッターボタンを押してから2秒間、じっと息を潜めます。
この方法で、普通に写すよりも格段に手ぶれが防ぎやすくなります。
2秒タイマーは、カメラ画面の左上(横に構えた場合)にある、①「・・・」をタップして、②「タイマー」アイコンをタップ、③「2」をタップするとセットできます。
僕が実践しているイルミネーション撮影の3つの掟。それは、
[1]消失点を作る
[2]脇役を探す
[3]カメラを動かす
です。順に説明していきますね。
[掟その1] 消失点を作る
これは、イルミネーションの並木道や、光のトンネルなどで役立つ掟です。
画面の中央か、左右に3分割した線を目安に、消失点(道の最奥部)を配置します。
下の写真は、水平方向の中央に消失点を置いて写しました。
上のようなシーンは、主役になるべき特異な存在がないため、イルミネーションの部分だけをアップで写すと寂しい仕上がりになりがちです。
そこで、全体を広く写して光の華やかさを見せ、消失点を配置して奥行きを出すことで、視線が吸い込まれるような仕掛けを作るというわけです。
曲がりくねった道なんかも、同じ考え方でいけます。
道の先を写すことで、遠近感が出て目を引く写真になります。
さらに、Lightroomの編集機能でファンタジックに仕上げれば(作り方は後述参照)、ストーリー性も出てバッチリです。
何はともあれ、道があったら先まで写す。これが掟です。
[掟その2]脇役を探す
「写したい」と思うものがあったら、その周囲や背景にもうひとつの写したいものを見つけて、それらが重ならないように配置します。
トップの写真がこの例です。
光のタワーを主役、宝石のような輝くオブジェを脇役に見立てました。
ちなみに、下の写真のように主役だけを写す撮り方は避けたい一例です。
肉眼では周囲の状況も見えているので、オブジェ単体でもきれいに感じます。
でも、写真にはオブジェしか写っていないため、説明不足で魅力が半減してしまうのです。
きれいな被写体を見つけたときこそ、その周囲にある脇役となる存在を探し出して写し込みましょう。
上の写真も、脇役の存在があればより一層引き立ちますよ!
[掟その3]カメラを動かす
どうやっても上手く写せないときの苦肉の策。それは、ぶれを生かした写し方です。
シャッターを切った瞬間にカメラを大きく動かせば、イルミネーションが光の筋となって、幻想的な写真が写せます。
普通に写した写真が下になります。
悪くはないのですが……、まあ、LEDの照明ですよね。ちょっと興ざめかもしれません。
撮影の現場は、背景も含めて写真映えしないシーンだったので、カメラを回して偶然性を楽しみました。
僕にとって、この写し方はカメラを使った落書きみたいなものです。
イルミネーションに混雑はつきものです。
通行人が少ないタイミングや、画面に入らない構図を意識することが大切ですが、避けられない場合もあります。
そんなときは、頭よりも上にカメラを構えて撮影してみましょう。
高い位置から見下ろすことで通行人が小さく写り、なおかつ見渡しがよくなるので、混雑が気にならなくなります。
撮影のテクニックとしては、露出や色の決め方も大切ですが、これらはLightroomの編集機能で調整できます。
カメラは「AUTO」設定でよいので、とにかく魅力的な構図で写すこと。それを最優先に撮影に臨みましょう。
イルミネーションの写真を仕上げるポイントは、暗さを感じない露出(明るさ)にすることです。
さらに、一つひとつの光の粒を大きく描画して存在感を出せば、華やかで幻想的な写真になります。
トップに掲載している写真も、上記の考え方で仕上げました。
ちなみに、撮影したままの写真が下になります。
比較しやすいように、編集した写真も掲載しておきます。
編集前も十分にきれいな写りですが、Lightroomで色を調整することで、ファンタジックな写真へと昇華しました。
そうそう、真っ暗な夜空に輝くイルミネーションもよいのですが、残照の残る空をバックに写すと、華やかで映えのある写真になる点も覚えておきたい写し方です。
モバイル版Lightroomを使って編集をはじめます。
サムネール一覧で写真をタップして大きく表示したら、①左上の文字の部分をタップ。表示された一覧から、②「編集」を選ぶと編集画面で表示できます。
最初の調整は、光の粒を大きくする補正です。
具体的には、光の粒を紗のかかったようなかすんだ状態にすることで、柔らかくて大きな輝きにしていきます。
①「効果」ボタンをタップしたら、②「明瞭度」スライダーを左に移動します。
適切な補正量が分からないときは、「-80」くらいに調整しておきましょう。
「明瞭度」を調整しただけでは、まだ光の存在感は際立ちません。
ここから、明るくしたり、夜空を暗くしたりして、華やかな光にしていきます。
まずは、明るさの調整から。
①「ライト」ボタンをタップして、②「露光量」スライダーを右に移動します。
下の写真のように、十分に明るい状態にしておくと、光の強さが生きてきます。
夜空も明るくなってしまったので、暗く引き締めて光の輝きを引き出します。
使う機能は、「シャドウ」スライダーです。
スライダーを左に移動すると、空の暗い部分がより暗くなるので、好みの夜空になるように調整します。
明る過ぎる照明を何とかしましょう。
①「ハイライト」スライダーを左に移動して、真っ白に見える領域を減らします。
この調整では白い部分は変化せず、白よりも少し暗い部分の明るさが抑えられるので、照明の輝き(白さ)を維持したまま光の強さ(広がり)が調整できます。
「ハイライト」を調整しても明る過ぎるときは、先に調整している、②「露光量」スライダーの補正量を小さくして対処します。
これでひととおりの調整は終わりですが、もう少し何かしたいかも、と思ったら、次の2つの調整を試してみてください。
ひとつ目は、色を引き締める調整です。
①「効果」ボタンをタップして、②「かすみの除去」スライダーを右に移動します。
徐々に濃くクッキリとした色になるので、好きな色を目指して調整しましょう。
ふたつ目が、色の調整です。
①「カラー」ボタンをタップして、②「色温度」スライダーを右に移動すると暖色系の暖かな光に、左に移動すると寒色系のクールな光になります。
僕は右に移動して暖かな光にしましたが、決まりはないので、好きな色に調整して大丈夫。見たままの色にする必要もありません。
鮮やかにしたいときは、③「彩度」と④「自然な彩度」スライダーを右に移動すればOKです。
これで編集はいったん終了です。
色彩豊かで映えのある仕上がりとして、ファンタジックな雰囲気にしました。
現実離れしたこの色彩、Lightroomだからこそ表現できるアートです!
今回は、この連載がはじまって1周年。
なので、もう少しLightroomを楽しみたいと思います。
写真の仕上げ方はひとつではありません、という補足的なお話です。
よく、色調整の終わらせ時が分からないという嘆きを耳にします。
いいんです。無理に終わらなくても。
筆者は、同じ写真を何度も何度も色調整して、いろいろなパターンを作って楽しんでいます。
というわけで、ファンタジックに仕上げた写真から、別の作品を作ってみましょう。
目指すは、暗い夜空に輝くイルミネーションです。
写真の上半分の空を暗くするので、「線形グラデーション」を使います。
まずは、Lightroomの編集画面で、「部分補正」ボタンをタップして、機能をオンにします。
①「+」ボタンをタップすると部分補正のタイプが表示されるので、②「線形グラデーション」ボタンをタップします。
補正の強さの仮設定をします。後から変更できるので、適当な値で大丈夫です。
明るさを変える補正を行いたいので、①「ライト」ボタンをタックして機能を表示します。
空を暗くするために、②「露光量」スライダーを左に移動し、暗い中に光の眩しさを残すため、③「白レベル」スライダーを右に移動します。
光の広がりは、④「ハイライト」スライダーを右に移動すると再現できます。
ちなみに、この操作ではまだ、写真の色は変わりません。
①補正する場所から、補正しない場所に向かってドラッグします。
ドラッグした幅で3本のラインが作られて、その範囲で補正が徐々に弱くなるように調整されました。
下の写真でいうなら、上のラインから下のラインに向かって、補正が弱くなっている状態です。
必要に応じて各スライダーを動かして補正を調整し、②のボタンをタップして確定すれば作業は終了です。
「線形グラデーション」を使って、空を暗く補正して仕上げた写真が下になります。
元のファンタジックな雰囲気を残しつつ、暗い夜空に映えるイルミネーションが再現できました。落ち着きも出ていていい感じです。
仕上げた写真から別の作品を生み出してみいいし、最初からやり直して新たな作品を作ってもよいのです。
一枚の写真をとことん楽しむ、そんな趣味もまた楽しいものです。
今回は、1周年記念ということで、勝手に盛りだくさんな内容にしてしまいました。
読むのに疲れたとしたら、すみません。
お詫びというわけではないのですが、今回の記事で撮影した現場の様子を動画で記録してみました。
写真では伝わりにくい周囲の状況が分かると思うので、興味のある方はアクセスしてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=ykSENmTP3N8
ではまた、次回お会いしましょう。
執筆者:桐生彩希
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