SNSのアルゴリズムの基本を理解し、うまく利用します。
SNSにログインした途端に、あらゆるつながりからのあらゆる投稿を一度に浴びせられたいと思う人はいません。少なくとも、ほとんどの人はそうです。そこで、SNSのアルゴリズムが動作して、最適な投稿を最も関連性の高い順序でフィルタリングし、関心のあるコンテンツに最初にアクセスできるようになります。
アルゴリズムは、ユーザーのアクティビティにもとづいてフィードに表示するコンテンツを選択します。そのために、ユーザーがクリックしたもの、試聴したもの、エンゲージメントを記録し、ユーザーがどのようなコンテンツに興味を持っているかを学習します。さらに、アルゴリズムは他のSNSユーザーのアクティビティ(コンテンツのエンゲージメントレベルなど)も考慮して、もっとスクロールしたくなるような魅力的なSNSフィードを作成します。
一部のマーケターが何と言おうと、アルゴリズムはユーザーの敵ではありません。実際、時間を取ってアルゴリズムがどのように機能し、何を求めているのかを理解すれば、簡単にうまく利用できるようになるでしょう。
多くのSNSはそのアルゴリズムの詳細を秘密にしていますが、ここでは私たちが知っていること、聞いたこと、そしてユーザーの戦略を最適な結果に向けて転換する方法について説明します。
アルゴリズムとは、基本的に、SNSフィードでどのコンテンツを優先させるかを決めるためのデータとルールの集合といえます。アルゴリズムは各ユーザーに合わせて一意に作成され、各ユーザーのオンライン上の行動に影響を受けます。その結果、他のユーザーとまったく同じフィードが表示されるユーザーはいません。さらに、各SNSは独自のアルゴリズムを開発しています。これは、選択したSNSによってルールが若干異なることも意味します。
アルゴリズムは、ユーザーの滞在時間、共有、コメント、いいね、保存など、あらゆる種類の情報を使用して、ユーザーがより価値があり、より面白いと感じるコンテンツは何かを判断し、表示するコンテンツを決定します。
アルゴリズムとは何か、アルゴリズムはどのように機能するのかについての基本を理解できたので、主要なSNSチャンネルをそれぞれ詳しく見てみましょう。
関連度スコア
Facebookのアルゴリズムは、あらゆるコンテンツに対してユーザーがどのように反応するかを予測します。これには、「いいね」、コメント、共有や、コンテンツを非表示にしたりスパムとしてマークしたりすることも含まれます。次に、この予測を、関連度スコアと呼ばれる数値に定量化します。すべての投稿に関連度スコアを割り当てたら、アルゴリズムはこのスコアを使って、コンテンツをフィード内に表示される順序にランク付けします。広告にも関連度スコアが割り当てられます。通常のコンテンツと同様に、これも最も楽しいまたは興味深いコンテンツを最初に表示することで、可能な限り最高のユーザーエクスペリエンスを提供することを目的としています。
友達を最初に
Facebookはアンケートやその他の調査を通じて、多くのユーザーが友達や家族のコンテンツを見逃してしまうのを心配していることに気付きました。その結果、2015年4月に、友達や家族により高い関連度スコアを割り当てて、そのコンテンツをフィード内で上位にランク付けするようにアルゴリズムを更新することにしました。同年の後半に、Facebookは2回目の更新をおこない、ユーザーが自分のニュースフィード内で最初に表示したい友達や家族、さらにはページを手動で選択できるようにしました。
滞在時間
投稿を見ていた時間の長さを表す滞在時間は、Facebookアルゴリズムにとって重要な考慮事項であり、コンテンツがユーザーに関連しているかどうかを示す重要な指標として使用されます。ユーザーがある投稿を長時間見ていた場合は、その友達のニュースフィードにも同じコンテンツを表示するようにアルゴリズムが影響を受ける可能性があります。
動画のエンゲージメント
ニュースフィード内の動画コンテンツがユーザーと関連していたかどうかを判断するうえでFacebookが依存するのは、エンゲージメント指標だけではありません。アルゴリズムは、そのコンテンツの関連度を示すものとして、動画をフルスクリーン表示にしたかどうか、音量を上げたかどうか、動画の品質をHDに切り替えたかどうかなど、他の要素も考慮します。これらの操作のいずれかをおこなうと、今後そのユーザーのニュースフィードで、似たコンテンツが上位に表示されるようになる可能性があります。
投稿が表示された理由
2019年3月にFacebookは更新をおこない、特定の投稿や広告がニュースフィード内に表示された正確な理由をユーザーが確認できるようになりました。これにより、アルゴリズムによって特定のコンテンツが表示された理由を詳しく確認し、さらにパーソナライズした変更を加えることができるようになりました。
フェイクニュースとの戦い
Facebookが誤った情報と戦っていることはよく知られています。これはFacebookに投稿するすべてのブランドに影響を与えるわけではありませんが、罰則を受けないように、コンテンツの事実確認をおこない、透明性と公正さを保つ必要があることは明らかです。
Facebookアルゴリズムの重要ポイント
Facebook用コンテンツを作成する際のアドバイスは、自分のニッチな分野を見つけ、投稿の一貫性を維持することです。これにより、Facebookアルゴリズムがより簡単に自分のオーディエンスを特定し、そのオーディエンスに対して自分のコンテンツをプッシュできるようになります。Facebookのコンテンツ戦略に動画を含めることは必須です。また、動画コンテンツは適切な長さにし、最初から最後まで集中力が続くように魅力的にする必要もあります。
アルゴリズムによるツイートのランク付け
以前は、Xのタイムライン内のツイートは新着順で表示されていました。しかし、大量のアカウントをフォローしているユーザーにとっては、多くの場合すべてのツイートを追いかけるのは困難であり、重要なコンテンツを見逃すことがよくありました。その結果、X(当時はTwitter)は、ユーザーにとって最も重要なツイートや興味深いツイートを最初に表示するためのアルゴリズムを導入しました。現在、Xのタイムラインの最初のセクションは、Xのアルゴリズムによって関連度が最も高いとランク付けされた投稿の集まりになっています。
他の多くのソーシャルネットワークと同様に、Xもそのアルゴリズムをあまり明かしていませんが、2017年に公開された こちらのブログ を読むと、新しさ、エンゲージメント、リッチメディア、ユーザーのアクティビティなど、ランク付けに影響する要因についての洞察を得ることができます。
見逃した方のために
Xのタイムラインを最も上位にランク付けされたツイートよりも下にスクロールしていくと、「見逃した方のために」というセクションが表示されることがあります。これはアルゴリズムが並べた投稿の集まりであり、最新ではないかもしれませんがユーザーと最も関連性の高いアカウントからの投稿が表示されます。
この機能は、そのままではコンテンツを見逃してしまう可能性のあるブランドや個人の表示を増やす方法として優れています。
新着順
アルゴリズムによってタイムラインの上位に表示された投稿よりも下にスクロールすると、フィードの残りの部分は従来のXの形式である新着順で表示されます。
返信
Xは、フィード内で返信を優先していると言われています。つまり、返信のある投稿がフィードに表示されやすくなるだけでなく、あるユーザーがやり取りした投稿はそのフォロワーのフィードバックに表示されやすくなります。そのため、自分のコンテンツができるだけ多くのエンゲージメントを獲得できるようにすることと、自分のコンテンツにコメントを残してくれたユーザーに返信したり、やり取りをおこなったりすることを重視するとよいでしょう。
Xアルゴリズムの重要ポイント
Xの戦略に関しては、何よりもエンゲージメントレベルに焦点を合わせる必要があります。高くランク付けされるためには、ビデオコンテンツを試してみることと、最適な時間(オーディエンスの大部分がオンラインになる時間)に投稿することをお勧めします。また、XのサブスクリプションサービスであるXプレミアムにサインアップすると、コメントや検索で自分のアカウントが優先されることも注目に値します。Xは、フィード内でXプレミアムのサブスクライバーが優先されると明言しているわけではありませんが、Xのサブスクリプションによってフィード内のランク付けが有利になるとしても意外ではないでしょう。
ランク付けに関する6つの重要な要因
Xと同様に、Instagramも2016年に新着順のニュースフィードを廃止しました。その狙いは、タイムリーかつ興味深いコンテンツを優先させることです。それ以来、Instagramのアルゴリズムは長年にわたって開発が続けられ、最新の情報によれば、投稿のランク付けを決定する6つの重要な要因があることが示唆されています。
興味: ユーザーがそのコンテンツにどれだけ興味を持っているかは、同様のコンテンツへのエンゲージメントにもとづいています
鮮度: 最新の投稿が古い投稿よりも優先されます。
親密度: ユーザーが過去にやり取りしたアカウントのコンテンツが優先されます。
頻度: ユーザーがInstagramを閲覧する頻度は、フィード内での投稿のランク付けに影響を与えます。
フォロー中: ユーザーがフォローしている人の数は、フィードに表示される内容に影響を与えます。多くのアカウントをフォローしている場合、一部のアカウントのコンテンツは表示が少なくなる場合があります。
使用: ユーザーがInstagramに費やす時間も、コンテンツのランク付けに影響します。
領域ごとに異なるアルゴリズム
2021年、Instagramの責任者であるAdam Mosseri氏はInstagramのアルゴリズムの仕組みについてさらに詳しい情報を明かしており、Instagramのアルゴリズムは1つではなく、多数の異なるアルゴリズムがそれぞれ独自の目的を持って存在することが確認されています。
Mosseri氏は、フィードとストーリーに関する重要なランク付けの要因は次のとおりであると指摘しました。
投稿に関する情報(どの程度のエンゲージメントを獲得しているか、どのくらい最近の投稿か、動画かどうか、など)
投稿者に関する情報(ユーザーが過去数週間以内にこの人物とやり取りしたかどうか)
ユーザーアクティビティ(ユーザーがこのコンテンツに興味があるかどうか、ユーザーが「いいね」した類似する投稿の数)
ユーザーが誰かとやり取りした履歴(ユーザーが特定の人物のコンテンツを見ることに興味があるかどうか)一方、発見ページでのランク付けに関する重要な要因は次のとおりです。
投稿に関する情報
ユーザーが誰かとやり取りした履歴
ユーザーアクティビティ
投稿者に関する情報
Instagramでは、フィードと特にストーリーに関して、ユーザーはまず実生活で知っている友達や人を探すのに対し、発見ページは何か新しいものを見つけるための場所であると考えています。その結果、これらの領域のアルゴリズムでは、異なる方法でコンテンツの優先順位が決定されます。
新しい形式ほど上位にランク付け
Instagramには、ユーザーが新しいコンテンツ形式に早く適応できるようにし、そのような形式の使用を促進する手段として、リールやカルーセル投稿といった新しいコンテンツの種類ほど高くランク付けされる傾向があります。そのため、自分のコンテンツを注目してもらい、ページを成長させ続けるための方法として、Instagramの新しい機能や形式を積極的に試してみることが重要です。
Instagramアルゴリズムの重要ポイント
Instagramでは、新しい形式や機能を試すとともに、最適なタイミングで投稿することで、最大限のエンゲージメントを獲得することが重要です。他のSNSと同様に、エンゲージメントを自分の戦略の主要な目標にする必要がありますが、一方で、以前に自分のコンテンツを気に入ってくれたユーザーが離れていかないように、自分のコンテンツとの一貫性を(投稿と質の点で)維持する必要もあります。
価値のある会話
人脈作りのためのナンバーワンプラットフォームであるLinkedInのアルゴリズムには、フィード内のコンテンツをランク付けするための独自の優先順位があります。LinkedInのプロダクトマネジメント担当シニアディレクターであるPete Davies氏は、2019年のブログで、LinkedInがフィード内で上位にランク付けする「価値のある会話」を探していることを明らかにしました。しかし、価値のある会話とは何でしょうか?Davies氏は続けて、3つの重要な考慮事項について説明しています。
知っている人: LinkedInのアルゴリズムは、ユーザーが直接知っている人や、最も深い反応やコメントでやり取りしている人が優先されるように機能します。
話: アルゴリズムでは、単純に最良と判断した会話、つまり建設的なやり取りと高い信頼性を備えた会話も優先されます。
気になること: 自分の興味に合ったコンテンツも、もちろんLinkedInフィードで上位にランク付けされます。それは、自分がフォローしているハッシュタグ、参加しているグループ、フォローしているページにもとづいて推測されます。
これら3つの要素が連携して、自分が気になることについて話している知り合いのコンテンツが選び出されます。
実践的なヒント
上記のアドバイスはどのSNSプラットフォームにもほぼ共通するものであるため、LinkedInで実際に優先されるコンテンツの種類についてもう少し具体的に見てみましょう。
Digital Marketing Instituteによれば、アルゴリズムで上位にランク付けされるために採用できるヒントとして、次のようなものがあります。
3個から10個のハッシュタグを使って投稿を作成します。
コメントはエンゲージメントの点で「いいね」や反応よりも高く評価されるため、コメントを奨励します。
滞在時間も要因となるため、コンテンツを魅力的にします。
動画の使用を増やすことを検討します。動画コンテンツが必ずアルゴリズムによって優先されるわけではありませんが、人気が高いため、より多くのエンゲージメントを獲得できる可能性が高くなります。
LinkedInアルゴリズムの重要ポイント
LinkedInコンテンツを作成するときの主な目標は、多くのエンゲージメント、特にコメントを獲得できる価値のある会話を作成することです。ハッシュタグを使用して、実際に何についてのコンテンツであるかがアルゴリズムに明確になるようにします。また、滞在時間を延ばし、オーディエンスにより多くの価値を提供するために、より長い形式または動画ベースのコンテンツを作成することを検討します。
各SNSのアルゴリズムはプラットフォームごとに個別に作成されていますが、全体としてはある程度の一貫性があることがわかります。どのアルゴリズムも、最も興味深いコンテンツを最も興味のある人々にプッシュするという1つの目標では共通しています。アルゴリズム内でのコンテンツの注目度を高め、リーチを広げるために、様々なヒントやこつを取り入れることができますが、最も重要な問題は、常に自分のコンテンツの品質です。