チュートリアル記事

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Adobe Expressでのグラフィック制作ガイド

次回のプロジェクトでプロのように制作できるように、グラフィックデザインのアイデア考案から実際の制作までを説明します。

必要なもの
アプリ内で使ってみる

その計画はどのようなものか?

ある特定のプロジェクト向けにグラフィックを制作する際には、計画を立てておくと便利です。制作するグラフィックの背後にある意図とその目的を考慮することが、実際の制作に役立ちます。まずはグラフィックの構成(アセットなど)やデザインスキームのアイデア出しをおこなうことから始めることをお勧めします。

アイデア出しの際に、以下のような質問について検討してください。

  • グラフィックの意図は何か?

  • ターゲットとしているオーディエンスは誰か?

  • 自分の意図を伝えるうえでグラフィックの視覚要素がどのように役立つか?

  • グラフィックにオリジナルの画像やストック画像が含まれるか?

  • グラフィックをゼロから作成するかテンプレートから作成するか?

着想を得るために既存のグラフィックを調査することもお勧めです。紙やデジタルデバイスを使ってアイデアを書き出すことが役に立つ場合があります。Adobe Express内でいろいろと試すことがその代わりになることもあります。

テンプレートの使用

テンプレートとは、ある特定のプロジェクト用に作成されたデザインのプリセットのことです。特定のイベントや祝日用のものから、形式が決まっているもの(メニューなど)まで、グラフィックが必要とされるあらゆる形式に合ったテンプレートが存在します。テンプレートをもとにして編集することで、方向性やスキームが決まっているものをベースとし、好みや具体的なニーズに合わせてデザインを調整できます。テンプレート内の写真を置き換えたり、テキスト要素の外観やその中の情報を変更したりできます。用意されている多数のテンプレートの中から選択でき、変更を加えられるオプションの数も豊富です。

グラフィックの要素

一般にデザインはテキストと画像の両要素によって決まりますが、各カテゴリでは様々なことを考慮する必要があります。デザインに関わる決定はすべて、プロジェクトの広い範囲に影響を及ぼします。デザインを構成する要素を選択する際には、デザインの基本原則をお手本にしてください。見た目が美しく、メッセージが効果的に伝わるグラフィックを制作するうえで重要な考え方を学ぶことができます。デザインの各要素の個々の機能を理解できるだけでなく、グラフィックのデザインが全体としてどのように機能するかをより明確に理解できるようになります。

テキスト

グラフィックのテキスト要素をデザインする際に重要なのは、テキストのフォントとサイズです。異なるフォントを使用することで、スタイルや見た目の美しさを大きく変えることができます。基本となるフォントの種類、各フォントによって伝わる視覚的なメッセージ、それらを組み合わせることで得られる効果については、フォントの組み合わせガイドで紹介しています。

フォントのサイズやスケールによって、メッセージの伝わり方が変わります。強調と階層のデザイン原則に従って、グラフィックのスキーム全体の中の重要度に合わせてテキストのサイズを選択するようにしてください。また、フォントサイズとグラフィックの残りの部分とのバランス(相対的な比率)についても考慮する必要があります。デザインを進める中で、グラフィックの要素がすべて調和して見えるように調整が必要になる場合があります。

整列

テキストボックス内の標準の整列方法は、左揃え、右揃え、または中央揃えです。とはいえ、例えばテキストを円形やグリッド状に表示するなど、より装飾的な整列方法を検討することもお勧めです。Adobe Expressには、曲線揃え、グリッド揃え、自動揃えにするオプションがあります。

曲線揃え 」にすると、テキストが円、半円(上)(虹のような形状)、半円(下)(笑顔マークのような形状)のいずれかの形状に配置されます。

グリッド揃え 」にすると、テキストボックス内で各文字が等間隔になるようにテキストが配置されます。グリッド揃えにする場合は、左揃え、中央揃え、右揃えを選択できます。これは、すべての行が同じ長さでない場合に、グリッドテキストの最後の行がどのように表示されるかに影響します。

自動揃え 」は多少ばらつきがありますが、各オプションは特定の規則に従って機能します。「マジック」はテキストをすべて大文字にし、長方形または正方形のフレームに収めます。「回転とフィット」はテキストフレーズからいくつかの文字を抜き出し、一部を回転させてフレーズ全体を1つにまとめます。「ドロップキャップ」はフレーズの最初の文字を最も目立つようにし、残りの文字をテキストボックス内に収めます。これらのスタイルをいろいろと試し、各整列ボタンのシャッフルオプションを使用して、利用できるバリエーションを確認してください。

行と文字の間隔

キャンバス上のテキストの配置によって、グラフィックの特徴が決まります。行間と文字間には多少のスペースが設けられる場合があります。これらのスペースは自分の好みに合わせて調整できます。これは、テキストのデザインの個々の機能に影響しますが、デザインのより広い範囲にも当然影響を及ぼします。

タイポグラフィにおいて、カーニングとは、文字を最も美しく読みやすく見せるために、2つの文字間のスペースを調整することです。異なる文字を隣り合わせに配置すると、それら文字の間の知覚できるスペースの大きさは異なるものになります。これはフォントとテキストのサイズによっても変わります。形状に合わせて具体的に文字間のスペースがデザインされていると、最も見栄えが美しくなり、読みやすくなります。現代のフォントデザインでは、カーニングを使用して美しく仕上げることが多くあります。しかし、文字およびそのサイズの組み合わせは多岐にわたるため、タイポグラファーは多くのことを考慮する必要があります。Adobe Expressにはカーニング機能は搭載されていませんが、多様な文字の組み合わせを試し、それがデザイン全体に与える影響を観察してみると良いでしょう。

シェイプ

背景またはフレームのシェイプを組み合わせて、テキストをデザインできます。これによりテキストをさらに強調し、グラフィックの背景に対して必要なコントラストをつけることができます。このツールを使用すれば、テキストをグラフィックの他の要素から簡単に目立たせることができます。

シャドウとアウトライン

シャドウとアウトラインを使用すると、テキスト要素を強調してコントラストをつけ、ページ内で浮き上がっているように見せたり、目立たせたりできます。テキストに追加するシャドウについては、テキストの周囲に影を落とす角度や、テキストからどれくらいの距離を離して影を落とすかを編集できます。これにより、テキストの奥行き感と、テキストの向きに対する遠近感を変えることができます。

テキスト効果

テキスト効果とは、言葉で説明して指定したビジュアルテーマを反映したテキストを生成する機能のことです。造園サービスを宣伝するポスターを作成していて、タイトルセクションにテクスチャを加えたいとします。「綺麗に刈り揃えられた芝生」などと入力すると、テキスト効果によってそのプロンプトに近いテクスチャが生成されます。

ダイナミックテキストレイアウト

ダイナミックテキストレイアウトオプションは、テキストボックス内の特定のセクションのフォントサイズを変更することで、テキストを生き生きと見せることができます。テキストのバリエーションを増やすのに便利なツールですが、意図をもって使用してください。これを使うことで目標としているデザインの実現に近づく、または伝えたいメッセージをはっきりと示すテキストの一部を適切に強調できるということであれば、使用を検討してください。

画像

デザインに素材を組み込む際には、画像が重要な役割を果たします。画像には写真のほか、描画、デジタルデザイン、撮影など、その他の方法で制作された視覚表現が含まれます。

要素を選択し、素材を追加する

ストックデータベースや自分のコレクションから素材を追加するなど、テンプレート内にはない要素も追加することでデザインをより良くすることができます。自分のメッセージを伝えるには何が必要であるかを考え、それに合わせて要素を選択してください。

シェイプ

基本のシェイプとグラフィックアイコンは、グラフィックに奥行きを出し、メッセージを伝えるのに便利です。編集できる項目は選択内容によって変わりますが、塗りや枠線はすべてに共通する基本的な編集要素でしょう。

ストック写真と素材の使用

ストック写真や素材の使用は、そのグラフィックデザインにより興味を引かせるための効果的な方法です。ストックライブラリには幅広い種類の素材が用意されており、カテゴリ別に参照したり、より具体的に検索したりできます。

ストック画像を選択するときは、以下のことについて考えてください。

  • 画像は内容を反映しているか?

  • 画像のビジュアル要素(色、向き、サイズ)はプロジェクトに合っているか?

  • 画像の質は問題ないか?解像度、関連性、適時性を考慮します。

  • 画像はデザイン標準に沿っているか?

  • ストーリーが伝わるか?

  • 重ねて使用するのに適しているか?画像内にコントラストの低い領域があれば、他の要素を簡単に重ねることができます。

  • 自分の注意を引くものであるか?

ストック画像のキュレーションについて詳しくは、写真編集ガイドを参照してください。

写真以外の要素

厳密には写真でなくとも、グラフィックに追加できるビジュアルデザイン素材は他にもあることを忘れないでください。「デザイン素材」タブには「デザイン素材」、「背景」、「シェイプ」、「アイコン」の各セクションにある様々なデジタルイラストや写真が組み込まれた他のストックビジュアルがホストされています。厳密には写真ではなくても、写真のように調整して強化できます。

デザイン素材 」にはフレーム、イラスト、オーバーレイ、テクスチャなどの画像のライブラリが格納されています。抽象的なものから写真の切り抜きまで、様々な素材があります。これらの素材は、プロジェクトの装飾にも主題にも使用できます。

背景 」にはキャンバス上の正方形または長方形の大きな領域を埋めることを目的としたビジュアルが格納されています。繰り返しのパターンのほか、人物が中心になっているものもあれば、全体が風景になっているものもあります。

シェイプ 」には様々なカテゴリにわたる比較的シンプルな形状の視覚表現が格納されています。このライブラリには、正方形や円などの基本のシェイプ、線と矢印のセクションのほか、吹き出しのセクションなどがあります。

アイコン 」はシェイプに似たシンプルな画像ですが、シェイプよりも細かいディテールが施されており、テーマにもとづいて編成されています。動物と生き物、食べ物、お祝い、スポーツなどのカテゴリがあります。ワインとチーズを楽しむイベントの招待状にシンプルな画像を載せたいとします。グラスを合わせている画像も、穴の空いたチーズの画像も簡単に見つかります。

画像ベースの要素の調整

グラフィック内の画像ベースの要素を選択すると、写真と同じように編集および調整するオプションが表示されます。ここでは、グラフィック内の画像に対しておこなうことができる基本的な調整を紹介します。

背景を削除

「背景を削除」を使用すると、画像の主な被写体を分離し、背景から引きはがすことができます。背景は基本的な色の塗りつぶしの場合もあれば、より複雑なものである場合もあります。いずれの場合も、選択した画像の主な被写体をキャンバスに残し、その背後にある要素を編集できる範囲が広がります。

消しゴム

「消しゴム」を使用すると、画像の選択した部分を消去できます。クイック選択ブラシを使用して消去する領域を指定するか、円ブラシを使用して消去する領域をより細かく塗りつぶすことができます。これは、最終デザインに含めない領域を画像素材から削除するのに最適なツールです。間違って消去してもいつでも復元できるので安心してください。

切り抜き

「切り抜き」を使用すると、画像の特定の領域のみを残して削除できます。フリーフォームの長方形で選択した領域、標準のアスペクト比、より装飾的なシェイプ(円形やハート形など)で切り抜くことができます。

不透明度

デザイン内の特定の要素の不透明度を調整することで、デザイン全体の見栄えが大きく改善されることがあります。不透明度とは、光を遮断する度合いを表します。一般に、不透明度が高い要素ほど見やすくなりますが、全体のバランスを考慮する必要もあります。特定の要素の不透明度を相対的に上げたり下げたりすると、要素同士のバランスがよくなったり、より統一感が増したりします。不透明度をいろいろと変えることで必要な変化に導き、グラフィックの見栄えも良くなります。半透明のテキストや画像は見る者の興味を引き、より効果的にレイヤー構造を使用することができます。

ブレンド

描画モードは、グラフィック内のレイヤーをどのように相互作用させるかを選択する機能です。デザインの全体的な印象をふまえて画像の見せ方を調整するのに便利です。不透明度と直接的な関係があり、不透明度によってブレンドの強度が決まります。

ページ背景を置き換え

このツールを使用すると、選択した画像を簡単にキャンバスの背景に設定することができます。通常はページと画像の縦横比は異なるため、背景として画像を設定後、表示位置を自由に調整することが可能です。気が変わったら、画像を背景から解除することもできます。

効果:フィルターの適用

フィルターとは、画像の美観を調整するための既成のテンプレートのことです。少しの調整で大きな効果をもたらし、画像を簡単に補正できます。グラフィックで使用している画像の視覚効果を変更するには、フィルターを使用すると簡単です。フィルターの種類と、フィルターがどの部分に作用するよう設計されているかに応じて、グレアを最小限に抑えたり、色味を強調したり、コントラストを高めたりすることができます。基本とダブルトーンの効果を選択でき、基本ではモノクロや淡色などの選択が可能で、ダブルトーンでは様々なプリセットとともに自由に色をカスタマイズすることもできます。

色調補正・ぼかし:画像を手動で編集する

画像の特定の側面(コントラストやシャドウなど)をより細かく制御するには、「色調補正・ぼかし」を使用します。グラフィック内の画像を調整することで、その画像をデザイン内でどのように「際立たせ」、他の要素とどのように連携させるかを簡単に決めることができます。

グラフィックの統一

他のデザインと同様に、要素を選択して必要な変更を加えた後は、俯瞰して全体を眺め、それぞれの要素が調和しているかを確認することが重要です。統一性に関わるデザイン原則を守ることで、デザインの異なる要素同士が互いにどのように作用するかの有効性を基準にグラフィックが仕上っているかどうかを判断できます。戻って調整する必要性が出てくることもあります。目標をすぐ手の届くところに設定し、すべてをうまくまとめ上げることに注力してください。プロジェクト完成まであと少しです。


プレゼンター

Adobe Express

2023年11月27日

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