ノンデザイナーが挑む!Adobe ExpressとAI活用で変わる、広告クリエイティブ制作

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アドビは2024年5月24日、株式会社オプト、Re Data Science株式会社と協力し、「画像生成AI×効果予測AIを活用した広告クリエイティブデザインコンテスト」を開催しました。

このコンテストは、デザインアプリ「Adobe Express」のテンプレートや生成AIによる編集機能を用いて、デザインのプロでない方々にも手軽かつ効率的に広告クリエイティブを制作できる機会を提供することを目的としています。さらに、広告効果予測AIツール「Open CTR Predictor」(※)を利用し、参加者に戦略的な広告の企画から制作、効果分析までの一連のフローを体感してもらうことを目指しました。

本コンテストは、広告クリエイティブの制作経験がない方々を対象とし、マスメディア、広告代理店、Eコマースなど幅広い業界から参加者が集まりました。職種もマーケティング、営業、データ分析など様々で、多様なバックグラウンドを持つ方々が参加しました。

本記事では、コンテストの内容や参加者が制作した作品を詳しくレポートします。イベント当日の様子はこちらの動画でもご覧いただけます。

※「Open CTR Predictor」は株式会社オプトとRe Data Science株式会社が共同で開発した、無料で活用可能な広告効果予測AIツールです。

コンテストの概要

このコンテストの主な目的は、以下の2つです。

次に、コンテストでのデザイン制作の流れについて紹介します。

参加者は3人1チームに分かれ、架空の商品を題材に、画像生成AIやテンプレートを活用して広告クリエイティブを制作します。そして、広告効果予測AIツール「Open CTR Predictor」を使用してデザインの広告効果を予測し、どのようなクリエイティブが望ましいかを判断します。このプロセスを繰り返し、最終的に最も効果が高いと判定されたクリエイティブを提出します。

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▲架空の商品を用いて広告を制作

制作時間は3時間。各チームは、以下のツールを使用し、制作時間内にクリエイティブを完成させ、効果検証を行った上で作品を提出しました。

A screenshot of a computer Description automatically generated

今回、コンテストの特別審査員として、LINEヤフー株式会社の林嘉信氏をお招きし、最終審査に加わっていただきました。LINEヤフーとアドビは、クリエイターの創作活動を支援するため、昨年に協業を発表しています。具体的には、「LINE Creative Lab」と「Adobe Express」の連携などのプロダクト連携や、クリエイターを支援する活動やノウハウ提供などの取り組みも行っています。

A group of people sitting at a table with laptops Description automatically generated

A collage of people looking at a computer Description automatically generated ▲テンプレートと生成AI機能を使用してバナーを制作

デザインの美しさと広告効果の両立を目指して

審査は以下の3つの基準で行われました。審査基準として、デザインの美しさだけでなく、戦略性も重要視しています。各チームの作品は、視覚的な魅力だけではなく、実際の広告運用を見据えた戦略性と予測効果が評価されます。

全9チームの中から3チームが表彰されました。

最多検証数賞

最多検証数賞は、3時間の制作時間で88案ものクリエイティブを制作し、効果検証を行ったFチームに贈られました。

A person standing in front of a sign Description automatically generated

「クリエイティブの検証は戦略的に行いました。チームメンバーの職種はエンジニアやマーケター、デザイナーに近い職種でみんなバラバラでした。それぞれが検証したい項目を分けて、例えば文字、雰囲気、フォントなど、細かく検証を積み重ねていった結果、88ものクリエイティブを検証できました。チームのバランスが良かったおかげだと思っています」

ベストグラフィック賞

「生成AIならでは」のユニークなアイデアを活かした作品を制作したBチームには、特別審査員の林氏からベストグラフィック賞が贈られました。

A person standing next to a sign Description automatically generated

「まず、商材の要件から日本人をモデルとして使いたいと思い、画像生成AIに『日本人 女性』というテキストを入力しました。最初はスタイルを『写真』にして出力したのですが、『アート』というスタイルに変更したところ、すごくかわいいイラストが出てきたのでこちらを採用しました。その後にコピーを考え、このデザインを作成しました。

画像生成AIだからこそ、短時間でここまでのクオリティのイラストができるのだと思います」

グランプリ

グランプリには、全作品の中で最も高い広告効果が予測されたEチームの作品が選ばれました。

A collage of a person holding a pillow Description automatically generated

「このクリエイティブはチームで共同制作したものです。まず画像生成AIに使用するプロンプトの入力のコツをメンバーに教えてもらい、改善を重ねて完成したのが女性の画像で、そこに商品画像を組み合わせました。

その後にメッセージをブラッシュアップしました。ポジティブなワードよりも、『カサカサ』といった悩みに関わるワードのほうが刺さると思い、この文言にしています。みんなで協力して作成したクリエイティブでグランプリが取れて、嬉しく感じています」

A collage of images of women and text Description automatically generated
▲コンテストで制作されたデザイン(抜粋)

AIの活用で広がるクリエイティブの可能性

最後に、審査員からコンテスト全体の評価と、画像生成AIの可能性や課題に関するコメントが寄せられました。

株式会社オプト 阿部 一馬氏

「今日、皆さまに感じていただきたかったのは、デザインは優れた技術や専門的な知見を有したクリエイターだけが行える、特別なスキルではないということです。生成AIの登場によって、ノンデザイナーの方にも可能性があることに気づいていただけたことが、非常に良かったと思います。

まだクオリティに満足されていない方もいると思いますが、初めてデザインに取り組む方も多い中、たった3時間でクリエイティブとして形になっています。

ぜひAI活用の可能性に気づいていただき、今後の皆さんの業務に生かしていただけると嬉しいです」

アドビ株式会社 有川 慧

「普段デザイン制作に携わっていない参加者の皆さんが、制作開始早々にAdobe ExpressやAdobe Fireflyを自在に使いこなしており、その熱意と創造性に感銘を受けました。皆さんが迅速にツールを習得し、ディスカッションを重ねながらデザイン制作に取り組んでいる姿を見て感激しました。

今後も皆さまがより良いクリエイティブを試行錯誤しながら制作できるよう、製品を通して支援をしていきたいと思います」

LINEヤフー株式会社 林 嘉信氏

「今日、審査員に入るとともに、自分でもAdobe FireflyとAdobe Expressを使ってバナーを作ってみました。皆さんもすごく楽しそうに作業していたので、参加して良かったです。

一方で、生成AIの面白い部分もありながら、私としては少し難しいと感じるところもありました。私自身、生成AIを使い慣れているわけではないですし、皆さんももっといい使い方があるのではないかと思っているかもしれません。

今日感じた、『もっとこうなればいいのに』というリクエストをどんどん出していただき、フィードバックをいただければと思います」

Re Data Science株式会社 高田 悠矢氏

「画像生成AIの登場により、デザイナー以外の人々にもクリエイティブな作品を作る可能性が開かれました。とはいえ、登場当初は著作権の問題などもあり、広告業界で生成AIを使うことは躊躇されていました。しかし、2023年にアドビさんがAdobe Fireflyをリリースし、安心して利用できるようになっています。

生成AIの進化はまだまだ期待されています。『生成AIが進化したらデザイナーの仕事が失われるのか』という声も挙がっていますが、決してそんなことはありません。デザイナーの役割は引き続き重要であり、生成AIとデザイナーが協力して作品を作ることが理想的だと考えています」

A group of people posing for a photo Description automatically generated

本コンテストを通じ、専門的なデザインの経験がない人でも、生成AIとツールを活用することで、効率的かつ戦略的に広告クリエイティブを制作できる可能性が示されました。Adobe ExpressやAdobe Fireflyを駆使して短時間でアイデアを具現化し、広告効果の予測と検証を行うことで、「単なるクリエイティブの制作を超えて、より戦略的な思考に集中することができた」という声も多く聞かれました。

今後も、こうしたAI技術の活用が広告の企画や制作に関わる人々の生産性を向上させ、革新的なクリエイティブを生み出す一助となることを楽しみにしています。

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