テレワーク導入の背景や言葉の意味は?働き方やメリットや課題を解説
テレビやニュースでよく耳にするようになったテレワーク。その言葉の意味や、実際の働き方について、なんとなくご存知の方も多いのではないでしょうか。しかし、テレワーク導入のメリットや課題について答えられる方は、どれほどいるでしょうか。
この記事を読んでいただければ、テレワークに関する詳細を把握することが可能です。また、テレワークの導入を検討している場合には、その足掛かりとしてご活用いただけます。
目次
1 . テレワークとは?
1.1 テレワークの定義と働き方を解説
1.2 雇用型テレワークの3つの働き方は?
1.2.1 在宅勤務とは?
1.2.2 モバイルワークとは?
1.2.3 サテライトワークとは?
1.3 テレワークとリモートワークの違いは?
2.1 日本のテレワークの歴史がスタート【第1期】
2.2 日本のテレワークの歴史はバブル期のサテライトワークで最高潮に【第2期】
2.3 日本のテレワークは情報通信技術を活用した働き方へ変化【第3期】
3 . テレワークの現状と普及動向は?
3.1 最新のテレワーク導入企業は全体の19%
3.2 産業別テレワーク導入状況は?
3.3 テレワーク導入の主目的は生産性の向上
3.4 導入しているテレワークの主な形態はモバイルワーク
3.5 テレワークを利用している従業員の割合は?
3.6 テレワーク導入企業の8割が効果ありと判断
4.1 働き方改革によるテレワークの導入
4.2 オリンピック開催時の交通緩和目的のテレワーク導入
4.3 新型コロナウイルスの感染拡大における企業のテレワーク導入
4.4 テレワーク導入でのBCP対策
6 . テレワーク導入のメリットは?
6.1 企業のテレワーク導入の7つのメリット
6.2 従業員のテレワーク導入の5つのメリット
6.3 テレワーク導入による社会への3つの効果
7 . テレワーク導入時の課題は?
7.1 企業が抱えるテレワーク導入への4つの課題
7.2 テレワーク実施従業員の導入への3つの課題:
8 . テレワーク導入までのプロセスは?
9 . まとめ
まず、「テレワーク」に関して、その詳細をご紹介します。
総務省によると、テレワークとは、[離れた場所]という意味の[tele]と、[働く]という意味の[work]を組み合わせた造語で、情報通信技術(ICT=Information and Communication)を活用した場所にとらわれない柔軟な働き方であると定義しています。
(参考:総務省テレワーク情報サイトよりテレワークとは)
テレワークには、[自営型テレワーク]と[雇用型テレワーク]の2種類があります。
●自営型テレワーク:
個人事業主がクラウドソーシング等を活用し、ライフスタイルに合った条件に応じて業務を請け負うテレワーク。
●雇用型テレワーク:
企業に属し、社外から社内データにアクセスし業務を継続でき、効率的かつ多様な働き方を行うテレワークのこと。雇用型テレワークには、[在宅勤務]、[モバイルワーク]、[サテライトワーク(施設利用型勤務)]の3つの働き方があります。
雇用型テレワークの3つの働き方をご紹介します。
自宅を就業場所にする働き方で、会社に出社する必要がないため通勤時間や交通費の削減等につながります。パソコンや電話、ファックスなどを使って会社と連絡を取ります。
主に育児や介護など家庭の事情によりフルタイムでの出勤が難しい場合などで利用されます。
顧客先や移動中に、ノートパソコンやタブレット機器、スマートフォンなどを使って業務を行う働き方です。時間や場所の制限を受けないことが特徴で、柔軟な働き方が可能になります。
外出が多い仕事、たとえば営業職などに向いています。
施設利用型勤務ともいいます。サテライトオフィス(企業や団体の本拠から離れて場所に設置されたオフィスのこと)や、テレワークセンター、スポットオフィス等を就業場所とする働き方です。サテライトオフィスは、都市企業が郊外に、あるいは地方企業が都市部に置くことが主です。
オフィス賃料の削減や、地方創生などの目的で利用されるケースが多い働き方です。
「テレワーク」と同じような言葉で「リモートワーク」があります。
リモートワークは、[遠い、遠く離れた、遠隔地の]という意味の[remote]と、[働く]という意味の[work]を組み合わせた造語で、「(所属する会社から)遠隔地で働く」という意味です。
言葉自体はテレワークとリモートワークにそれほど相違はありません。あえて区別をつけるのであれば、両者が指す範囲が異なります。
テレワークは[自営型テレワーク]と[雇用型テレワーク]の両方を指します。一方「リモートワーク」は、[雇用型テレワーク]とほぼ同義で、[自営型テレワーク]を含みません。
そうした意味では、「テレワーク」の方が「リモートワーク」より広い範囲を指すと言えます。
「リモートワーク」という言葉が、使われ始めてから日も浅く、定義づけもされていない現状はありますが、一般的な言葉の使い方や意味を考慮すると同義として考えても差し支えないと言えるでしょう。
元々テレワークは、1970年代に米国・ロサンゼルスで、エネルギー危機への対応と大気汚染緩和を目的として普及しました。
ここでは、日本でのテレワークの導入の歴史を3期に分けてご紹介します。
日本での最初のテレワークの導入事例は、1984年に開設された日本電気株式会社(NEC)のサテライトオフィスだと言われています。
結婚、出産といった人生の節目を機に退職する女性社員の退職に歯止めをかけるべく、その負担を軽減させるために設置されました。
このサテライトオフィスの設置は、当時日本電信電話公社(現NTT)が実施していたINS構想(電話回線をデジタル化し、各種通信サービスを統合して提供する構想)の実験の一環として取り組まれており、のちのISDNの活用の可能性を探る実験的な意味合いが強いものだったと言われています。
最もテレワークに対する機運が高まったのは、1980年代末頃からのバブル最盛期です。
バブル経済による地価の急激な高騰により、サテライトオフィスの導入を進める企業が相次ぎました。これは、都市部オフィスのコスト削減や、会社から離れた場所に住む従業員が増えたため、通勤時間を考慮したことなどが理由に挙げられます。
サテライトオフィスをはじめ、リゾート地に建設され、休暇中でも仕事が可能なリゾートオフィスが派生するなど、まさにバブル期はテレワークブーム、サテライトオフィスブームと呼ばれる時期だったのです。
しかし、バブル経済の崩壊と共に、各社のサテライトオフィスは閉鎖や撤退を余儀なくされました。閉鎖の要因は大きく二つ挙げられています。一つは、バブル経済崩壊後に地下が急落し、都市部でのオフィス維持のハードルが下がったこと。もう一つは情報インフラが十分に普及していなかったため、本社オフィス勤務の代替がむずかしかったことです。
バブル崩壊後減少していたテレワークへの取り組みが、1998年頃から再注目されました。
その理由は以下の2つです。
・企業がBPRの一環で効率的な働き方を模索・検討した結果、テレワークが再評価されたため。
・インターネット、電子メール、携帯電話等の情報通信技術が企業に広く普及した時期だったため。
そうした状況下、安倍首相が、2006年に「テレワーク人口の倍増」を掲げたことから、さらに注目されました。
当初は生産性の向上を目的としていましたが、翌年に政府が掲げた計画で、テレワーク推進の目的が、[ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現]になりました。
その後、情報通信技術と共にテレワークの導入が強く推進されるようになり現在に至ります。
(参考::総務省平成22年3月「テレワークの動向と生産性に関する調査報告書」)
2018年(平成30年)時点で、テレワークを導入していると解答した企業は、全調査対象企業の19%。前年から5.2ポイント伸長しました。導入予定がある企業が7.1%と、増加幅も過去最大となっています。
(出典:総務省・通信利用動向調査)
(出典:総務省・通信利用動向調査)
テレワークを導入している企業で、それを利用している従業員の割合は、5%未満が最も多く47%。次いで、10%~30%未満が27%となっています。
(出典:総務省・通信利用動向調査)
テレワークを導入している企業の21.1%が[非常に効果があった]、58.1%が、[ある程度効果はあった]と回答しました。テレワークを導入した79.2%の企業がその効果を認めています。企業におけるテレワーク導入の必要性が認識された結果となりました。
(出典:総務省・通信利用動向調査)
昨今では、テレワークによる働き方が浸透してきています。そして、その働き方が劇的に変化する時期に突入していると言っても過言ではないでしょう。
ここでは、今だからこそテレワークの働き方が注目されている4つのことと、その理由や背景をご紹介します。
現在直面している[少子高齢化による生産年齢人口の減少]や[育児や介護との両立など、労働者のニーズの多様化]という状況において、投資やイノベーションによる生産性向上と、就業機会の拡大、意欲や能力を存分発揮できる環境づくりが重要な課題になっています。
その課題を解決すべく、労働者の置かれた個々の事情の応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、労働者人一人ひとりが、より良い将来の展望が持てるようにすること目指すことを、『働き方改革』といいます。
(参考:厚生労働書・「働き方改革」の実現に向けて)
政府は、テレワークが働き方改革の切り札となると考え、積極的に導入を推進しています。
・ 労働者:ワークライフバランスの実現
・ 社会:労働人口の確保や地域活性化等への寄与
・ 企業:生産性の向上
労働者、社会、企業が三位一体となり、テレワークによる働き方改革を進めることで、一億総活躍、女性活躍を推進することが可能だと考えられています。
先日、2021年への延期が決定した東京オリンピックですが、そこでもテレワークの普及が進むことが期待されています。
オリンピック開催中の一日当たりの予想会場来場者数は最大で92万人です。
東京メトロと都営地下鉄の乗降者数が、通常より10%以上増加すると予想されており、交通緩和が急務となっています。
(参考:一般社団法人日本テレワーク協会・「 2020年東京オリンピックとテレワーク 」)
2012年のロンドンオリンピックでは、市内の約80%の企業がテレワークを実施し、交通の混乱を防げたこともあり、政府は東京都を中心にオリンピック開催期間中のテレワークの導入に積極的に取り組んでいます。
企業の、各都道府県からの非常事態宣言や外出自粛要請等への対応が急務となっており、企業の在宅勤務の導入が急速に広がっています。
日本経済新聞社が2020年2月27日に実施した緊急調査によると、国内主要企業の46%が、原則または一部在宅勤務に切り替えました。
(参照:日本経済新聞社・「 在宅勤務5割、宴席自粛8割 新型コロナ対策企業調査 」)
また、大阪商工会議所が2020年3月12日に発表した「新型コロナウイルス感染症への企業の対応に関する緊急調査」結果についてによると、資本金3億円以上の企業の54.7%、資本金3億円以下の企業の9.5%が、在宅勤務・テレワークを実施したと回答しています。
オリンピック開催に向けて在宅勤務の実施を検討していた企業が、前倒しで実施したケースも多く見受けられました。新型コロナウイルスの感染拡大で、急速にテレワークが拡大したことが伺えます。
前述の新型コロナウイルスや自然災害発生が発生した際に、いかに事業を継続するかというBCP(Business Continuity Plan)=事業継続計画の観点でも、テレワークの導入は有効です。
万が一災害等が発生した際も、従業員がそれぞれの自宅で業務を行うことで、事業を継続することが可能です。あらかじめ業務上のリスクを分散しておけば、事業再開の際も問題なく対応できます。
また、オフィスの機能を主事務所とサテライトオフィスに分散させておくと、万が一主事務所が被災しても、サテライトオフィスで執務を行うことができ、事業の継続性を確保する事が可能です。
●生産性の向上のため:
テレワークを導入した企業の56.1%が生産性向上を導入の目的としています。
企業のみならず、ワークライフバランスが良くなるという理由で従業員にも良い影響を与えるという結果が出ています。2019年3月に東京都産業労働局が発表した「多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)」によると、在宅勤務を行った従業員の約30%、サテライトオフィスとモバイルワークを行った従業員の約50%が、生産性が向上したと回答しています。
●優秀な人材の確保のため:
テレワークを導入することで、従業員の離職率の低下につながります。また働きたくても家庭の事情で勤務が難しい人にとっては、テレワークを導入した企業であれば、自分の都合で働くことが可能です。テレワークを導入することで企業のイメージアップにもなり、フルタイムで働けない優秀な人材の確保や、あらたな雇用の創出につながります。
●コスト削減のため:
テレワークを導入した企業の48.5%が従業員の移動時間の短縮を、4.8%がオフィスコストの削減を導入の目的としています。従業員の移動時間の短縮は、移動による疲弊の心配がなく生産性の向上にも繋がりますが、コスト削減という面においてもメリットがあります。
またワークライフバランスが向上し、従業員の定着率が向上すれば採用コストの削減にもなるでしょう。
●ワークライフバランス(家事、育児、介護との両立)のため:
テレワーク導入企業の26%が、通勤困難者(身障者、高齢者、介護・育児中の社員等)への対応を導入の目的としており、21.7%の企業が、従業員のゆとりと健康的な生活の実現を掲げています。
在宅勤務では、子育てや介護において不測の事態が発生しても、仕事をしながら対応することが可能です。
ここでは、企業、従業員、社会にとっての、テレワーク導入のメリットを紹介します
企業におけるテレワークの導入のメリットは以下の通りです。
●人材の確保・育成:
優秀な人材の確保や、長期雇用につながります。
●業務プロセスの革新:
資料の電子化(ペーパーレス化)や情報共有方法の変化などの業務改善につながります。
●事業運営コストの削減:
オフィスの維持費や通勤費など、コストの削減が可能です。
●非常時の事業継続性(BCP)の確保:
非常時で、万が一本社機能が機能不全になっても、事業を継続でき早期復旧が可能です。
●企業内外の連帯強化による事業競争力の向上:
顧客、従業員ともに、連携強化が図れます。
●人材の離職抑制・就労継続支援:
離職率が改善し、従業員の定着率向上が図れます。
●企業ブランド・企業イメージの向上:
テレワーク導入企業としてのブランドや、従業員に優しい会社であるというイメージの向上が可能です。
(参照: 厚生労働省・「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」)
次に、従業員にとっての5つの導入メリットを考えてみましょう。
●ワークライフバランスの向上:
ライフスタイルに合わせた働き方が選べ、家族と過ごす時間や自己啓発の時間を増やせます。
●生産性の向上:
集中して業務に従事することで、効率が上がります。通勤による移動がなく、ストレスが低減されることも一因です。
●自律・自己管理的な働き方:
自らタイムマネジメントを行うため、自律的に仕事を進めることができる能力が強化されます。
●職場との連携強化:
職場と密に連携を図ることで、信頼感を強くすることができます。
●仕事全体の満足度向上と労働意欲の向上:
仕事の満足度が向上し、仕事に対する意欲が増します。
(参照: 厚生労働省・「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」)
在宅勤務による移動時間の削減などにより、自由時間を確保することで、ワークライフバランスが向上します。また、集中して業務を行うことで生産性が向上し、働き方改革の推進が可能となります。
テレワークの導入を通じて社会に効果をもたらす3つのことを見てみましょう。
●労働力の確保:
[少子高齢化による生産年齢人口の減少]という社会的課題に対し、労働者のライフスタイルに合わせて働けるようにすることで、生産人口減をカバーする労働力を維持することができます。
●地域の活性化(ふるさとテレワークの導入):
地方に設置されたサテライトオフィスなどで、都市部の仕事をテレワークで行う働き方を推進することで、都市部から地方へのヒトや、仕事の流れを創出します。
●環境負荷の軽減:
テレワークを導入することで、通勤での自動車の使用を削減し、二酸化炭素の削減につなげることができます。
アドビが発表した「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果」によると、過去3か月以内にテレワークを実施したビジネスパーソン500名のうち、その39.6%が「社内にある紙の書類をすぐに確認できない」ことが課題であると回答しました。また、全体の38.4%が「同僚とのコミュニケーションの量が減った」と回答しました。
テレワークを普及させるには企業側、従業員側双方に、解決すべき課題があります。ここでは、その課題についてご説明します。
▼リンク;テレワークの課題
●テレワークできる仕事がない:
基本的にテレワークで行える業務は、パソコンや他の情報端末を使用し、インターネット上で行う業務に限るため、対応できない職種もあります。対象となる職種の把握と、社内規定での明確化が必要です。
●情報漏えいのリスク:
テレワークでは、インターネット経由で、企業の機密情報を取り扱うため、情報が外部に流出するリスクを伴います。パソコン画面ののぞき見、端末の紛失や盗難などによる情報流出の可能性があり、そうしたリスクを防ぐ仕組み作りが必要です。
▼リンク:テレワークとセキュリティ
●労務管理(勤怠管理、労働時間の⻑期化、健康管理):
テレワーク実施従業員の業務実態の把握が難しくなることも課題の一つです。
成果主義による従業員の労働時間の長期化や、業務を行っていない従業員を見過ごす結果にもなりかねません。
勤怠を管理する仕組み構築し、テレワーク実施従業員の労働時間を、正確に把握する必要があります。
また、直接従業員の顔を見る機会が減少するので、健康管理にも気を配る必要があります。
●環境の整備:
テレワークの導入に際し、テレワークに対応した労働環境を整備する必要があります。
必須となるのが、社外から社内システムへ安全にアクセスできる仕組みの構築です。
また、テレワーク実施者と通常勤務者を含めた他の従業員をつなぐコミュニケーションツールも必要となります。
コスト面の負担は大きいかもしれませんが、労働環境をきちんと整えた上でテレワークを安全かつ円滑に運用しましょう。
次に従業員側の課題を見てみたいと思います。
●正当な人事評価がされない:
テレワーク実施従業員が、どの様に業務を遂行しているか、評価する上司からは見えないため、業務の評価が成果や結果のみに偏る傾向があります。
・ON/OFFの切替が難しい:
テレワーク実施従業員は、近くに上司や同僚がおらず、一人で業務を行います。そのため、ON/OFFの切り替えが難しいことがあります。それにより、労働時間が長時間に渡ってしまう可能性も考えられます。
このことから、従業員自らが自己管理の意識を高める必要があります。
●コミュニケーションの課題:
情報の共有不足など、オフィス出社時にはできていたコミュニケーションが、取りづらくなることが懸念されます。それが理由で、テレワーク実施従業員が、疎外感を感じる可能性がないとは言い切れません。
そこで、定期的な顔を合わせた会議や、テレビ会議の開催、チャット機能がある通信ツールの導入といった、孤立しないような仕組みが必要となります。
テレワークを導入するまでのプロセスをご紹介します。
▼リンク:テレワーク導入時の対策
●テレワーク導入目的と基本方針の策定:
「テレワークを導入することで期待する効果」という視点で導入目的を定めます。導入の段階で、目的意識を全社で共有することが重要です。導入目的を明確にした上で、実施部門、対象者、対象業務等を盛り込んだ、基本方針(テレワーク・ポリシー)を策定します。
●現在の業務の把握:
現在の就業規則、人事評価制度、ICT環境を把握すると同時に、労働時間制度、社内申請ルール、セキュリティルールなど、テレワーク導入に向け課題を洗い出します。
●導入範囲の決定:
[対象者]、[対象業務]、[実施頻度]を決定し、テレワーク導入のアウトラインを構築します。
対象者は、明確な基準を設けて決定します。対象業務は、テレワークで実施可能業務か否かで決めましょう。初期段階では実施頻度を週に一回など、少なめに設定します。
●社内ルール策定:
テレワーク勤務の内容に即した就業規則の変更し、社内申請のフローの確定を行います。労働時間などの労務管理に関するルールや、従業員の安全衛生に関するルールを決定します。
テレワーク業務時の通信費などのコスト負担についても決めておくとよいでしょう。
●導入システムの検討:
利用する対処の範囲、業務内容、テレワークの形態を考慮し、4つのシステム方式(リモートデスクトップ方式、仮想デスクトップ方式、クラウド型アプリ方式、会社パソコンの持ち帰り方式)から最も適したシステム方式を選定します。導入コストも考慮して決定する必要があります。
また、別途、労務管理ツール、コミュニケーションツールが必要となります。
●社内教育:
テレワークの目的、必要性、テレワーク実施時の体制を全社で共有することで、テレワークの高い効果を得ることができます。また、テレワークのツールの操作説明も必須です。
(参考:厚生労働省・テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック)
この記事では、テレワーク導⼊の背景や⾔葉の意味、働き⽅、メリット・デメリット・課題、導⼊にあたってのポイントなどをご紹介しました。
新型コロナウイルスの影響で、これほど在宅勤務を始めとする、テレワークの必要性が叫ばれたことはありません。働き方改革を実現するために必要なテレワークの働き方ですが、今回BCPなどの観点でも必要であることが広く認識されました。
業種や企業規模により導入の可否はあるかもしれませんが、まだテレワークを導入していない企業やその従業員の方々にとって、導入を検討するきっかけになれば幸いです。
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