テレワークのメリット・デメリットは
主に何がある?課題の解決策を紹介
今日の日本では、働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大防止を受け、テレワークという働き方が推奨されています。
総務省の調査によると、企業のテレワーク導入率は2018年に19.1%となっており、前年の13.9%から大幅に増加傾向となっています。そういった社会情勢がある中でも、未だテレワークの準備が進められていない企業も、多くあることでしょう。また、テレワーク自体、どういった働き方になるのか、自社の働き方に合うのか判断できないという経営者の方も多いのではないでしょうか。
今回はこれからテレワークを導入しようと計画している企業の皆様のために、テレワークのデメリットやその解決方法をご紹介します。
まず、テレワークという働き方について、簡単にご説明します。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。(引用:日本テレワーク協会)
テレワークとは、「離れた場所(tele)」で「働く(work)」という意味の単語を合わせた造語となっています。
リモートワークや在宅勤務との違いとは?
会社規定のオフィス以外で働くという意味で、「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」などの言葉をよく耳にします。
それぞれの言葉の意味に違いはあるのでしょうか。
- テレワーク:前述。ICTを活用し、場所や時間にとらわれない働き方。在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスの3つの働き方の総称。
- リモートワーク:「遠隔(remote)」で「働く(work)」という意味の造語。テレワークとほぼ同意義である。IT業界など、チームで働くことが多い場面で利用されることが多い。
- 在宅勤務:テレワークの一種。自宅のインターネット環境からクラウドサービスなどに接続し、オフィス勤務の社員や、同じ在宅勤務者とコミュニケーションを取りながら業務を行う。
上記のことから、ほぼ同意義であることが分かるかと思います。これらに共通して言えることは、「企業オフィス外で勤務にあたる働き方」だということです。
テレワークのメリットの調査
もちろん、テレワークを導入するのであれば、それ相応の成果がなければいけないでしょう。実際にテレワークを導入した際、企業や従業員にどのようなメリットがあるのでしょうか。
アドビによるテレワークのメリットや調査の結果
2020年3月4日、Adobe PhotoshopやAdobe Illustrator、Adobe Premire Pro等といった、企業でも使われるアプリケーションの開発販売元であるアドビがテレワーク採用後の企業に対し、テレワークのメリットとして感じられたこと等の意見調査を行いました。
- テレワークを体験したビジネスパーソンの86.4%が、業務の生産性が上がったと感じており、93.2%が今後も定期的にテレワークを実施したいと回答。
- テレワークを実施するにあたり、業務上の課題として感じたこととして最も多かったものは「会社に保管してある紙の書類を確認できない(39.6%)」である。次いで「自宅にプリンターやスキャナーがない(36.2%)」「自分以外の仕事の進捗が把握しづらい(35.0%)」。
- 心理的・身体的課題として最も多かったのは「同僚とのコミュニケーションの量が減る(38.4%)」である。次いで「時間管理が難しい(30%)」「つい仕事以外のことをしてしまう(28.6%)」。
- テレワークで働いているときに、紙書類などの処理対応のためにやむなく出社した経験があると回答した人は64.2%。
この調査では、テレワークを実施したことにより、業務の生産性向上が認められたという結果が報告されています。
テレワークは自宅の他、ICTを活用できる場所ならどこでも仕事が可能なので、サテライトオフィスはもちろん、電車での移動中や、最寄りの喫茶店・ファミリーレストランなどでも働くことが可能です。(集中できるかは置いておきますが…)
人によっては通勤時間そのものをなくし、業務にすぐさま取り組める、というのも魅力です。
自分の好きなところで、仕事の障害になりがちなものを省いた環境で働けるのですから、必然的に社員のモチベーション増加に繋がります。
テレワークが推奨されていた背景として、社員一人一人が集中して業務に取り組める環境を用意でき、社員のモチベーション、企業全体の生産性の向上が見込める、という点もあります。
テレワークのデメリットとは
ここまでテレワークのメリットを紹介してきましたが、一方でテレワークのデメリットや問題点も浮き彫りになっています。
テレワークを採用することで生じるデメリットや課題は、どのようなものがあるのでしょうか。
デメリット①『テレワークにできる業務がない』
そもそも大前提として、テレワークはICTを活用した働き方となります。ですので、飲食店や小売店などのサービス業や製造業など、現場に行って仕事をしなくてはならない業務をテレワークにすることはできません。
サービス業や製造業でも総務部、人事部、資材部などの管理部ならば、テレワークが可能ですが、現場との兼ね合いから、テレワークを採用できないという企業も多い傾向にあります。
業務の切り分けや、業務プロセスの見直しを実施し、社内でルールを策定するなどの対応が必要となります。
デメリット②『従業員の勤怠管理が難しい』
テレワークは時間や場所にとらわれない働き方です。そのため、働く場所として自宅を選ぶ方も多いでしょう。しかし、自宅であるがゆえに業務に集中できない、業務時間を削らざるを得ない、就業時間を大幅にオーバーしても働き続けてしまうなどの弊害が出る場合もあります。
Adobeの行った調査結果でも、「つい仕事以外のことをしてしまう」と回答している方が28.6%と、調査対象の実に1/4以上の方が課題として挙げています。
テレワーク導入の際には、勤怠管理のシステムを整備した上で、労働時間を把握できる仕組み作りをするとよいでしょう。
- リンク:テレワーク導入後の労務管理
デメリット③『ツールやシステムの導入が必要になりがち』
テレワークをするには、IT環境の完備が絶対条件になります。
業務で使うパソコンは勿論、ネット環境、通話や遠方会議のためのツールやアプリケーション、システムの導入などが必要になり、それに大きな費用が掛かる場合も多いです。また、セキュリティに関しては、企業・従業員ともに細心の注意を払わなくてはなりません。
テレワーク導入にあたり、企業内で必要なツールやシステムは何か、検討が必要と言えるでしょう。
- リンク:テレワーク導入時のセキュリティ対策
デメリット④『コミュニケーションが不足しがち』
テレワーク導入の上で、社員同士のコミュニケーション不足が懸念される、という方も多いのではないでしょうか。実際にAdobeが行なった調査でも、心理的・身体的課題のトップは「同僚とのコミュニケーションの量が減る(38.4%)」でした。
コミュニケーション不足で発生する課題として、下記が挙げられます。
- 従業員のモチベーション低下
- 業務が円滑に進行しない
- 人材育成が難しくなる(特に OJT)
テレワーク導入前には、コミュニケーションツールの導入をはじめ、朝礼の実施、進捗の報告などのルール策定を行なった上で円滑なコミュニケーションが行えるよう、努める必要があるでしょう。
- リンク:テレワーク導入時のコミュニケーションの課題
デメリット⑤『紙の書類をすぐに確認できない』
諸外国に比べ、ペーパーレス化が遅れている日本では、テレワーク導入もまた遅れていると言っても過言ではありません。テレワークで勤務をしているのに、紙の書類であるがゆえに、わざわざ出社しなくてはならなかったケースも実際にあるようです。
紙書類をデジタル化することで、業務の効率化に繋がります。承認待ちなどの無駄な時間を減らすことができるのはもちろん、環境にやさしく、セキュリティ面も安全です。テレワークを導入する際には、同時にペーパーレス化も進めると良いでしょう。
紙書類のデジタル化アプリは?
テレワーク時に使える便利なアプリケーションをご紹介します。
紙書類をデジタル化で便利なツールは下記の三つです。
- Adobe Acrobat
- Adobe Scan
- Adobe Sign
Adobe Acrobat Readerで書類をPDF化できる
Adobe Acrobat Readerは一般的にはPDF文書を閲覧するためのソフトですが、有料版の
Adobe Acrobatならばスキャンした紙書類をJPEG形式やPNG形式ではなく、Wordで編集可能な文書にすることが可能です。また、PDFファイル内の文字や記号を認識し、同じくWordで編集可能にすることもできます。
Adobe Acrobat Readerは有料版にすることによって、紙書類のデジタル化を大きく助けてくれるものになります。
Adobe Scanで簡単スキャン
自宅にスキャナーがない場合は、お手持ちのスマートフォンでスキャニングが可能なAdobe Scanという無料アプリを使ってみましょう。
スマートフォンのカメラで撮った写真を高画質のPDF文書にすることが可能です。ここで取り込んだ紙書類の写真をAdobe Acrobatで、編集可能のPDF書類にすることもできます。
Adobe Signで電子サインができる
Adobe Signでは、PDF等の電子書類にサインをすることができます。
稟議書にはサインや判子が必要になる場合が多く、紙書類の場合、決済者の回覧に時間がかかってしまいます。ですが、Adobe Signを使うことで、電子化された稟議書にどこからでもアクセスでき、サインをすることが可能です。決済者の外出時やテレワーク時なども、待ち時間なく承認してもらうことができます。
増えた書類はDocument Cloudで管理
Adobe AcrobatとAdobe Scanによって書類の電子化をしたら、
Adobe Document Cloudにアップロードすることをお勧めします。Adobe Document Cloudを使うことで、オンライン上に電子化した書類を保存し、社員や関係者が手持ちの端末で確認できるようになります。
Adobeが管理しているソフトウェアなので、セキュリティ面も安心です。これら3つのソフトウェアを使えば、テレワーク導入時のデメリットである、書類の電子化問題は解決できるでしょう。
まとめ
テレワークの導入は、企業の生産性向上や業務効率を上げるために、2020年以降も増加傾向であると考えられます。導入の際には、自社で実施する際のメリット・デメリットをきちんと理解し把握した上で始めてみましょう。
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