収入印紙が必要な契約書の種類は?電子契約で収入印紙が不要な理由

印字代を計算している

電子契約書や電子データの領収証等には「印紙税」がかかりません。電子契約書を導入すると紙の保存や契約書の作成、郵送などのやり取り、「収入印紙」が不要となって経費を大幅に削減できます。

 

今回は、そもそも収入印紙とは何か?といった基本的なところから、電子契約で収入印紙が不要となる法的根拠、電子契約書導入によって実際にコストカットに成功した事例などをご紹介します。

収入印紙とは

収入印紙

収入印紙とは、税金や手数料を徴収するために国が発行する証票です。切手のような形をしていて郵便局や印紙販売所で売られており、低額なものであればコンビニでも購入できます。

 

たとえば法務局で全部事項証明書を申請する際やパスポートの発行を受けるとき、裁判を起こす際などには「手数料」として所定金額の収入印紙を納付しなければなりません。

 

また「印紙税」という税金を納めるために収入印紙が必要となるケースも多々あります。各種の契約書や領収証を作成する場合、所定金額の収入印紙を貼り付けて印紙税を払わねばなりません。

 

印紙によって手数料や訴訟費用、過料や科料等を納めることができる根拠となる法律は「印紙をもってする歳入金納付に関する法律」です。

 

また印紙によって印紙税を納めるべき根拠となる法律は「印紙税法」です。

 

印紙税法により、印紙税の課税対象となる文書や納税義務者が明らかにされています(印紙税法2条及び別表第一、第3条)。

 

そして印紙税法5条には印紙税がかからない「非課税文書」が列挙されています。

 

 

収入印紙が必要となる書面の要件

領収書を作成している

収入印紙によって印紙税を払わねばならないのは、以下の3つの要件すべてに該当する文書です。

 

(1)印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書によって証されるべき事項(課税事項)が記載されている

(2)当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書である

(3)印紙税法第5条(非課税文書)によって印紙税を課税しないとされる非課税文書に該当しない

 

No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁 (nta.go.jp)

 

課税対象文書の種類

印紙税の対象になる書類

印紙税の課税対象となるのは以下のような書類です。以下代表的なものを記します。

 

  • 不動産や鉱業権、無体財産権、船舶や航空機、営業譲渡契約書

  • 請負契約書

  • 約束手形

  • 株券や出資証券、社債や投資信託などの受益証券

  • 合併契約書、吸収分割契約書、新設分割契約書

  • 継続的取引の基本契約書

  • 預金証書、貯金証書

  • 船荷証券

  • 保険証券

  • 信託契約書

  • 債務保証契約書

  • 金銭や証券の寄託契約書

  • 売上代金にかかる金銭や有価証券の受取書

  • 配当金領収証、配当金振込通知書

  • 消費貸借通帳、請負通帳

  • 判取帳

 

上記それぞれについて印紙税の金額も国税庁により発表されています。契約書や領収証の場合、記載金額が高いほど印紙税額も高額になり、1通で20万円以上の収入印紙が必要となるケースもあります。具体的な金額は以下のリンクからご確認ください。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

 

電子契約で収入印紙が不要な理由

 

上記のように、不動産売買や請負など各種の契約書や領収証には所定金額の収入印紙を貼らねばなりません。

 

ただし「電子契約書」であれば収入印紙が不要となります。根拠は「印紙税法3条」と「印紙税法基本通達44条1項」です。

 

印紙税法3条によると、「課税文書を作成した人」に印紙税がかかると規定されています。そして「印紙税法基本通達44条1項」によると、「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき「用紙等」に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することとされています。

収入印紙が必要な文書なのか判断するためのフロー図

つまり印紙税がかかるのは「用紙等」を用いた場合であり、電子データのやり取りについては対象外となるのです。

 

 

参考:印紙税法基本通達

国税庁の見解や具体的事例における回答事例

大都会のビル群

実際に国税局が「電子データには印紙税がかからない」と回答した事例が複数あるので紹介します。

 

ケース1

ある事業者が「請負契約の注文請書を電子データにしてメール送信した場合に印紙税がかかるのか?」と質問した際、福岡国税局は「電子データの場合には印紙税がかからない」と回答しました。

https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/01.htm

 

ケース2

「コミットメントライン契約において印紙税がかかるのか?」という想定問答において国税庁は「電子データであれば課税されない」と明記しています(問2参照)。

コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い|国税庁 (nta.go.jp)

参議院での政府答弁

参議院における政府答弁においても文書課税である印紙税においては、「電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。」と回答されており、電子データによる契約書や領収証等の書類には印紙税がかからないことが明らかにされています(参照 五について)。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm

 

以上のように印紙税法の解釈、国税庁の見解、政府答弁すべてにおいて「電子データには印紙税がかからない」ことが統一見解となっています。電子契約書や電子データの領収証等は印紙税の課税対象とならないことに争いはなく、明らかな状況といえるでしょう。

 

印紙のコストを削減した企業の事例は以下をご覧ください。 

SB C&S

日本ビジネスシステムズ

ソニー銀行

 

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この記事は、Adobe Signの業務/法令対応コンサルティングパートナーである、ケインズアイコンサルティンググループの監修の元に書かれております。

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