ホワイトボードアニメーションの作りかた
ホワイトボードを使ったクオリティの高い映像の作りかたを学び、自分だけのアニメーションスタイルを見つけましょう。
ホワイトボードアニメーションとは?
誰でもミーティングでアイデアを絵にしたり、数学の授業で問題をイラスト化したり、買い物リストを書いたりするためにホワイトボードを使ったことがあるでしょう。
このホワイトボードは、アニメーション動画を作成するときにも使うことができます。
ホワイトボードは、複雑なアイデアをイラストで視覚的に表現するのに最適です。
また、ホワイトボードアニメーションは、マーケティング動画や教育用動画によく使われています。わかりやすいイラストと説明でメッセージを伝えることができ、顧客や学生の注目をすばやく、確実に集めることができるからです。
「ホワイトボードアニメーションはもともと、普通のホワイトボードにマーカーペンで描いて作成していました。影もつけずに、線でサッと書くだけです」とアニメーターでイラストレーターのマーク・ウディングさんは説明します。ホワイトボードアニメーションには内容を説明するナレーションがついていることもよくあります。
魅力的なホワイトボードアニメーションを作るには
1.ホワイトボードアニメーション用のアウトラインを決める
魅力的な動画を作るポイントは、よい台本を書くことです。
「動画はストーリーがよければ成功します。魅力的な動画を作りたいなら、まずよい台本を書くことから始めましょう」(アニメーター・イラストレーター/ウィリアム・ウォレンさん)
だからといってすぐに台本を書き始めるのではなく、まず動画の内容に注目し、何を言いたいのか、どのようにそれを伝えたいのかをよく考えるようにしましょう。
ほとんどのホワイトボードアニメーションは、トピックについて説明する構成か、ストーリー性を持った構成になっています。たとえ退屈な学校の授業でも、伝えかた次第で非常におもしろいものにできるのです。
「伝えたいメッセージの中に、人に訴えかけるような話が必ずあるはずです。魅力あるストーリーに従って伝えれば、どのようなトピックであっても、その魅力は必ず相手に伝わるはずです」(ウォレンさん)
ホワイトボードアニメーションの台本を書くときは、常にビジュアルを念頭におきましょう。文章ひとつにつきひとつのシンボル、またはひとつのイラストという割合にすると、適度なスピードになります。
「ひとつの文章を話すうちに3つもイラストを見せてしまうと、見ている人にとってペースが早すぎるのです。一方で、ひとつの段落につきイラストもひとつでは間が空きすぎてしまい、見ている人は次のイラストが出てくるまでに待ちくたびれてしまうでしょう」(ウディングさん)
台本を書いているときは、たまに声に出して読んでみることも重要です。そうすればボイスオーバーのペースや話しかたの調子をつかむことができ、仕上がった動画にボイスオーバーが自然な流れで耳に聞こえるかどうかがわかるようになります。
2.ストーリーボードを作り、アニメーションのスタイルを決める
ストーリーボード・絵コンテを作ると、各ボイスオーバーに合わせて、どのような絵を描けばいいのかを決めるのに役立ちます。
「動画の流れがわかる、内容のいいストーリーボードがあれば、最終的な動画もきっとすばらしいものになるでしょう」(ウォレンさん)
事前にアニメーションの各部分の絵を決めたら、それぞれの絵が合体するとどのようになるのかをイメージしましょう。
「ホワイトボードアニメーションでは、ビジュアルのコンセプトが一番重要です。ビジュアルイメージが動き出すことで、見ている人はどんどん興味を惹かれていくでしょう」(ウディングさん)
さらに、どのようなキャラクターをアニメ化するのか、どのような色を使いたいかも考えておきます。イラストのほかに、文字もどう加えるかも検討しましょう。ボイスオーバーの部分は、見ている人にわかりやすいよう、字幕を表示するとより伝わりやすくなります。
3.必要な道具を揃える
制作プロセスにおける次の手順は、撮影する場所を準備し、道具を揃えることです。ホワイトボードアニメーションは通常、一般的なホワイトボードを使いますが、フォームボードや大きな白い紙を使うこともできます。その場合、違うタイプのペンを使うことになりますが、ホワイトボードと違い、“消す”と言う作業ができなくなることに注意しましょう。何を使って描くかを決めたら、撮影場所を決めて照明やカメラを準備します。
描いたイラストが正面から見える位置にカメラを設置します。自分の手とカメラの位置を確かめ、フレームの中に、イラストを完成させるのに十分なスペースを確保しましょう。イラストを描くときに自分の手の影が映らないよう、照明の位置を工夫します。
4.ホワイトボードアニメーション向けにイラストを描き、撮影する
動画を撮影する前に、イラストを描くためのウォーミングアップをしておきましょう。
「私はホワイトボードに描く前に、大抵20ぐらいの絵を描いてウォーミングアップします。描き始めは手がまだ硬くてよく動きません。最初のイラストのいくつかはいつも躍動感に欠けてしまうのです」(ウディングさん)
イラストやアイコン、文字といった要素をひとつひとつ時間をかけて、ていねいに描きます。描く速度は後処理で早めることができますが、描いてしまったイラストを、撮影後に直すのはかんたんではないからです。ストーリーボードを常にそばに置いて、何も描き落とさないようにしましょう。このとき、楽しみながらイラストを描くことも大切です。
5.声と効果音を録音する
自分で録音するにせよ、他人に録音してもらうにせよ、音声の質の良し悪しは動画制作の鍵となります。自分で録音するなら、ホームレコーディングスタジオをセットアップしましょう。ボイスオーバーを録音したら、Adobe Auditionを使って、余分なバックグラウンドノイズを除去します。次に、トラックをクリーンにし、必要であれば新しいレイヤーを作って音声効果を加えます。
6.後処理でまとめ、仕上げる
最後にオーディオとビジュアルを結合させましょう。Adobe Premiere Proを使って、ボイスオーバーとそこに合わせるイラストを整えていきます。
- まず、動画のファイルに ボイスオーバーのトラックを追加し、エフェクトを加えることから始めます。すべての材料が集まったら、まとめる作業に入っていきます。
- 動画がボイスオーバーと合うように、動画のスピードを早く/遅くします。動画全体のスピードは、おそらく早める必要がありますが、すべて一定のスピードにしてはなりません。映像をいくつかのセクションに分割しておき、各イラストのスピードを個別に調整して流れとペースを整えるようにしましょう。
- レイヤーマスクを使い、イラストのミスを除去し、イラストからイラストへの移行がスムーズになるようにします。仕上がった作品を見るまで、マーカーの擦れた跡や汚れに気がつかないこともあります。マスクを使ってフレームの一定の部分を隠し、汚れのないクリーンな状態で見せるようにしましょう。
編集が終わったら、完成したアニメーションを書き出して(エクスポート)、顧客や自分のクリエイティブチーム、友人とシェアしましょう。
ホワイトボードアニメーションのさまざまなスタイル
上記に説明した、従来のホワイトボードアニメーションのほかにも、デジタルツールを使えば、さまざまなスタイルのホワイトボードアニメーションを作ることができます。
アーティストの中には、ポストプロダクションにおいて、ホワイトボードアニメーションとデジタルアセットを結合させる人もいます。この場合、Adobe Animateを使ってキャラクターを動かすことになりますが、手で描いた絵の様子とプロセスはそのままにしておきます。
このほか、デジタルデザインとイラストのみを使って、ホワイトボードスタイルを表現するアーティストもいます。この方法では、実際にホワイトボードに描くことなく、教育的な雰囲気を出しています。
どのような方法でホワイトボードアニメーションを作る場合も、次の言葉を覚えておきましょう。
「上達するには努力を続けることが大切です。私はいろいろなことを試しました。違うペンで描いてみる、ライティングを変えてみる、質感の異なるボードを使う、編集スタイルを変更してみるなどです」(ウディングさん)
作った動画に満足できないときは、新しく、まったく違う動画を作ってみましょう。可能性は無限です。Adobe Creative Cloudには、そのために必要なツールはすべて揃っています。
その他のおすすめ...
絵コンテの描き方入門
絵コンテの技術によって、スクリーンの大きさに関わらず、アイデアを映し出す方法を知りましょう。
この美しくどう猛な動物の真の姿を捉える方法を学びます。
100年も前からあるこのテクニックの現代バージョンを学び、オリジナルのアニメーションを作ってみましょう。
Adobe Premiere Rush で動画から音声を除去する方法
元の動画からノイズを除去するか、またはオーディオを抽出して別の動画クリップに組み入れます。