キャリブレーションとは?モニターの色を調整する方法
動画の色修正がうまくいかない場合、ディスプレイの色表示が正しくないのかもしれません。動画と視覚のズレがなくなるように、ディスプレイの色設定を管理する方法を学びましょう。
キャリブレーションとは
ディスプレイ(モニター)のキャリブレーションは、画面表示の色をRGB(赤、緑、青)カラーモデルで設定された標準に合わせるプロセスです。RGBによる色再現は現在、ほとんどのテレビとコンピューターの標準でもあります。キャリブレーションを行なうと、データが持つ色とディスプレイの表示を一致させることができます。このため、写真や動画の色を修正する際には、適切にキャリブレーションされたディスプレイで作業を行なうことで、自分の作品を思い通りに表示することができます。
カラーキャリブレーションを開始する方法
オンラインキャリブレーションソフトや、OS付属のディスプレイ調整ツールを使用しても正確な色は得られません。こうしたプログラムの多くは目視での色合わせであり、目は非常に主観的だからです。
客観的に正確な色を得るには、測色器(キャリブレーター)を使用する必要があります。測色器を使うことでデータが本来表示すべき色が、ディスプレイ上でどのように表示されているかを客観的に数値化できるようになるのです。測色器にはディスプレイが表示している色のほか、環境光を測定できるものもあり、特定のディスプレイ、特定の部屋の照明条件に合わせて、表示色を最適化することができます。Datacolor SpyderやX-Rite ColorMunkiのような機器では、周囲光を測定し、ディスプレイのキャリブレーションを行なうこともできます。
キャリブレーションを開始するときは、実施前にディスプレイを約30分間、ウォームアップしておきましょう。ディスプレイに直接光を当ててはいけません。周囲の照明、光は、色調整作業を行なうときと同じ状態にしておきます。
キャリブレーションを開始すると、最初にディスプレイの種類とターゲット設定を指定するように求められます。
続いて以下のような項目を設定します。
白色点
純粋な真っ白い光は存在しません。ロウソクの炎の最も熱い部分が青であるのと同じように、色温度が高いとき、白は青みがかった色合いになります。色温度が低いときの白は赤、オレンジ、または黄色の色合いになります。現在のディスプレイでは、白色点はケルビンを単位とした色温度で設定します。液晶ディスプレイで動画制作をしている場合、推奨白色点は6500K(D65)です。これはモニターネイティブの色温度とも呼ばれます。印刷用途の写真の補正、レタッチに使用している場合は、5000K(D50)がよく使われています。
ガンマ設定
ディスプレイはデータが持つ階調をそのままリニアに表示しているわけではありません。多くの場合、データの階調に対して、表示上の階調が一致するように内部で調整を行なっており、この内部的な補正をガンマ調整と呼びます。その際、階調の入出力の関係性を描いたガンマカーブを指数として表したものはガンマ値と呼ばれます。推奨されるガンマ設定は、動画の視聴方法によって異なります。オフィスのような明るい部屋にある画面の場合、推奨ガンマ値は2.2です。これは、MacおよびWindowsの標準設定値です。ホームシアターのような暗い部屋では、2.4が推奨されています。
輝度
輝度は、画面から放出される光の強度であり、単純に「明るさ」とも呼ばれます。動画でも写真でも色補正を行なうときは一貫した設定を保つことが何よりも重要です。キャリブレーションを行なったあとで変更をしないようにしましょう。キャリブレーションソフトによっては、キャリブレーションの過程で最適な値になるようにナビゲーションをしてくれます。標準的な液晶ディスプレイの推奨輝度は120です。
ディスプレイの設定を確認すると、自動キャリブレーションのプロセスが開始されます。
ソフト上で表示している色に対して、実際の表示色がどのような状態かを測色器で計測し、その値をデータと比較することで、ディスプレイの特性を把握します。そして、その特性をカラープロファイル(ICCプロファイル)として生成します。このカラープロファイルを使うことで、データが表示すべき色を、ディスプレイで正しく表示できるようになります。
キャリブレーションの頻度
ディスプレイは時間とともに劣化し、表示する色も変化していきます。プロのカラリストは色の一貫性を保つためにも、少なくとも月に1回、ディスプレイをキャリブレーションすることをすすめています。
一方、「どのようなデバイスであっても色再現は十分と言えるくらい、技術は進歩した」と言う人もいます。また、正確な色再現を最優先事項にするのではなく、いろいろなデバイスで動画を観て、色に問題がないかを確認する人もいます。これは、ディレクター・プロデューサーのTaylor Kavanaughさんがよく使用する手法です。「視聴者は私たちのコンテンツをiPhoneやiPad、SamsungのTVで鑑賞しています。だから私たちはいつも、そうした視聴者が利用する、すべてのデバイス、プラットフォームで確認するようにしているんです」(Kavanaughさん)
色の再現精度が最優先事項ではない場合、いつでも安全に再生できるように、大幅な色調整は避けるそうです。「色の調整はあくまで一般的な範囲にとどめ、あらゆるものを均質に保っておくと、どんなデバイスでも十分な品質で再生できるでしょう。無理な色調整をするときは注意が必要です。シャドウ部を真っ黒につぶしたり、極端なコントラストをつけたり、色を飽和状態にすると、別のデバイスで見たときには行きすぎと感じられる映像になってしまう可能性があります」(カラリスト・編集者/Gerry Holtzさん)
動画で色の問題が発生した場合は、Adobe Premiere Proのカラーカーブを使用して調整することができます。
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