色温度とは
光の温度は、その光が出す色に影響を与えます。映像制作における色温度の科学的理論を理解し、各シーンで適切な色を選択します。
色温度とその重要性とは?
色温度とは可視光の暖かさや冷ややかさを表し、ケルビンという単位で測定されます。科学的には、すべての光は黒体放射を基本としています。黒体放射をする物体は、光源として現出するエネルギーを放射します。その光の色は、放射されるエネルギーの温度で決まります。例えば、電球はケルビンの温度によって暖か味のある白色を放ちます。
色温度を理解することは、映像制作者、写真家にとって必要不可欠です。なぜなら、後処理における光と色の編集の基本となるからです。ホワイトバランス、色の修正、カラーグレーディングなどすべて光の温度に関わっています。色温度の重要性について学び、さまざまな状態にあっても、カメラに映る色が適切なバランスを出せるようにします。映像制作者によると、撮影現場で光が適切に当たっていると、色の修正やグレーディングが大変楽になるそうです。
色温度のケルビン測定
「目に見える光はすべて、オレンジから青のスペクトラムの中にあり、色合いとして緑とマゼンタがあります」と撮影監督のマイク・レナードさんは言います。光源の色温度はケルビン測定で計測します。低い温度の色には赤、オレンジ、黄があり、暖色のスペクトラムです。高い温度の色には青などの寒色があります。「カメラのホワイトバランスというのは、どんな色温度にすれば、白を青やオレンジなどの色合いが混ざっていない、白い色にできるか、ということなのです」とレナードさんは言います。
白熱電球と日中のホワイトバランスによる撮影
人間の目は、さまざまな状況に合わせて光の色を自動的に調整しますが、カメラはそれができません。カメラに光のバランスをとるように指示しなければ、フレームの中にマゼンタや青っぽい色が混ざってしまうかもしれません。大半のデジタルカメラには、日中用と白熱電球用のプリセットがありますが、マニュアルでホワイトバンランスを設定することもできます。画像のホワイトバランスを調整するには、青い光を少なくするためにオレンジを足し、オレンジを減らすために青い光を足して画像の中の白が白になるまでそれを続けます。
白熱電球は3,200ケルビン(K) に設定されていて、室内の照明として使われます。しかし、人工的な灯りがすべて 3,200 Kであるとは限りません。ロウソクの灯りは、スペクトラムの最先端の赤になります。ソフトな白色や暖かい白色の電球は、オレンジの中くらいの位置になります。冷ややかな白の光の蛍光灯やLEDは、スペクトラムの青に近い位置となるでしょう。
日中の光は5,600 K に設定されています。これは屋外の自然光の標準設定です。屋外の光は一般的に少し冷ややかで青味がかっています。白い紙を屋外で白く見せたい場合は、ホワイトバランスを5,600 K に設定します。自然光の場合は、色々調整する必要があります。暖色の日没、またはゴールデンアワーの場合、温度は低い測定値にし、曇りの日はより高い温度にします。
撮影時に色温度を設定する方法
白熱電球と日中の光の設定は、一般に広く使われているホワイトバランスの設定値です。しかし、状況によっては異なるニュアンスを出したい場合もあります。決まったルールではなく自分の目を頼りにして調整する場合、異なる光源をミックスした設定がよく用いられます。例えば、室内に窓から光が射し込んでくるシーンの場合、フレーム中の色温度はそれぞれの位置で異なります。
このような状況の場合、最も重要な光はどれか判断し、それにホワイトバランスを合わせます。2カ所に当たる光が同レベルの光でしたら、その中間をとります。ルール通りにするのではなく、状況に対応することが重要です。「映像制作というのは料理みたいなものです。レシピは知っていなければなりませんが、最終的には自分の舌が味を決めます。自分の使う数値や設定をよく知り、スコープなどのツールを使ってそういった設定が、正確であることを確かめます。もし、どこか違うな、と思ったら変えればいいのです。良い映像かどうか判断するのはいつも、自分の目で行います。ですから、画像の調整が必要なんです」とレナードさんは強調します。
映像作家のハラ・ヒロシさんは、マニュアルで適切なホワイトバランスを選択するように勧めています。「大抵の場合、白熱電球か日中の光のバランスを選んでスタートして、その状況に応じて温度を調整します」とハラさんは言います。1つの色温度に合わせて、他を設定すれば、他のホワイトバランスの設定で迷わずにすみます。「編集時にできるだけいじらないでいられるなら、その方法がいいですね。なるべくカメラ自体で、思い通りの撮影をするのが理想です」とハラさんは言います。
編集で色温度を使う
撮影現場での判断は、後処理の段階で大きな影響を与えます。色のバランスがカラーグレーディングの処理に影響するからです。この処理には2つの側面があります。すなわち、カラー補正とカラーグレーディングです。
カラー補正
カラー補正は、正しいホワイトバランス、露出、画像のコントラストを得るためのプロセスです。これは科学的な処理になります。グラフを見て、画像の適切な露出、黒と白の数値、ホワイトバランスを決めてきます。「白のバランスを取るには、色温度を決めなければなりません。これができれば、良いスタートを切ることができ、その後、創造力を活かした撮影にスムーズに取り組みことができます」とレナードさんは言います。
カラーグレーディング
カラー補正が科学的な分析に基づく処理であるのに対し、カラーグレーディングはアート的な処理と言えます。バランスの取れた調整が済みましたら、光の色を思い通りに、またより主観的に変更を加えていくことができます。色温度の他に、色度とも呼ばれる色合いと彩度を調整して、アート風な感じを出したり、ムードを出したりすることができます。「感情的なシーンだったら、もっと暖かいムードが欲しいかもしれないし、ゴールデンアワーのオレンジ色の光にマッチさせたいシーンがあるかもしれません。そのような場合、色温度のレベルを落として色を暖かくするんです」とレナードさんは言います。
ムードや環境の状況に合わせて、色温度も変えていきます。映像制作者にとって、色々な光が映像に美的な効果を与えることを知っておくのは、大変重要なことです。蛍光灯、明るい白色のCFL(小型蛍光灯ランプ)、ハロゲンランプなどは、色温度が冷ややかなので、味気のない、シリアスなシーンに適しています。しかし、炎、電球、日没など暖かみのある色の光源は、ケルビンの温度が低く、ノスタルジックで暖かい雰囲気を出します。
ケルビン測定を信頼する
どのようにカラーレンダリングであっても、バランスの取れた色温度が重要です。映像の編集で創造性を発揮したいのであれば、まず色温度の科学的な理論について知っておけば、良い結果を得ることができます。撮影の練習をする際には、Adobe Premiere Rushでカラー補正の手順を確認しましょう。編集ソフトで色々なシーンを編集すればするほど、色温度のバランスを早く取れるようになり、またカメラで撮影する時も、適切な設定で撮影できるようになります。
寄稿
Adobe Premiere Rush の多彩な機能
スマートフォンやタブレット、デスクトップPCなどを利用して、どこからでも動画の作成・編集が可能です。プロレベルの動画を編集して、SNSで公開しましょう。
その他のおすすめ...
カメラのダイナミックレンジについて学び、ダイナミックレンジを操作して好みの画像を作成する方法を覚えましょう。
ホワイトバランスを調整する方法を学び、動画で正確な色を出しましょう。
Adobe Premiere Rush 動画編集ソフトで動画を高画質にする
この使い勝手の良いツールを使って、色補正とオーディオの調整をし、動画の画質をさらに高めましょう。