YouTubeや動画の字幕に最適なフォントの選びかた
多くの情報を持たせることができる動画・映像は、現在、重要なコミュニケーションツールとなっています。さまざまな視聴者、視聴環境に対応するためにも、字幕で解説を入れて補足することで、内容をより伝わりやすくしましょう。YouTubeに代表されるように、動画コンテンツを個人でもかんたんに作ることができるいま、そうした動画・映像に最適なフォントの選びかたと使いかたについて紹介します。
動画の内容をわかりやすくする字幕文字
動画に字幕を入れる目的はいろいろあります。字幕で内容の解説をすることでより理解しやすくすることや、字幕を重ねておもしろさを強調すること、あるいは場面の背景を説明するということもあります。
YouTubeの動画でも、話している内容が字幕でもわかるように作られているものが多く見受けられるでしょう。
いずれにしても字幕は、動画の内容をより伝わりやすくすることを目的に作られています。
動画を見ながら読み取るのが字幕ですから、あまり長い文章や読みづらい小さな文字、視認性の低いフォントなどを使ってしまうと、動画を止めて確認しなければならなくなり、動画である意味がなくなってしまうので注意しなければなりません。
ブログなどの記事であれば、写真とキャプションを個別に配置するのが通常で、画像の上に文字を置くということはあまりありませんが、動画の場合は常に映像の上にフォントが配置されることになります。
動画は文字通り動く画像なので、そこに映っている絵柄は常に変化していきます。
ある場面では読みやすかった字幕が、別の場面では背景になじんでしまって見づらくなるというのも、動画ならではの現象でしょう。場面に応じて字幕が見やすくなるような工夫をしなければなりません。
せっかく字幕を入れるのですから、わかりやすく、効果的に伝えられるようにしましょう。
字幕・テロップに最適なフォント選びの基本
字幕に使うフォントはどんなものが最適でしょうか。
フォントは明朝体もゴシック体もデザイン書体も、数多くの種類がいろいろなメーカーからリリースされているので選ぶだけでも大変ですが、字幕は動画の上に載せて短時間で読み取れることが大切なので、その視点からフォントを選ぶといいでしょう。YouTubeにアップする動画を作っているのなら、いろいろな動画を見て、文字が見やすいと感じられる字幕処理を調べてみるのも有効です。
明朝体は古くから活版印刷で使われてきたもので、小説のような長文を読むのに適しているとされてきました。明朝体の特徴は横線が細く、縦線が太いというメリハリのついたデザインであることですが、字幕で使う場合は横線が細すぎると視認性が低くなり、瞬時に読み取ることは難しくなってしまいます。
いまでは明朝体のフォントもさまざまなデザインのものがあり、横線が太く字幕に使っても見やすいものがありますので、そのようなフォントを選ぶといいでしょう。
ゴシック体は横線と縦線の太さが同じで、文字も比較的大ぶりに作られているものが多く、字幕で使うには最適なフォントです。ただし、縦線と横線のメリハリがなく、細すぎるものは映像に溶け込んでしまいますし、太すぎるものは文字が認識しづらく読めなくなってしまいますので、適度な太さのものを選ぶようにします。
映像のイメージから書体を選ぶ
動画・映像に使われる字幕というと、外国映画に使われる日本語字幕というのがまず思い浮ぶかも知れません。明朝体でもゴシック体でもない、独特の文字は「映画を見ている」という雰囲気作りにもひと役買っています。もともとは技術的な理由から文字の一部をつなげないようにしたり、縦線や横線の最後の部分を少し強調したりしていたものですが、その雰囲気はデジタルになっても受け継がれています。
映画の字幕に限らず、動画・映像のイメージにあったフォントを選ぶと、雰囲気も盛りあがり、映像の世界観をより楽しめるでしょう。
たとえば、旅情を感じさせる内容であったり歴史などを解説する動画であれば、古典的な書体を復刻した筆書の印象が強い明朝体を使ってみましょう。もともとは印章用として作られていた書体が、独特の強弱と途切れたようなフォントのデザインからいまではホラー系のイメージを出すフォントとして使われる……といったケースもあります。
フォントがデジタルになり技術的な制約もなくなった現在、自由にフォントを選ぶことができるようになりました。豊富な選択肢から、動画・映像のイメージに合ったフォントを選んでいきましょう。
文字を読みやすくするデザイン処理
動画は映し出される映像が常に変わっていくものですから、文字をそのまま配置しただけでは見づらくなってしまう場合があります。絵柄の上に文字を載せるときは見やすくなるように配慮する必要がありますが、そのとき行なうべき作業が「コントラストをつける」ことです。
コントラストとは対比のことで、絵柄と文字の対比を強くするということになります。
暗い映像に字幕を配置するのであれば、文字を明るめの配色にする。これは明度にコントラストをつけるということになります。
海や空など青を忠心とした映像であれば、文字をオレンジや黄色にすることで視認性を高めることができます。これは色相にコントラストをつけることです。
あざやかな映像には文字に落ち着いたトーンを使い、落ち着いた調子の映像には鮮やかな色を使った文字にする。これは彩度にコントラストをつけることになります。
もし、コントラストをつけても文字が見づらくなってしまう場合は、字幕の背面に地色をひいて、映像と文字が明確に分かれて見えるようにしてみましょう。明るめの映像であれば、暗めの地色に白抜きの文字、暗めの映像であれば明るめのグレーなどを地色にして黒い文字にすると見やすくなります。
このほか、文字にフチをつけて映像との境目を強調するというのも、ひとつの方法です。ごくわずかにフチまたは影を落とすだけでも、文字の視認性、可読性は大きく向上します。
ただし、太めのゴシック体や装飾性の高いフォントをフチ文字にしてしまうと見づらくなってしまうことがあるので注意をしましょう。
字幕作成は視聴サイズを考慮して
動画・映像を視聴する環境はパソコン、スマホ、タブレットと多岐にわたり、画面のサイズもさまざまです。
デスクトップパソコンでは24〜27インチ前後のディスプレイを使うことが多く、ノートPCであれば13〜16インチ前後、タブレット端末は9〜11インチ、スマートフォンは4.5〜6.5インチ前後と、サイズには大きな幅があります。
サイズの大きなディスプレイで視聴できる環境であれば、字幕のサイズが多少小さくとも読み取ることはできますが、スマートフォンで見る場合では同じサイズにしてしまうと文字を読み取ることが難しくなってしまいます。字幕のサイズを大きくすれば読み取りやすくなりますが、映像を隠してしまう部分も増えてしまいますし、小さくすれば映像は見やすくなりますが、字幕を読むことが難しくなります。
特にYouTubeのような動画・映像では、スマホでの視聴を視野に入れて字幕を作るようにするとよいでしょう。
字幕のサイズに一定の決まりや法則はありませんが、動画の縦方向に対して約6〜8%ぐらいのサイズ、つまり縦が720ピクセルであればフォントのサイズは43〜50ポイント前後にしておくと、映像を邪魔してしまうこともなく、字幕の視認性も確保することができます。
誰がどのような環境で視聴するかわからないので、どのような環境でも最低限の視認性を保ったサイズで字幕を作成するようにしましょう。