イラスト作成の副業を始める方法―好きなことで収入を得るには—
「いつかイラスト作成を仕事にしたい」。絵を描くことが好きな人は、こんなことを一度は思ったことがあるのではないでしょうか。働き方が多様化している現在では、好きなことを仕事にする多くの方法があります。副業というスタイルもその一つ。
この記事では、クリエイティブ分野の副業事情に詳しい株式会社クラウドワークスの眞道祐介さんへの取材をもとに、イラストを副業にするために必要なスキル やツール、気になる単価の話までご紹介します。
目次
イラスト作成を副業にしやすい3つの理由
絵が好きで毎日描いても苦にならない人、誰かのために描くことに喜びを感じるという人であれば、イラスト作成の副業は比較的始めやすいでしょう。その理由を大きく3つに分けて、ご紹介します。
需要が高く、案件が豊富にある
書籍やweb媒体、チラシやポスター、商品パッケージなど、イラストが必要とされる場面は多く、全体的に需要が高いといえます。特に最近は、webでの拡散を目的としたマンガ広告や動画のイラストといったデジタル系のイラスト案件が多い傾向があります。
自分が得意な案件を選びやすい
イラストの仕事と一口に言っても、求められるテイストや難易度はさまざま。クラウドソーシングサービスにも多岐に渡る案件が掲載されており、その中から自分の適性や志向と合った案件を選ぶことができます。
場所を問わず仕事ができる
イラスト作成の仕事は、パソコンやデザインソフト、タブレットといったツール があればどこにいても取り組めます。また、基本的にクライアントとのやり取りもテキストベースで済むため、在宅で副業したい人にもマッチしています。
初心者でもチャレンジできる案件・難しい案件
絵を描くことが得意であれば、副業としても始めやすいイラスト作成。一方、仕事としての経験がない初心者には難しい案件もあるため、まずは取り組みやすいものを選ぶようにしましょう。
おすすめは、どんなイラストを描いてほしいのかが具体的に示されている案件。例えばキャラクターであれば、性別、表情、等身、髪型や服装などが細かく指定されているものです。高度なヒアリングスキルも必要ないので、イラスト作成の仕事に慣れていなくても無理なく取り組めるでしょう。
逆に、要望が抽象的であったり、提案力を求められたりする案件は難易度が高いといえます。
【眞道】
その案件を完遂するために必要だと思われるスキルと自分が持っているスキルを照らし合わせ、受注するかどうかを見極めることが大切です。今の自分に合った案件がどんなものかを考えながら、探していきましょう。
イラスト作成の副業に求められるスキル
イラスト作成を副業にするにあたって、まず線や図形をきれいに描ける、人体や物の構造を正確に表現できるといった基本的な技術は必須です。
また、クライアントの要望をもとにイラストを作る案件では尖った個性があることよりも、幅広いタイプのイラストを柔軟に描き分けられる力が求められます。
逆に初心者には難しいものの、個性を生かしてブランドを確立し、得意分野に特化した案件獲得を狙うケースもあります。ある程度経験を積んだ後、自分が表現したいイラスト作りにも取り組んでみてもよいでしょう。
【眞道】
そのほか、営業の仕事で培ったコミュニケーションスキル、IT系の仕事で身に付けたパソコンやwebの知識なども、クライアントへ提案をする際に役立てられるでしょう。
イラスト作成に必要なツール
次に、イラスト作成をする際に、揃えておきたいツールを紹介します。
パソコン
イラスト作成では、パソコンを利用することが一般的です。
イラスト作成ソフト
イラストを作成するためのソフトも必要です。イラストの案件の納品形式はPNGやJPEGが多く、それらの書き出しさえできればソフトの種類までは指定されない場合がほとんどです。
よく使われているのは、プロユースのグラフィックデザインソフトAdobe Illustratorのほか、ペインティングソフトAdobe Fresco、画像編集ソフトAdobe Photoshopです 。機能を見ながら、自分にとって使いやすいソフトを選びましょう。
タッチペンやタブレット
描画に用いる機器としては、タブレット型端末や液晶タブレット、タッチペンが挙げられます。既にタブレットを持っている人は、それを使ってできる範囲から初めてみるのもよいでしょう。
【眞道】
副業ワーカーの中にはタブレットを使わずにパソコンとタッチペンでイラスト作成する人、スマートフォンを使って描く人もいます。いろいろ試して自分に合ったツールを見つけてみてください。
イラスト作成案件の種類と単価
イラスト作成には、企業などのイメージキャラクター、SNSのプロフィールに使うアイコンや似顔絵、LINEスタンプ、LPや動画への挿絵、企業や店舗のロゴ作成、WEBのバナー作成といった幅広い案件があります。
2021年時点、日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」では、イラスト作成案件の単価相場は3万円からです。シンプルなアイコンやキャラクターだと1点あたり数千円、ページ数が多い冊子の挿絵など作成する点数が多い案件だと数十万円になるものもあります。
イラストの副業収入を高める4つの方法
では、イラスト作成の副業収入を高めるにはどのような方法があるのでしょうか。以下に、初心者が意識したい4つのポイントをご紹介します。
描けるイラストのジャンルを広げる
もともと得意なテイストのイラストだけでなく、あまり描いたことがないものや苦手なタイプのイラストも描けるようになることで、受注できる案件の幅が広がります。トレンドや人気のデザインにアンテナを張り、ニーズの高いものを練習するとよいでしょう。
イラスト以外の周辺知識も身に着ける
イラスト作成の案件は、さまざまな場面や媒体で使用する目的で発注されます。データを納品して終わりではなく、その先の利用シーンまで想定したアドバイスや提案ができるようになると、クライアントからより頼りにされるでしょう。そのためにも、webやグラフィックデザインの知識を大まかでもよいので、身に付けるとよいでしょう。
ポートフォリオを活用する
ある程度の実績が蓄積されてきたら、ポートフォリオ作成にトライしてみましょう。今はwebで手軽にポートフォリオが作れるサービスがあります。Adobe Portfolioも便利です。
また、「クラウドワークス」では、コンペ形式の案件に応募すると採否に関わらずポートフォリオに掲載されるため、案件にチャレンジしながらポートフォリオを充実させていくことが可能です。
【眞道】
一度イラストの発注があった企業には、今後もニーズが発生すると考えられます。良好な関係性を築けたクライアントには、「また機会がありましたらお手伝いさせてください」と声をかけ、ポートフォリオのURLを共有しておくとよいでしょう。リピート依頼だけでなく、紹介も期待できるかもしれません。
イラストコンテストに応募する
コンテストでは通常の案件のように報酬がもらえるわけではありませんが、スキルアップや経験値アップにつながり、入賞すれば賞金獲得や知名度向上が見込めます。下記のような公募サイトから自分の得意分野で勝負できるコンテストを探して、チャレンジしてみるのもおすすめです。
ソフトの使い方を学ぶ方法
「絵を描くのは得意だけれど、描画ソフトは使ったことがない」という人は、どのように勉強したらよいのか迷うこともあるはず。そのような場合には、web上のコンテンツを参考にしながら、少しずつ機能を覚えていくとよいでしょう。
例えば「IllustratorことはじめStep1：まずはここから「図形の組み合わせで絵を描く」」では、簡単なイラストを作成しながらソフトの基本操作を学ぶことができます。そのほか、Illustratorを使ったさまざまなイラスト作成方法を解説している「Illustratorチュートリアル」も役立ちます。
案件受注の方法を学ぶ
「自分で案件を獲得できるか不安がある」という人には、クラウドワークスが運営する自分らしい働き方の実現をサポートするオンラインの学びの場「クラウドカレッジ」の「」があります。一人ひとりに合わせた案件受注のサポートが受けながら、案件の選び方や継続的な受注のポイントまで習得できるコースです。
【眞道】
活躍している副業イラストレーターには、プロのイラストをたくさん模写して腕を磨いてきた人が多いです。絵の練習を重ねながら、使えるソフトの機能も増やしていきましょう。
好きなことで収入を得て、充実の副業ライフを
好きなことを仕事にして、収入を得る。そんな望みをかなえられるのが、イラスト作成の副業の醍醐味といえるのではないでしょうか。プロ仕様でありながら初めてでもチャレンジしやすいアドビの製品を活用して、充実した副業ライフを送ってください。
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取材協力：眞道祐介（しんどう・ゆうすけ）
株式会社クラウドワークス・社長室ワーカーエクスペリエンスチーム。地方創生担当として、地域パートナーや自治体と連携してクラウドソーシングの普及促進・ワーカー育成に携わりながら、ワーカー育成のナレッジをもとに、2020年5月にクラウドカレッジを開校。クラウドワークスに登録するユーザーを対象に、スキルアッププログラムの開発・運営を行う。また本業の傍ら副業として株式会社Naegiにてクリエイティブ制作に携わっている。
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（取材・執筆：北村朱里 編集：ノオト）