漫画家になるには?どんな仕事?
漫画家になるには、どうしたらよいのでしょうか? どんな勉強をする必要があるのでしょうか?また、漫画家の仕事とは、具体的にどんな内容の仕事なのでしょうか?
この記事では、漫画家を目指す人や漫画家という仕事に興味を持っている人たちのために、漫画家という仕事について解説し、漫画家になるためのさまざまなルートを紹介します。
また、子ども向けの伝記漫画をはじめ、歴史漫画や小説のコミカライズなど、多方面で活躍するフカキショウコさんから、漫画家になるまでのエピソードなどもうかがいました。
目次
漫画家ってどんな仕事?
「漫画家」と聞いて、パッとイメージするのは、週刊や月刊の少年少女向けの漫画雑誌に作品を連載している漫画家という方も多いでしょう。
日本ではさまざまな年代や性別ごとに分けられた漫画雑誌(いわゆる『週刊少年ジャンプ』『りぼん』発行:集英社 など)のほか、動物漫画や歴史漫画など分野別の漫画雑誌、4コマ漫画雑誌など、たくさんの種類の漫画雑誌があります。
また、学習雑誌やゲーム雑誌など、漫画専門ではない雑誌にも漫画は掲載されています。雑誌だけでなく、新聞にも漫画は掲載されていますし、PR雑誌やガイドブックなどにも漫画が掲載されていることがよくあります。
漫画の単行本は、雑誌の連載をまとめたものが多いですが、学習漫画や小説を原作にした漫画など、「書き下ろし」という雑誌掲載を経ずに発行される単行本もたくさんあります。
電子書籍などデータで配信される漫画も増えています。
以前は、紙の雑誌や単行本として発行されている漫画を、データでも配信するというケースがほとんどでしたが、最近は、データ配信専用の漫画も制作されています。縦スクロールタイプの漫画など、タブレットやスマホで読むことを前提にした、新しいスタイルの漫画も次々に登場しています。
こうした、非常に幅広い範囲にわたる漫画を制作することを仕事としているのが、「漫画家」です。
大まかにいえば、出版社などから依頼を受けて、依頼に沿った内容やページ数の漫画を、決められた納期(〆切)までに完成させることが仕事です。
漫画家になるための道(1)・新人賞
漫画家としてデビューする方法は、さまざまなパターンがあります。
よく知られているのが、漫画雑誌が募集する新人賞などに応募してデビューする方法です。
毎月や年2回といった募集期間をはじめとする募集規定もさまざまで、4コマ漫画部門やギャグ漫画部門がある賞、ページ数の制限がない賞などもあります。
こうした新人賞は、大賞を受賞すると雑誌への掲載やデビューが決まっていることも多く、漫画家デビューの王道のひとつです。
また大賞には届かなくても、可能性を感じる作品があれば、編集者が「担当」としてついて作品づくりのアドバイスをし、一緒にデビューを目指すケースもあります。
応募作品は編集者からの批評などをつけて返却されることもあるため、自分の作品の改良点などを考える上で役に立ちます。
特に少女漫画雑誌では、新人賞を、漫画家を目指す人を育てるための「漫画スクール」というスタイルにしているケースもあり、応募作品へのアドバイスを熱心に行なっています。
こうした雑誌では、小学生や中学生といった読者と同じ世代からの応募もたくさんあり、10代で漫画家デビューを果たす例もよくあります。
賞への応募は、漫画を郵送したりWebから送信したりできるため、日本全国どこからでも応募ができます。
日本語作品であれば、海外からの応募も可能です。特に募集規定で定めていなければ、年齢や性別の制限もないため、漫画作品が描ければ誰でも挑戦することができるのが、大きなメリットです。
漫画家になるための道(2)・持ち込み
新人賞への応募と並ぶ王道が、「持ち込み」と呼ばれる、漫画雑誌の編集部に連絡の上、直接作品を持って行って読んでもらう方法です。
作品に対して、編集者から直接アドバイスを受けることができ、編集者に質問をすることもできるため、漫画を描く上で学べることが多くあります。
漫画雑誌の編集部は東京都にあることが多いため、場所や時間また、年齢的に一人で出版社に出向くことが難しいなど、作品を応募する場合よりも条件がやや限られます。
そのため、編集部によっては、東北から九州までの数都市をめぐって持ち込み原稿を受け付けるイベントなども行なっています。
東京から遠くに住んでいる人も、編集者から直接漫画作品へのアドバイスを受けられるほか、その地域に住んでいる漫画家を目指す人たちがたくさん集まる活気のある雰囲気に、やる気を出す参加者も多いようです。
こうした持ち込みをきっかけに、編集者からのアドバイスを受けて、新人賞に応募するケースもあります。
漫画家になるための道(3)・アシスタント
漫画雑誌などで、「アシスタント募集」という文字を見かけたことはないでしょうか。柱という漫画が掲載されたページの外側の余白部分に、文字だけで簡単に書かれていることもあれば、1ページつかって数人の漫画家のアシスタント募集コーナーがまとめられていることもあります。
アシスタントとはその名前の通り、漫画を描く補助作業をする人です。背景の絵が描けることが条件であったり、人物が描けることが条件であったり、その募集内容はさまざまです。
週刊誌などの連載をする漫画家の場合は、複数のアシスタントが専門分野ごとに作業するチーム体制をとっていることも多く、まずは原稿の黒い部分を塗りつぶすベタ作業やトーンを貼るといった作業、または原稿のデジタル処理の手伝いなど、比較的やりやすい作業ができるアシスタントから育てていくこともあります。
アシスタントは漫画制作の現場で学ぶことができます。多くの作業をこなすことで身につくスキルもあるため、新人賞の応募や持ち込みなどでついた担当の編集者に勧められて、漫画家のアシスタントからスタートする人もいます。
今、漫画家として活躍している人で、若いころは別の漫画家のもとでアシスタントをしていたというケースも数多くあります。
漫画家になるための道(4)・自分で作品を発表する
自分で描きたいテーマや内容があり、まずは自分で作品を描いて、多くの人に見てほしいという場合は、同人誌などをつくって作品を発表する方法もあります。
自分の漫画を印刷所などで出版物の形式にして発行し、同人誌の即売会などで販売し、人に読んでもらいます。同人誌の即売会で有名なものは、コミケといわれる「コミックマーケット」ですが、ほかにも大小さまざまな即売会があります。
また、最近はネット上に作品を発表できる場も増えています。多くの作品が投稿される場に投稿したり、自分のTwitterに作品を掲載したりとさまざまです。
いずれの場合も、作品を発表することで、人の目に触れる機会をつくることができます。人の目に触れることで、他の人からの評価や感想を受けます。
役立つ意見もあればそうでない意見もありますが、作品に対していろいろな意見があることを知ることもよい勉強になります。
また、高い評価が集まった作品は商業誌として発行されることや、作品を見て仕事を依頼されることなどもあります。同人誌やweb漫画からデビューを果たした漫画家もたくさんいます。
漫画を描くための勉強(1)・絵を描いて仕上げる
新人賞に応募したり持ち込んだりするためにも、まずは作品としての漫画を描く必要があります。
漫画を描く手順は、まずアイデアをまとめてあらすじを考える、「プロット」という作業から始まります。
次にその物語を漫画としてどのように表現するのかを考えて構成する「ネーム」という作業があり、その「ネーム」をもとに「ラフ」を描き、下絵を描いて、ペンを入れて、トーンなどの効果を入れて完成させます。
大別すると、「アイデアを物語にする」、「物語を漫画として構成する」、「絵を描いて仕上げる」という3つの作業です。
漫画の大きな特徴に、絵をつかって表現するということがあります。
そのため、「絵を描いて仕上げる」技術は漫画制作を支える柱の1つです。美術大学や美術系の専門学校では、デッサンという絵を描くための基礎を学ぶことができるため、もともと絵を描くのが好きで基礎をしっかりと学びたいという人は、そうした進路を目指してもよいでしょう。
トーン処理までふくめた漫画の描き方を学べる専門学校もあります。もちろん、独学で絵の練習をすることも可能です。いずれの場合も、基礎をしっかりやっておくと、「絵を描く」というフィールドにおいてできることが広がります。
漫画を描くための勉強(2)・アイデアを物語にする
うまい絵や印象的な絵は漫画を描く上で強い武器になりますが、漫画を描く上で大切な武器はそれだけではありません。
胸おどるストーリー展開や感動的なエピソード、意外性のある設定など、物語は漫画の大きな魅力です。
では、「アイデアを物語する」ためには、どんな勉強をすればよいのでしょうか。
アイデアのもとは、あちこちに眠っています。たとえば、ニュースで知った遠い国のことを調べて、そこに生きる人たちのことに思いをめぐらせてみたり、動物を観察してその目線で世の中を見つめてみたり、自分がサッカーチームの監督だったらどんな選手を集めてどんな戦法をとるかを考えてみたりと、自由に想像をめぐらせることが、オリジナルティあふれるアイデアをつくる第一歩です。
また、想像のベースになるのは知識と経験です。たくさんの本を読んだり、授業で興味を持ったことを深く調べたりして身につけた知識は、アイデアの素地です。
そして、実際に自分が体験した経験は大きな価値があります。ピアノが弾けなくてもピアノの漫画を描くことは可能ですが、実際にピアノを弾いた経験やレッスンに打ち込んだ経験、発表会でたくさんの拍手を浴びた経験があれば、リアリティのある描写や思いをこめた表現をすることができます。
部活や学校行事に全力投球したり、ボランティアなど課外活動に積極的に出かけたりとたくさんの経験をして、その時に自分が感じたことや思ったことをメモする習慣をつけるとよいでしょう。
漫画を描くための勉強(3)・漫画を物語として構成する
最後のひとつ、「物語を漫画として構成する」作業は、少し独特です。同じ物語でも、小説は文章で構成し、漫画は絵で構成します。また映画やテレビドラマであれば映像で構成します。
どの表現手段でも、「伝えたい情報をよりわかりやすく伝えること」が基本になります。「あえてテーマを隠したい」、「わかりやすく伝えるよりも難しくしたい」という場合もあると思いますが、「わかりやすく伝える」方法を身につけておかなければ、意図した通りに隠すこともできません。
まずは、わかりやすく伝えることを目標に、構成を考えてみましょう。
勉強方法のひとつとして、自分が好きな漫画家の作品を、どんな風に構成しているのかを考えながら読むというやり方があります。
最初のページがどんなコマから始まっているのかにはじまり、登場人物が出てくる順序や重要な人物の登場の仕方、開いたページのコマの数や大きさ、印象的な場面に描かれている要素などを、どんどんピックアップしていきましょう。いくつかの作品に共通する要素が見つかるかもしれません。
自分である程度、漫画が描けるようになったら、小説や映像作品を、自分なりに漫画として構成してみるという方法もあります。まずは作品の中の1エピソードから取り掛かってみましょう。ネームという漫画のもとになる絵やセリフの配置図をつくるだけでもよいですし、絵にしたい部分だけをペン入れしてみてもよいでしょう。
自分の漫画がわかりやすいかどうかは自分だけでは判断がつかないため、いろいろな人に見てもらい、感想をもらってみましょう。
持ち込みなどでプロの編集者に見てもらいアドバイスをもらうことも勉強になりますが、家族や友だちなど漫画の読者である普通の人たちからのなにげない一言が参考になる場合もあります。
漫画を描くための勉強は、たくさん描くこと、きちんと完成させること、いろいろな人に見てもらうことが大切です。
漫画ができるまで
雑誌や単行本といったいわゆる商業誌に掲載されている漫画には、編集者という出版物と漫画家をつなぐ役割をする人がいます。
少女漫画雑誌に16ページの読み切り漫画を描いてほしいという依頼を漫画家にする場合、編集者は、漫画を掲載する雑誌の読者の年齢層などを漫画家に伝え、どんな内容の漫画が読者に楽しんでもらえるかを漫画家とともに考えます。
あらかじめ、「中学校を舞台にした恋愛もの」というようなオーダーが決まっている場合もありますし、漫画家の方から「自分が部活をしていた吹奏楽部をテーマにした恋愛ものにしたい」というような提案がある場合もあります。
主人公をはじめとする主要な登場人物の設定や物語のあらすじ、ポイントなどを相談して大まかに決めたあと、漫画家がプロットというあらすじのまとめ、ネームというセリフと絵の配置図などを作成し、それぞれを編集者が確認し、修正が必要な場合は修正について話し合いを進めていきます。
漫画家はネームにOKが出たら、ラフや下描きを始め、ペン入れをし、トーン処理などを経て、漫画を完成させます。
ラフや下描きの段階で、編集者のチェックを受けることもあります。
扉絵や表紙といった大事なページは、いくつものラフを作成し、編集部で話し合って決定する場合もあります。
すべての絵を自分で描く漫画家もいますが、背景やメインの登場人物以外の小さく描かれる人物、小物などはアシスタントが描くこともあります。
トーン加工などの仕上げの処理は、漫画家の指示に従ってアシスタントが作業をしていることが多いです。
フキダシに入ったセリフなど、漫画の中に入る文字は、雑誌全体で決まったルールに従って入れるため、印刷所に入れます。
またタイトル文字の入る扉ページは、デザイナーがどんなふうにタイトルを入れるかを考えてデザインします。
漫画を制作する場合、以前は、原稿用紙にペンで絵を描き、トーンを貼って、ベタやホワイトなどを入れるというアナログ方式で漫画を描くことがほとんどでした。
しかし、最近は、画像処理ソフトや漫画制作用のソフトを使ってデジタルで漫画を制作する割合が圧倒的に増えています。
ラフまでは手描き、ペン入れまでは手描きというようにアナログとデジタルの併用と、ペンタブなどを使って最初からすべてPC上で漫画を制作するフルデジタルなどがあります。
修正がやりやすいことや、加工がしやすいこと、また、ソフトや機器の向上により、アナログのようなタッチをデジタルでも再現しやすくなったことなどから、アナログで漫画制作を始めたプロ漫画家もデジタルに移行する人が増えています。
また、タブレットなど比較的購入しやすい機器でも漫画制作ができるようになったことから、若いアマチュア漫画家の中には最初からフルデジタルで漫画を描き始める人も多いようです。
漫画制作の現場では、今後ますますデジタルの活用が広がっていくでしょう。
漫画家の生活
広告会社や編集プロダクション、デザイン事務所等に所属している場合など、会社に勤務する形態で仕事をしているケースもありますが、ほとんどの場合、漫画家はフリーランスと言われる個人事業主です。
会社のように決まった時間に出勤して、仕事をし、退社をするといった、1日のスケジュールはありません。ただ、依頼された仕事を期日までに仕上げるために、自分でスケジュールを管理し、進めていく必要があります。
週刊誌や月刊誌などの連載の仕事をしている漫画家の場合は、納期に合わせて週や月単位で制作のための作業スケジュールが決まります。
ネームや下描き、ペン入れといった制作作業の合間に、編集者との打ち合わせなども必要になります。単行本のための修正作業をしたり、付録のためのイラストの制作や読者プレゼントの色紙を描いたりすることもあります。
TwitterなどのSNSを使って、作品のPRをするほか、読者からの反響を調べて作品づくりに生かす漫画家もいます。
連載と連載の合間には、次の作品づくりのための取材をしたり、資料を集めたりといった仕事があります。
もちろん、リフレッシュのために旅行をしたり、温泉でのんびり過ごしたりといった休暇の過ごし方もあります。
漫画家の仕事場は、自宅兼用や自宅と隣接したスペースを使用することが多いですが、仕事と生活を区切るために、あえて少し離れた場所に仕事場を用意するケースもあります。また、最近はタブレットなど気軽に持ち運べる機器でネームやラフ、下描きなどの作業ができるため、カフェや喫茶店などいろいろな場所を転々として気分転換しながら仕事をするというスタイルの漫画家もいます。
漫画家というと徹夜続きなど不規則な生活をイメージするかもしれませんが、仕事として長く続けるためには、規則正しい生活が必要です。
何時から何時までを仕事時間と決めて作業する生活が基本と考えておきましょう。作業が遅れた場合やトラブルが発生した場合は一時的に過密スケジュールになる場合もありますが、健康を損なっては仕事ができません。
自宅内や仕事場にこもっての仕事が中心になる漫画家は、運動不足なりがちなため、毎朝のマラソンや定期的なジムに通いなど、毎日の生活に運動を取り入れている人もいます。
漫画家になるには?[フカキショウコさんの場合]
子どものころから絵を描くことが好きで、自分でも遊びで漫画を描いていたというフカキショウコさん。
将来は漫画家など絵を描く仕事がしたいと考えたフカキさんは、高校生のころから美大受験のための予備校に通い、デッサンなどの美術の基礎を徹底的に身につけました。
美大入学後はデザイン科で学ぶとともに、本格的に漫画を描き、出版社への持ち込みをスタート。持ち込み先の編集部の雑誌で新人賞の受賞を果たすと、そのまま漫画家デビューしました。
「持ち込み先はいろいろ迷って、とりあえず自分が好きな漫画家さんが連載されている雑誌の編集部に行ってみました。実は持ち込みには何社かチャレンジしたのですが、デビューにつながったのは1社だけでした。私の描きたい作品が、その雑誌に合っていたのかもしれません。ただ、逆に今掲載している作品とはまったくちがったテイストの作品を求めている場合もあると思うので、迷った場合はいろいろな編集部に行ってみるとよいと思います」
在学中に何本かの読み切り作品が雑誌に掲載されたフカキさんでしたが、プロとしてやっていくには仕事の量が十分ではありませんでした。
また、「もっと漫画を勉強したい」という気持ちも強く、大学を卒業後は編集部からの紹介で、アシスタントの仕事を始めました。
さらに、「アシスタントとして漫画制作の技術を磨くだけではなく、自分でいろいろな漫画を描いてみたい」と考えたフカキさんは、同人誌という形で自分の漫画作品を発表しはじめます。
この同人誌が別の編集者の目にとまり、フカキさんのもとに漫画制作の依頼が入ります。
大学時代のデビュー当時は、アクション系の少女漫画やファンタジーテイストの漫画を描いていたフカキさんですが、専門学校や美大で身につけた技術をベースに、歴史的な建造物や服装などが描けることから歴史モノの漫画の打診があったのです。
コナン・ドイルの人気探偵小説「シャーロック・ホームズ」をコミック版にしたものをきっかけに、伝記漫画などを手がけることが増えていきます。
また、「三国志」をテーマにした小説や歴史上の人物の小説の表紙やイラストなども制作するようになります。「時代ものは当時の人物の服装をはじめ、街並みなど資料を調べるのが大変ですが、必死に調べた分、とても勉強になります。
ほかの漫画家の方のアシスタントなどをして、いろいろな絵を描いたこともよい経験になっています。
編集者の方などからお仕事の相談をされた時に、『だいたいなんでも描けます』と自分をアピールできるのは強みですね」と、フカキさんは自身の漫画制作のスタイルを分析します。
現在は、子ども向けの伝記漫画や学習冊子用の漫画を描くほか、スマホ配信用のファンタジー漫画を制作するなど、幅広い仕事を手がけています。
また、自衛隊の訓練を見学に行ったことがきっかけで、さまざまな仕事をする人たちに興味を持ったフカキさんは、登場人物をすべて動物にした「どうぶつ自衛隊」というアイデアを思いつき、4コマ漫画化。自衛隊の広報の一環として、陸上自衛隊東部方面隊のサイトにシリーズ連載中です。
それ以外にも、自分が体験したことをレポ漫画としてTwitter上にアップするなど、フカキさん自身がいろいろな人に知ってほしいと思ったことを伝える手段として、漫画を活用しています。
「いろいろなタイプの漫画家さんがいると思いますが、私は読者の方に何かプラスの働きかけができる漫画を描きたいと思っています。読んだ人が幸せな気持ちになる物語を描くことや、偉大な科学者や画家の人生や世界の歴史を学んでもらえるような漫画を描くこと、知ってほしいエピソードを伝えることにやりがいを感じています。漫画は、人にメッセージや情報をわかりやすく伝えるためにとても役立つ表現手段だと思っています。何年も前に『シャーロック・ホームズ』を題材にした漫画を描いたことがあるのですが、最近、子どものころにその漫画を読んだという読者の方から、『漫画をきっかけに小説の『シャーロック・ホームズ』を読むようになった』というメールをいただきました。自分の漫画が、読者の方が新しい分野に興味を持つきっかけとなれたことが、とてもうれしかったですね。漫画家をめざす人は、ぜひ自分が漫画で何を表現したいのかを探してみてください」
(作画・取材協力:フカキ ショウコ/記事内の人物設定画と表紙は『コミック版世界の伝記35 ゴッホ』漫画:フカキ ショウコ、監修:木村泰司/発行:ポプラ社、デジタルでの作業風景は『コミック版世界の伝記39 レントゲン』漫画:フカキ ショウコ、監修:岡田晴恵/発行:ポプラ社 の作業過程の原稿を使用しています)
表紙掲載書籍
『最強戦国武将伝 織田信長』著:小沢章友、絵:フカキショウコ/発行:国土社
コミック版ルパン&ホームズ『シャーロック・ホームズ 赤毛連盟/まだらの紐』原作:コナン・ドイル、漫画:フカキショウコ/発行:ポプラ社
集英社ホームコミックス『RE:BORN~仮面の男とリボンの騎士~』原作:手塚治虫、シナリオ:神楽坂淳、漫画:フカキショウコ/発行:集英社
集英社みらい文庫『三国志』著:神楽坂淳、絵:フカキショウコ/発行:集英社
『コミック版世界の伝記39 レントゲン』漫画:フカキショウコ、監修:岡田晴恵/発行:ポプラ社
『コミック版世界の伝記35 ゴッホ』漫画:フカキショウコ、監修:木村泰司/発行:ポプラ社
4コマまんが『どうぶつ自衛隊』原案:さかもとこうじ、漫画:フカキショウコ