バナー作成で副業を始める方法―未経験から成功するコツ―
日本語で「旗」を意味するバナー。限られたスペースで、伝えたいメッセージを効果的に伝え、瞬時にユーザーを惹きつけるバナーは、ホームページやECサイトにおいて重要な存在です。
インターネットサービスのニーズは年々高まっており、それに伴いバナー作成の仕事も増加傾向にあります。そして、webデザインの分野の中でも、バナー作成は初心者にも取り組みやすい、人気の副業の1つ。
今回はクリエイティブ分野の副業事情に詳しい、株式会社クラウドワークスの眞道祐介さんに取材。専門家の知見をもとに、バナー作成の副業を始めるにあたって、必要なツールや未経験者に適した案件の選び方まで、バナー作成の副業に役立つ方法をご紹介します。
目次
バナー作成の副業が未経験者にも取り組みやすい3つの理由
バナー作成の副業は数あるデザインの分野の中でも、比較的取り組みやすいジャンルです。その理由を3つ、ご紹介します。
バナー作成の需要が高く、案件数が多い
日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」では、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」に関する発注者傾向を調査。2019年9〜11月と2020年6〜8月との比較において、その平均発注者数は142%増となりました。
特にコロナ禍では販売促進に関するニーズが高まり、バナーやアイキャッチ、サムネイル作成の案件数が増えています。
デザイン案件の中でも難易度が低い
バナー作成はデザインする面積が小さく、要素が限られているので、初心者にもチャレンジしやすいです。画像の切り抜きやテキストの挿入などデザインの基本作業がメインとなるため、デザインの勉強を始める際の第一歩にも最適です。
バナー作成はクライアントが素材を用意している案件もあります。要件がシンプルで時間がかかりにくい点でも、未経験者の副業におすすめと言えます。(株式会社クラウドワークス 眞道さん)
必要なツールが少ない
バナー作成の業務は、パソコン1台とAdobe IllustratorとAdobe Photoshopがあれば対応可能です。デザインの仕事を始める上で、この2つのツールはマストアイテムになるので、まずはこのツールを使いこなせるようにトレーニングしていきましょう。
バナー作成を副業にするために必要なスキル
未経験者の副業として人気のバナー作成ですが、実際にどのようなスキルが必要なのでしょうか。以下にて解説します。
デザインスキル
バナーはホームページやECサイトを開いたときに、最初に目に入る重要なポジションにあります。そのため、一瞬でユーザーの心を掴む、高いデザイン力が求められます。クライアントのニーズやターゲットに合わせた提案ができるように、トレンドのデザインや人気のwebサイトをチェックすることが大切です。
Photoshop
バナー作成には、写真や画像など素材が必要です。クライアントから素材を提供されることもありますが、Photoshopが使えると仕事の幅がより広がります。写真のレタッチ、変換、置き換え、画像の切り抜きやトリミングといったデータの加工から、デジタルペインティング、アニメーション、グラフィックデザインまで取り組めます。
Illustrator
画像やデータの編集に適したPhotoshopに対して、Illustratorは、単純な線や図形の作成やレイアウトに適しています。またIllustratorは、縮小と拡大に強いベクターグラフィックを使用するため、どれだけ拡大してもぼやけないという特徴があり、バナーの作成に向いています。
また、バナーに限らずロゴやアイコン、書籍、商品パッケージ、看板など、あらゆるものをデザインできるので、今後副業の幅を広げるためにもスキルを高めておくべきツールです。
ヒアリング能力
バナー作成は、クライアントのサービスや告知内容など、訴求すべき要素を整理して、ターゲットに即したクリエイティブを作っていく仕事です。
例えば、クライアントが「かっこいいデザインにしてほしい」という希望を出したとします。その際には、具体的に何をかっこいいと思っているのかを細かくヒアリングし、お互いのイメージをすり合わせていくスキルが求められます。
クライアントの意図を汲み取れるように、丁寧に質問することは、信頼の獲得にもつながります。
クラウドソーシングの場合、テキストベースのコミュニケーションがメインとなります。デザインイメージに齟齬がないように、Pinterestなどの画像検索・共有サイトで参考画像をリサーチするなど、事前に方向性のすり合わせをすることが大切です。(株式会社クラウドワークス 眞道さん)
バナーデザイン案件の報酬相場
バナーのデザインを副業にした場合、どれくらいの報酬が得られるかは気になるところ。バナーデザインの案件も多く掲載している「クラウドワークス」での、1案件あたりの報酬相場は、5,000円からとなっています(2021年時点)。
ただし、バナーに必要な素材から作成する場合は工数が増えるので、単価は上がります。素材を作るためのスキルや表現力を身につけて、単価アップを目指しましょう。
バナー作成の副業収入を上げるためのコツ
バナー作成の副業は取り組みやすいですが、その分バナー作成数が副業収入に直結することが多いです。バナー作成数を増やす以外にも、素材活用、プロジェクト形式といったバナー作成の副業収入を上げるためのコツを紹介します。
バナー作成数を増やす
バナーの報酬相場は、5,000円〜と他の案件に比べ低単価です。そのため、受注する案件数を増やすことが、収入アップへの一番の近道になります。1つのバナーを作成するのに、自分がどれくらいの時間が必要かを把握し、限られた時間を有効に活用しましょう。
素材を活用して効率化する
バナー作成には、素材を自分で用意するタイプの案件も多数存在します。クライアントから素材提供がある案件に比べると、作業工程は増えますが、その分単価アップにつながります。
素材探しにはAdobe Stockが便利。商用利用可能なロイヤリティフリーの写真、イラスト、ベクター、テンプレートといった 、バナー作りに最適な素材が豊富です。ベクターやテンプレート素材はカスタマイズも簡単。効率的に作業に取り組むことができます。
プロジェクト形式の案件にチャレンジする
クラウドソーシングサービスを活用して案件を探す場合は、プロジェクト形式を選ぶとよいでしょう。コンペ形式は要件や単価がすでに決まっている一方、プロジェクト形式はクライアントと直接交渉ができるため、報酬単価をアップしやすくなります。
ただし、プロジェクト形式は過去の実績やキャリアが評価される傾向があります。未経験者の場合、コンペ形式の案件に取り組み、デザインツールの操作に慣れつつ、実績を積み重ねていくのがおすすめです。
クラウドワークスでは、コンペで提案した作品はサービス上のポートフォリオに追加されていきます。ポートフォリオを見たクライアントから発注が来るケースもあるので、積極的に利用していきましょう。(株式会社クラウドワークス 眞道さん)
継続的に受注できるクライアントを見つける
毎回案件を探すところから始め、応募して条件の交渉をするのは効率的とは言えません。一度契約をしたクライアントと継続的に取引を行い、安定した収入につなげるのが理想的です。取引が続くことで関係性も築けていくので、条件の交渉もしやすくなります。
これからバナー作成の副業を始めるには
バナー作成から、デザインの副業を始めよう
デザイン分野の副業においてPhotoshopやIllustratorなどのツールは必須です。デザインスキルを高めていけば、バナーに限らず、名刺やロゴ、webサイト作成にもチャレンジできます。
活躍の幅を広げることを視野に入れながら、まずはバナー作成の副業を始めてみてはいかがでしょうか。
--
取材協力:眞道祐介(しんどう・ゆうすけ)
株式会社クラウドワークス・社長室ワーカーエクスペリエンスチーム。地方創生担当として、地域パートナーや自治体と連携してクラウドソーシングの普及促進・ワーカー育成に携わりながら、ワーカー育成のナレッジをもとに、2020年5月にクラウドカレッジを開校。クラウドワークスに登録するユーザーを対象に、スキルアッププログラムの開発・運営を行う。また本業の傍ら副業として株式会社Naegiにてクリエイティブ制作に携わっている。
--
(取材・執筆:ユウミ ハイフィールド 編集:ノオト)
インターネットサービスの需要が高まると同時に、オンラインでの学びの機会も増えてきています。これからバナー作成の副業を始める方は、以下の2つを活用するとよいでしょう。
アドビのオンラインコンテンツ
アドビのサイト内には、バナー作成のスキルアップに最適なコンテンツが多数用意されています。例えば、「webバナーを作成する」では、練習用のサンプルデータを使って、バナー作成を経験できます。
バナー作成の基本が身についたら、ステップアップに役立つコンテンツを探してみましょう。「画面で映えるバナーのデザインを作成する」では成果が出るバナーのデザインが、「CCだとこんなに早い!時短5番勝負|Photoshopでバナー作成」ではPhotoshopを使った時短のポイントなどが学べます。記事は更新されるので、定期的にチェックしてみましょう。
オンラインスクールを活用する
自宅でさらなるスキルアップを目指す場合には、オンラインスクールを受講する方法も。
デザインに触れたことがない方を対象に、Photoshopの基礎・基本から、実際の案件を想定したバナー作成の流れまで学べます。
デザインの副業を始める方法
デザインは、パソコンなどのデジタルツールや通信環境があれば在宅で行えること、本業にも生かせるスキルが身に付くことから副業で人気です。専門家の知見を踏まえて、デザインの副業に必要なスキル、仕事の種類、相場単価や収入アップの方法を紹介します。
イラスト作成の副業を始める方法
―好きなことで収入を得るには—
絵を描くことが好きな人は、「いつかイラスト作成を仕事にしたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。イラストを副業にするために必要なスキルやツール、気になる単価の話までご紹介します。
ロゴデザインの副業を始める方法
クライアント(発注者)の理念や思いが伝わるロゴを作成するには、デザインの腕だけでなくさまざまな能力が必要です。専門家の知見をもとに、ロゴデザインの副業を始めるために必要なスキルの身に付け方、揃えておきたいツールや単価アップのコツを解説します。