写真の統一感とは?

写真によっては、「何か分からない」 感があります。それは、「これだ」と言えないけれど、何か特別な魅力を発しています。魅力的な写真の多くは、統一感を持っています。それは、写真の中の複数の要素が視覚的に一致性を持ち、互いに調和しあっって写真のテーマを強めています。統一感は、デザインやその他のビジュアルアートにおける主要な基本コンセプトです。写真の構図の中に統一感の要素をうまく持ち込めば、写真をレベルアップしてアート作品に仕上げることもできます。

周りにあるハーモニーを見つける

スタジオ撮影でも、屋外での撮影でも、物事の合致性やさりげないリピートを発見し、それを強調して、統一感のコンセプトを作品に取り入れましょう。これらのリピートは、写真の中の要素、例えば線、テクスチャ、ムード、色、形、形状などに見られます。統一感があると、風景写真、建築写真、マクロ写真、抽象写真、ポートレートなど、どのようなタイプの写真でも一段と引き立ってきます。

複雑な被写体をシンプルにする

商業写真家のアンジー マックモニガルさんは、作品の中で統一感を出し、都会の風景の美しさを引き出しています。マックモニガルさんは、例えば大きな高層ビルを小さな部分に分割して、その中で調和が取れている要素にハイライトを当て、ユニークな視点から題材を表現しています。

「私はウィスコンシン州中部の小さな町の出身です。いつも都会に憧れていました。でも、同時に威圧感も感じています。だから小さく分割することで、空間をもっと扱いやすくするんです」とマックモニガルさんは語ります。

デザインの要素で統一感を出す

アートとデザインの様々な原則を知ることで、統一感を写真に取り入れていきます。「シンメトリー、パターン、リーディングラインにかかわらず、様々な構図のツールに慣れることが大切です。私が最初に撮り始めた頃は、構図ツールのどれか1つを選び、それだけを練習するために、外へ行って撮影しました」とマックモニガルさんは言います。

構図とシンメトリー

シンメトリーは、ビジュアルアートでは統一感を作品に与える要素のひとつと言われています。「建物の多くは左右対称に作られています。人間はシンメトリーが好きなんです。シメトリーに魅力を感じ、それを見て心地良く感じるのは人間の性質です」とマックモニガルさんは言います。三分割法や黄金比にもとづいて構図を考えると、視覚的な魅力をさらに高めることができます。

カラーパレット

色を通じて統一感を出します。身の周りで色のリピートを探します。例えば、青い空、建物の青いドア、青い車などです。ポートレートを撮影する場合、被写体になる人物の髪や目や着ている服と同じ色がある背景の前に、その人物を配置します。

色の統一感のある人の写真
ブラインドの影と椅子のデザインに統一感がある写真

線と形

パターンは、周囲にあるすべての物の線や形から飛び出してきます。物の線や形が、互いに同じような感じになっているのを見つけてみましょう。例えば、木の枝の曲線が川の曲線と似ていたり、または、建物前面の網がリピートのパターンになっているかもしれません。

テクスチャとムード

テクスチャやムードも統一感を与えます。シリアスな雰囲気の写真にする場合は、強い光を当てて粒子をもっと表し、表面のテクスチャを強調してみます。または、冷ややかな光を当てて、青い影を出します。ハッピーな感じの写真にする場合は、ソフトな光と暖かなトーンが効果的です。

統一感をアップさせるためのコツ

現場の光を使う

「写真家によっては、早朝や夕方の、光が柔らかい時間帯つまりゴールデンアワーだけが撮影に最適の時間だと言う人もいます。でも、私は日中によく撮影をします。日中の強い影は、他の時間帯には見られない、魅力的なパターンを作り出すことがあります」とマックモニガルさんは言います。

曇った暗い日でも良い写真を撮ることができます。「曇って白っぽくなった空は、ネガティブスペースとして使うには最高です。曇りの日は白黒写真に最適です。カラー写真より、線や形に視覚的な重点を置くことができるからです。撮影に向いていない時間帯というのはないと思います。天気に応じて、どのような写真を撮るか決めればいいだけです」と彼女は語ります。

制約が創造性を生む

いくつものレンズがあったり、複雑な機器を使っていたり、またはアイデアが多かったりすると、かえって混乱をきたしてしまいます。選択肢を限定し、目標をしっかりと設け、創造力を働かせましょう。「オーソン ウェルズからの引用句で『アートの敵は、際限がないことだ』というのがあります」とマックモニガルさんは語ります。

「場所は1か所だけ選びます。構図のアイデアも1つに絞ります。カメラも1つ、レンズも1つにします。そうすると、これまで気がつかなかった事が見えてきます」とマックモニガルさんは言います。例えば赤い色など、1つの統一性に集中して捉えようとすると、自分でも驚くような発見があります。

湾曲した階段の対称性のある白黒写真

撮影:アンジー マックモニガル

編集で写真をレベルアップ

Adobe Photoshop Lightroomの編集テクニックで写真の統一感を強化します。マックモニガルさんは、Lightroom を使ってホワイトバランスの調整、コントラスト、明瞭度、切り抜きなどの基本の編集をおこないます。注意深くクロップした写真は、見る人を被写体に惹きつけます。写真のテーマと関係のない部分をカットすることで、写真の統一感を強調できます。

補正ブラシで不必要な物を除去する

マックモニガルさんはその後、写真をPhotoshopに取り込んで、補正ブラシとクローンスタンプツールを使って、レタッチと修復をおこないます。このようなツールは、統一感を表す要素から人の注意をそらしてしまう不必要な箇所を除去します。「私の写真は細かい部分まで捉えており、ほとんどがミニマリスト的な作品です。そのような写真を撮る場合、余分な物を取り去ってクリーンにする作業はとても大切です。Photoshopがあれば、建物の汚れや、コンクリートのヒビ割れ、センサーのゴミまで除去できます」とマックモニガルさんは言います。

色の調整で統一感を出す

写真の中で、1色だけ違和感がある色があったら、他の色と取り変えましょう。このチュートリアルで、写真の他の部分に影響を与えることなくオブジェクトの色を変更する方法を学びましょう。

写真のすべての色に、微妙な統一感を出すもう1つの方法として、「べた塗り調整レイヤー」を使います。この場合、「新規塗りつぶし」または「調整レイヤー」/「べた塗り」を選択します。次にカラーピッカーから色を選択するか、カーソルを使って写真の中の色を選びます。ブレンドモードを「通常」から「カラー」に変更し、下のレイヤーの色にブレンドします。次に、不透明度を好みのレベルに調整します。

鏡で覆われたビルの柱を写した統一感のある写真

撮影:アンジー マックモニガル

写真に統一感を出すための初心者向けのコツ

シンプルさを保つ

統一感がよく現れている写真の構図で重要な点は、そこに何があるかでのみではなく、何がないか、ということも必要です。「良い構図を作るコツは、写真に何を入れ、何を削除するかを知ることです。私のように抽象的な写真を撮る場合も、もっと広範囲に周囲を取り入れるような写真の場合でも、画像から取り去る物を選ぶ必要があります」とマックモニガルさんは言います。

写真の中に注意を引くオブジェクトがたくさん存在する、または多くの要素が互いに注意を引こうと競合してしまうのも良くありません。ストーリーを1つに絞り、それに集中しましょう。写真の主なテーマがパターンとラインである場合、その邪魔にならないように色を取り除く必要があります。

抽象的になることを恐れない

抽象写真は、写真の統一感を出すための良い練習となります。抽象的でユニークな写真を色々試してみましょう。「写真の中の重要で興味深い対象に、人の目を誘導できるように、構図についての知識が必要になります。それは、練習を重ねることで分かってきます」とマックモニガルさんは言います。

最後に、ルールを少し曲げると良い結果が出る可能性もあることを覚えておきましょう。例えば、少し非対称の部分があると、それが対象形をさらに強調します。または、色を1色だけ加えることで、他の部分が一層引き立つこともあります。アートとデザインの要素を使って統一感を出すことに成功したら、写真が芸術的な写真になるかもしれません。

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