写真撮影
どこであろうと役に立つ旅行写真撮影のヒント
プロの写真家から旅行写真の撮影についてアドバイスを受け、初めて見る風景、都市の景観、旅先で出会った人々のポートレートなどを撮影してみましょう。
![A photography of the Great Wall of China taken by a traveler](./media_1ee524f0d92cfef6913bd4a5592a60384fa8db178.png?width=750&format=png&optimize=medium)
旅行写真の概要
- 旅行写真には、風景、都会、建築物、路上の人々などの写真が含まれます。
- 練習のために遠くまで行く必要はありません。住んでいる場所の近くの興味深い場所で写真に撮ってください。
- 職業にするには、自分の最高傑作を集めたオンラインポートフォリオを構築しましょう。
風景写真
世界には、絵のように美しく、魅力的で、息を呑むような景色がたくさんあります。散歩しながら見つけた景色の雰囲気を捉えたい場合は、風景写真を撮ることに集中できます。出かける前に調査し、撮影する時間帯を決めて、天候から身を守るための装備を持参してください。
![A photo of a desert landscape.](./media_1fc32f4ae0f8b5570112b8db07c4e337c7911333a.png?width=750&format=png&optimize=medium)
都市風景の写真
都市の風景を捉える。都市には広大な空や路上に映し出される日常など、遠近感、テクスチャ、光、色彩を実験するためのすばらしい題材があります。建物の最上階、路上、地下など、フレームと撮影ポイントをいろいろ試してみましょう。
建築写真
建築写真を撮影するようになると、どこに行っても人工的な建造物の普遍的な特徴や独自性を見つけることができます。建物や橋などの動きがない被写体を観察して、天候や時間帯の効果を強調したり、様々なポイントで撮影したりしてみましょう。
![A photo of buildings in Santorini, Greece.](./media_144cd8d8180d0edddad38a920a118f3b725e675de.jpeg?width=750&format=jpeg&optimize=medium)
ストリート写真
街に出たら、建築物よりも街を行き交う人々に注目できます。日常を切り取ることがストリート写真の目標です。日常の様子を見せることで表現する形の視覚的なストーリーテリングです。鮮やかで自然発生的なものであるため、あらゆる光を利用して撮影する必要があります。日常生活を送る人たちを見つけて、新しい街の体験に浸りましょう。
旅行写真を撮影するための重要なヒント
旅行写真の撮影を大変なことや面倒なことと感じる必要はありません。紹介するヒントを参考にして、撮影を始める手順を見てみましょう。
![A photo of buildings in Chefchaouen, Morocco.](./media_1596ee957dbd15450de5b66fe5302a3896e807c36.jpeg?width=750&format=jpeg&optimize=medium)
1. 旅への情熱に身を任せる
興味の対象がどこであろうと、撮影するために旅行する場合は旅行写真とみなすことができます。ドキュメンタリー写真がそうであるように、旅行写真もカメラの中に見える特定のシーンを捉えます。「私にとって旅行写真は、自分の世界観を表す1つの方法です。私はいろいろな場所に旅して、レンズを通した世界を見て、撮影を通してその景色を紹介します」とプロの旅行写真家であるTiffany Nguyen氏は言います。
2. できることから始める
旅行写真を撮るのに、現在の仕事を辞め、所持品を売る必要はありません。「私だったら自分の家の庭から始めますね。私の場合、まず週末に小旅行をして、旅慣れして写真も上手になってから次の段階として、海外旅行に行くようになりました」とNguyen氏は言います。最初は、近くにある良い写真が撮れそうな場所をリストアップします。午後にちょっと行けそうな場所でも良いでしょう。
3. その場所をリサーチする
事前に計画すれば、時間と労力を節約でき、良い写真が撮れます。「その場所に行く前に、アイデアを持っていることが、良い写真を撮るコツです。行く前にムードボードを作って、自分の思い描いている写真が撮れるシーンを探すようにしています」と旅行写真家のForrest Smith氏は言います。
Nguyen氏は、ブログやGoogle Earth、 Google画像などをインターネットで検索します。彼女はInstagramも見て、アングルや視点を見つけておきます。「膨大なリソースがあるSNSの場合、特にInstagramでハッシュタグは大変参考になります。ある特定の場所の生の情報を得るのにとても役に立ちます。例えば、滝に行くとします。もし水の写真を撮ろうと思ったのにそこまで行って滝に水がなかったら、時間の無駄になります。そういう時に、滝の名前のハッシュタグを探して検索すれば、滝の水位がどうなっているかわかります」とNguyen氏は語ります。
天気の状況の他、インターネットで調べると、その場所がどの程度人気があるのか、交通手段、人の少ない時間帯などを知ることができます。「歩く距離、高低差、障害物や危険な場所があるかどうかなど、行き先について調べます」とNguyen氏は言います。
![A travel photo of a gondola to the mountain peak of Dachstein glacier in Austrian Alps](./media_1e7c78ccd4109d6cb95c2e45a16003c185a4e70c6.png?width=750&format=png&optimize=medium)
![An aerial photo of New York City at night.](./media_12e669d95d162ab4beebcec614d49857d5f9480f8.png?width=750&format=png&optimize=medium)
4. 適切な機材を準備する
チェックリストを作って、カメラバッグを荷造りする時に忘れ物がないようにします。予備のバッテリー、予備のメモリーカード、ヘッドランプ、非常食、雨具、撮影機材の保護カバー、予備のレンズなどをバッグに詰めておきます(長い距離を歩くことが事前にわかっている場合は、望遠レンズが本当に必要かどうか確認します)。
「私にとっては、コンパクトで軽量な機材を持っていくことが重要です」とSonyのミラーレスカメラを使うNguyen氏は言います。デジタル一眼レフカメラと違い、ミラーレスカメラには、画像を光学式ビューファインダーに反射させるための鏡がありません。「ミラーレスカメラの本体とレンズは、一眼レフよりずっと小さいのに、その性能はすばらしくて、解像度もとても高いんです」とNguyen氏は言います。Nguyen氏は、24–70mm f/2.8レンズ、広角撮影用の16–35mm f/2.8レンズを含め、数本のレンズを使います。また、天体写真や光が少ない時の撮影用に、プライムレンズ(焦点距離を固定したレンズ)とカーボンファイバー製で軽量の三脚を持っていきます。車で行く場合は、70–200mm f/2.8の望遠レンズも持っていくそうです。
Nguyen氏もSmith氏も、ドローンを使うことが許可されている場所であれば、空撮用にドローンを持っていくそうです(米国の国立公園ではドローンの使用が禁止されています)。Smith氏によると、ドローン撮影に最も適しているカメラは、Canon 5D Mark IVデジタル一眼レフカメラです。Nguyen氏と同様に、Smith氏も24–70mm f/2.8レンズを使います。「1日出かけるとしたら、広角ともっと狭い角度のレンズが欲しいので、24mmプライムか、100mmプライムを持っていきます」とSmith氏は言います。Smith氏は NDフィルターも持っていきます。「このフィルターは水を撮影するときに非常に便利です」とSmith氏は言います。
![A photo of a sunset on a desert landscape.](./media_10b84d7441e802d394177b4aada41a5eb775c1b6c.png?width=750&format=png&optimize=medium)
5. 適切なタイミングを見計らう
リサーチをする時には、撮影をするのに最適な時間帯と、そこへ行くのに要する時間も調べておきます。「私は光を利用したいので、ゴールデンアワーか日の入りの時によく撮影します。真昼は避けます。強い光だと良い写真にならないし、人もたくさんいますから」とNguyen氏は言います。国立公園など人気のある場所で人のいない風景写真を撮る場合は、太陽が昇る前にその場所へ行く必要があります。
計画には入っていないが、すばらしい撮影場所がないか常に注意しておきます。「適切な場所、適切な時間、適切な行動が必要です」「撮影の対象として良い場所はないか注意しています。探してみると必ず良い場所があるものです。ニューヨークの中心にいても、ユタ州の何もない場所にいても、何かが必ず起きています。注意深く周りを見ていれば、それを撮影して、でき上がった写真を人に見せることができます」とSmith氏は言います。
Smith氏は常にカメラを持つことを勧めています。ポラロイドでも携帯電話のカメラでも、それを手もとに置いて撮影して創造力を育てましょう。「観光名所にいるときでも、自宅近所を歩いているときでも、撮影に良い構図と光のことを考えます。気軽に撮った写真、瞬間的に撮った写真が、念入りに計画して撮った写真より、すばらしい写真になることがあります」とSmith氏は言います。
6. 不確実性を受け入れる
旅行とは、予期せぬことの連続です。一生に一度のシャッターチャンスに巡り合うかもしれません。また、突然の霧や雨に遭遇するかもしれません。悪天候、道路閉鎖、電車に乗り遅れるなど、そのような時はあるがままに任せます。
念のために計画のバックアップを前もって作成しておき、さらにそのバックアップをバックアップする計画も立てておきます。そうすれば、何か予定外の事が起きても、すべてが無駄にはなりません。「予定していた事や、自分でコントロールできない事に対し、現実的な対応をすべきです。柔軟な姿勢で、別のプランを考える方が、ずっと楽です」とNguyen氏は言います。
![A photo of a farmer laying out their harvest to dry.](./media_113317d1d64901651911f8770d4fa02496e4c276f.png?width=750&format=png&optimize=medium)
7. ストーリーを伝えることに焦点を当てる
どのような旅行写真でも、その時、その場所の雰囲気を伝えます。「旅行写真の最も重要な点は、画像を通じて人を自分の旅に連れて行ってあげる事です。単にその場所を見せるのではなく、そこに息を吹き込み、その瞬間に感じた事を伝えなければいけません」とSmith氏は言います。
先人の跡をたどって写真を撮っていきましょう。今まで、何千何万という人達が写真を撮った場所に行ったとしても、自分の写真とそのときの感動は自分だけのものです。「10人の写真家が同じ場所で写真を撮ったら、10枚のまったく違う写真が撮れ、10通りの編集がおこなわれ、10種類の個性のある写真になります。それは、それぞれの写真家が、その場所でそれぞれ違う目で見るからです」とNguyen氏は言います。
![A photo of people making tortillas next to a photo of a person wearing traditional cultural clothing.](./media_14322c31ce7fcd1a489d8011686a44866cf8e6a26.png?width=750&format=png&optimize=medium)
![A photo of hands grabbing rice next to a photo of a person wearing a gold ceremonial outfit.](./media_1d2f685609aa54d92ea1072b89bca38f3ba0db3c3.png?width=750&format=png&optimize=medium)
8. 海外での旅行写真のヒント
海外旅行は、時間を無駄にしないためにも、しっかりとした計画が必要です。しかし、すべて完璧に計画することはできないという事を認めなくてはなりません。「その時の状況に応じて行動するのも、旅の貴重な経験ですし、楽しみでもあります。何が起きるかわからないし、すべて計画したり、予期したりすることはできませんから、その場の流れに任せ、柔軟に行動するしかありません」とNguyen氏は言います。
現地の人々とその習慣に心を開いて親しくなり、彼らの文化を外から眺めるのではなく、その中に入って体験しましょう。「文化などの違いを作るのは人間です。そのような人々がそれぞれ文化や歴史を持っています。私達はそこから多くを学ぶことができます」とNguyen氏は言います。
現地の人々には常に尊敬の念を持って接しましょう。人物の写真を撮りたい時は、まずその人に話しかけます。その人と親しくなり、写真を撮っても良いか尋ねます。「ほとんどの場合、喜んで写真を撮らせてくれます。話を聞くこともできるでしょう。彼らにとっても写真を撮られるのは珍しいことなので、きっと楽しいと思うでしょう」とNguyen氏は言います。
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9. 家族での旅行写真のヒント
旅行中に撮影する家族写真にも、ここまでで取り上げたようなヒントを適用できます。忍耐強くあることを忘れず、家族にも忍耐力を養うよう最善を尽くし、グループ全体を一度に撮影できるように三脚とリモコンを必ず持参してください。
特定の演出ショットを撮りたいと思っている場合は、事前にアイデアを伝えてください。家族全員の賛同を得るために、印象的な写真をPinterestやInstagramからいくつか共有するとよいかもしれません。小さなお子さん(または若者)がいる場合は、協力してもらうためにご褒美を準備しておきましょう。
もしうまくいかなければ、家族のスナップ写真を撮ることに集中しましょう。人間と同じように、スナップ写真もコントロールできない場合があります。雰囲気を感じてその場に適応し、状況をコントロールすることをやめる必要がありますが、興奮、疲労、自由な喜び、明白な苛立ちなどのあらゆるショットを組み合わせることで、家族旅行の体験を完璧に捉えることができるかもしれません。
10. 実践
旅行写真の腕をあげるには、色々な場所に行って写真を撮り続けることです。「時間と労力をかけ、その場所に出かけて行って、できるだけ多く写真を撮ることです」とNguyen氏は言います。そのようにして、自分の作品集を充実させ、写真業界で仕事を探す時は、人に見せることのできるような写真を選りすぐりましょう。写真を選んだら、なぜその写真を選んだのか理由を明確にし、どのようなスキルを披露したのか、明確にしておきます。
![A raw landscape photo, pre-processing.](./media_1103c7ca987669cd8e780affd8ffc34dffc885b5c.png?width=750&format=png&optimize=medium)
![A landscape photo, post-processing. The picture is brighter and the colors are more vibrant.](./media_1a606dedba1a6305a09f0263357dbe3b6cd26623c.png?width=750&format=png&optimize=medium)
11. 後処理で適切に処置する
写真編集用ソフトウェアAdobe Photoshop Lightroomを使えば、良く撮れた写真の品質をさらに上げることができます。構図を少し三分割法に近いものにしたい場合、または地平線をまっすぐに直したい場合、Lightroomがあれば簡単に修正できます。プリセットを使って、都市の景観や自然の写真を簡単に修正することもできます。また、手順を踏んだチュートリアルに従って、画像を鮮明にする方法や不要な物を削除する方法まで学ぶこともできます。
カメラを持って出かけるときは、珍しい事、予期せぬ出来事に遭遇するかもしれません。そのような場合でも対処していきましょう。自分と自分の周りの状況をよく観察して、寛容な精神で受け入れましょう。写真を1枚撮るごとに、撮影のスキルに磨きがかり、経験が積み重なっていきます。
旅行写真の撮影を仕事にする
旅行写真への情熱を持って撮影を仕事にするには、まずたくさんの写真を撮り、最高の作品を集めることから始めましょう。撮影に真剣に取り組み、既存の枠にとらわれない考え方ができるなら、写真ビジネスを始めることができるでしょう。
- コストに注意する。 カメラ機材やコンピューターはそろえたかもしれませんが、写真編集ソフトウェアや旅行にもコストがかかります。
- ポートフォリオを作成する。 クライアントは購入の予約をする前にあなたの作品を見る必要があります。ですから、オーディエンスや特定の分野に特化したポートフォリオを作成しましょう。
- 自分の作品について宣伝する。 撮影をビジネスにするための重要な要素にはマーケティングとブランディングがあります。美的感覚と視点を確立することで、見込み客があなたに依頼するとどんな成果を上げられるのかを把握できるようにします。
- 型を破る。 南国の楽園には、魅力あふれる風景を撮影しようとする観光客があふれています。まずB&B、小さなホテル、さらには観光客を呼び込もうとしている企業に問い合わせるところから始めましょう。ポートフォリオを見てもらうことで、宿泊費や少額の日当を提供してリゾートの写真を撮影することに興味があるかどうかを確認します。
- 毎回の旅行をチャンスに変える。 旅行写真に興味があるということは、既に旅行好きということです。旅行に行くときはいつでも、ポートフォリオを構築する時間を取ってください。プロのフォトグラファーは収入が不安定なノマド的ライフスタイルを送ることになる可能性があるため、どこにいても仕事をして新たな機会を捉えるという心構えを持ちましょう。
仕事のキャリアというのは、一晩で築けるものではありません。旅行写真家としての小さな積み重ねが、写真撮影をビジネスにするという目標の達成に向けての歩みになるのです。旅を楽しんで、いい写真が撮れることを願っております。
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