![Tilted tilt-shift camera lense](./media_15e73b8706f14110ab278eb1403c5e95ff008d33b.png?width=750&format=png&optimize=medium)
写真撮影
ティルトシフト写真を撮影する方法
ティルトシフトレンズを使って、個性的な被写界深度効果を得て、写真の遠近感を自由にコントロールする方法を学びます。さらに、ティルトシフト写真撮影のテクニックを磨くため専門家からアドバイスを受けます。
![A tilt-shift photo of buildings along a riverfront](./media_143e92f6c9e593c76a0a7b713443c2b99d052a2dd.png?width=750&format=png&optimize=medium)
ティルトシフトレンズで写真に変化を加える
ミニチュアモデルのような効果、高層ビルのラインをまっすぐにする効果、ポートレートで選んだレンズブラー効果の実験など、ティルトシフト効果は創造力を掻き立てる撮影方法です。ティルトシフトレンズを使用することで、デジタルツールでしか表せない被写界深度や遠近感をカメラで実現します。高画質で個性的な写真を撮りたいのであれば、ティルトシフトレンズは最適なツールかもしれません。
![Tilted tilt-shift camera lense](./media_15e73b8706f14110ab278eb1403c5e95ff008d33b.png?width=750&format=png&optimize=medium)
![A tilt-shift camera lense](./media_1aebbe0e0997deaecc0cbb378004435f4211d948d.png?width=750&format=png&optimize=medium)
ティルトシフトレンズの仕組み
ティルトシフトレンズには、ティルト機能をコントロールするツマミと、シフト機能をコントロールするツマミの2つがあります。
ティルト
ティルトツマミを使うと、センサーに対してレンズを傾けられるので、ピント面を変化させることができます。ピントの合う範囲を決めるピント面が、カメラのセンサーに対して平行ではなく、特定の方向に傾くことになります。
ピント面を傾けた後は、被写界深度を広く、または狭くする選択的フォーカスが可能になります。レンズブラーを多用して被写界深度を浅くする、または、ピントをシャープに合わせることもできます。また、カメラからの距離が異なる2つのポイントにピントを合わせることもできます。
ティルト機能でピントを操作できるのは、「シャインプルーフの原理」と呼ばれるものによるものです。これを利用した例として、ミニチュアフェイク写真があります。画像の大部分をぼかし、被写界深度を非常に浅くして撮影することで、現実の風景をミニチュアスケールのモデルのように見せることができます。
シフト
ティルト効果は画像のピント面を変えるものですが、シフト効果は画像の遠近感を変えるものです。シフトノブを使って、レンズをカメラ本体で上下左右に移動させることができます。レンズが動けば画像面も動くので、センサーには画像全体のうち異なる部分が記録されることになります。カメラを動かさなくても、パノラマ写真が撮れるというわけです。シフトノブを使用するには、画像の開始点にしたい箇所にカメラのレンズを向け、ノブをひねってレンズを任意の方向に移動させることで、思いどおりの構図を得ることができます。
「どんなレンズでも、光の輪が長方形のイメージセンサーに当たります。しかし、ティルトシフトレンズでは、イメージサークルが通常のレンズよりもはるかに大きくなります。シフトすることでイメージサークルをセンサーの周りに移動させることができます。ファインダーで見ているものは、レンズで見ているもののほんの一部に過ぎません。あたかもLightroomで写真の形に切り取られたようなものだと考えてください。レンズを移動させるということは、クロップボックスを画像上で動かして理想的な構図を探すようなものです」とフォトグラファーのNick Ulivieri氏は語ります。
このパノラマタイプの機能によって、撮影者と被写体がどの位置関係にあるかに関わらず、完全な直線を撮影できます。 代表的な例として、建築写真では、高い建物が高くなるほど後ろに向いているように見えることがあります。 シフト機能を使えば、上に向かって完全な平行線になるような画像にすることができます。
写真編集ソフトで遠近感を補正する方法
ティルトシフトレンズの使い方として、1枚の写真を撮った後にツマミを上にずらしてもう1枚の写真を撮り、Adobe Photoshopなどの編集アプリでつなぎ合わせてパノラマ写真を作るという方法があります。「作業の大部分を占めているのは、画像をつなぎ合わせる作業です。適切なステッチを確実に得るために、すべての画像の3割ほどを重ね合わせます」とAndrew Pielage氏は言います。
また、Adobe Photoshop Lightroomの「変形」パネルでも遠近感を補正することができます。これらのツールにより、画像の領域を引き伸ばす、または圧縮できますが、この作業では画像をある程度切り取ることになります。、この機能は多くの画像で有効ですが、画像に多くの歪みがある場合は、トリミングによって画質が低下したり、構図が変わったりする可能性があります。後処理ツールは多くの場合、適切な処理方法となりますが、プロのフォトグラファーや撮影現場で満足のいく結果を求める人にとってティルトシフトレンズが最適です。
ティルトシフトレンズの5つの使い方
撮影:Nick Ulivieri
![A boat on a river passing through a cityscape](./media_18f696b042d5b19605a6e2154e4773a17654682aa.png?width=750&format=png&optimize=medium)
建築写真
「街並みや建築物を撮影するため、および完全に直線的な写真を撮るためのティルトシフトレンズがない場合は、レンズを地面と平行にし、被写体に対して垂直に配置する必要があります」とUlivieri氏は説明します。しかし、大抵の場合、建物と平行な場所を見つけることができず、歩道から建物を見上げるような形になるため、建物全体をフレームに収めるには広角レンズが必要になります。
広角レンズで建物全体が写りますが、縦のラインは真っ直ぐではなく、ある1点に向かって内側に合流するように見えます。シフトノブを使用して撮影すると、この問題が解決され、建物が歪まずに本来あるべき姿で撮影できるようになります。
風景写真
建築写真撮影の原理が同様に風景写真にも当てはまります。森や山の風景などは、シフト効果による線の後退を避けることができる被写体です。
ティルト効果を使えば、被写体からの距離に関わらず、風景をシャープに表現することもできます。例えば、手前に野花があり、遠く山があるとします。「花の近くにいる場合、普通のレンズでは花と山の両方をシャープに撮れる絞りはありません。しかしレンズを傾けると、ピント面が後ろに傾くことで、花と山の両方と交差させることができます」とUlivieri氏は言います 。
ミニチュア効果
ティルトのツマミを使うと被写界深度を浅くして、画面全体がぼやけてマクロ撮影のように見えるため、ミニチュア模型のようなシーンを作ることができます。
ポートレート
ティルト機能による選択的フォーカスにより、ウェディング写真やカップルの写真を撮影する際に幸福を感じさせるような撮影テクニックを使うことができます。ピント面を傾けることで、一部の要素だけにピントを合わせ、周囲は柔らかくぼかし、被写体を引き立て、見る人の視線を重要な部分に誘導することができます。
商品写真
「商品撮影で、小さな絞りだけではピントが合わない場合、ピント面を傾けることで、近くにある物と遠くにある物をシャープに見せることができます」とUlivieri氏は言います。また、被写体以外のものをぼかすこともできます。これは料理写真でよく使われるテクニックです。
完璧なティルトシフトショットを撮影するためのヒント
良質な三脚に投資する
ティルトシフト撮影では、可動部が多くなるため、丈夫な三脚が必須アイテムとなります。 レンズを上にシフトさせながら、カメラを安定させて連続したフレームを撮影する場合、カメラを持って撮影するには無理があります。
購入する前に試す
「ティルトシフトレンズは非常にシャープで良く設計されていますが、そのため高価なのです」とPielage氏は言います。ティルトシフトレンズは価格が高いので、購入する前にレンズをレンタルするか、人から借りて、使い勝手を確かめてから希望するレンズを購入すると良いでしょう。
「高価なレンズですから、2~3枚レンタルして実際に使ってみてから購入を決めることをおすすめします。結果的には、投資する価値があると言えます」とUlivieri氏は言います。
撮影:Nick Ulivieri
![A boat on a river passing through a cityscape](./media_140e963fb61444132bbeba7f2463417f15b44b92f.png?width=750&format=png&optimize=medium)
急がずにいろいろ試す
ティルトシフトレンズは、従来のデジタル一眼レフカメラ用レンズに比べて慣れるまで時間がかかるため、買ってすぐにテクニックが身につくわけではありません。「私が初めてティルトシフトレンズを使ったとき、最初の1、2か月はイライラしたものです。その仕組みを知るために、何度も繰り返し試してみました。実際に手に取って撮影し、失敗を繰り返す必要があるでしょう。それが慣れるための最良の方法です」とPiealge氏は言います。
レンズを使いこなす上で、いきなりティルト機能とシフト機能を組み合わせてはなりません。最初からティルト機能とシフト機能を組み合わせて使うのではなく、1つずつ試してみて、それぞれの機能に慣れるようにします。ティルトシフトレンズはすべてマニュアルフォーカスなので、構図決め、撮影の準備に時間がかかります。「最も難しいのは、ゆっくり時間をかけてピントを合わせていくことだと思います。目標達成のためには、慎重に進めていかなくてはなりません」とUlivieri氏は言います。
どのような写真を撮りたいのか、どのような経験を積んでいるのかに関わらず、ティルトシフトレンズはすべての写真家に新しい発見を与えてくれます。「ティルトシフト撮影には様々な方法があります。このレンズでどのような創造性豊かな写真が撮れるのか、その方法について人々は未だに模索しています」とPiealge氏は言います。
ティルトシフトレンズの基本的な使い方を理解した上で、ティルトシフトレンズを使って様々な創造性豊かな写真を撮影しましょう。
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