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一瞬を切り取るスナップ写真の撮り方

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「スナップ写真」と聞くと、どのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。

街角スナップや風景としての街撮りを思い浮べる人もいれば、
仲の良い友達とパンケーキを食べに行った時や、子供とお出かけした時の瞬間を捉えることを思い浮かべる人もいるでしょう。

スナップからキャリアをはじめた写真家の三澤亮介さんは、それらすべてがスナップ写真であると言います。

「日常の中から心が動いた瞬間を自然に切り取れたら、それはどんな素晴らしい写真家の写真よりも、自分自身にとっては大切な写真であるとも言えます。そういった意味で、普段からカメラを持ち歩き、スナップ写真を日々たくさん撮ることは大変有意義なことではないでしょうか?私自身、仕事以外の時も肌身放さずカメラを持ち歩きスナップ写真を撮っています。写真を撮るということは、どのような視点であなたがあなたの周りの世界を見ているか?ということを教えてくれる行為でもあるとも思います」(三澤さん)

今回は知っておくと日常のシーンの中でスナップ写真が撮りやすくなるテクニックについて、三澤さんに語っていただきました。

Step 1 自然な一瞬を作り出そう

普段、家族や恋人、友人と食事をしている時に、「あっ!いまいい表情してる!」と思うことはありませんか?その瞬間を収めるのがスナップ写真の醍醐味です。

ですが、いざカメラを構えてしまうと、相手もカメラを意識するので緊張してしまい、自然な表情は作りづらいものです。ですがこれは裏を返すと、カメラの存在さえ相手の意識から遠ざけられればナチュラルな瞬間を引き出せる、ということでもあります。

モデルと撮影する場合は相手の動かし方も重要なポイントですが、今回はいかに自然に日常を切り取れるかについて触れていきます。

まずは紛れよう

一対一のシチュエーションでは、

相手と会話することで自然な雰囲気を作ることが大前提です。

慣れていないと、相手と二人きりで会話をしながら写真を撮るのは少しハードルが高いかもしれません。そんな時は、複数人でのお出かけや旅行、食事のシーンで練習をしてみましょう。

自分以外の誰かと誰かが会話で盛り上がって笑っている時や真剣に相手の話を聞いている時、外であれば走り出したり振り返ったりする瞬間に特に集中してシャッターを切ってみましょう。

スナップ写真の面白みは 停止した動作ではなく、流れの中の一連の動作に注目 して自分が残したい瞬間をおさえることです。

複数の友達が遊んでいる中で、「いまこの瞬間!」という瞬間を撮り続けていると、自分がどんな瞬間に特に興味があるのかや、会話の中のどのタイミングでシャッターを切れば自分の取りたいスナップ写真に近づくのかが段々と分かってくるはずです。

撮影に使うのは、携帯についているカメラでも使い捨てカメラでも、最初は何だって大丈夫です。まずは、スナップ写真を撮る癖と習慣をつけてたくさん撮りましょう。

友達との旅行や学校での日常の写真を自然に切り取れるだけでも凄いことですし、ただの集合写真よりももう一段上のスナップ写真が撮れたら楽しいですし、友達に見せて喜ばれたら嬉しいですよね。

一対一で撮ってみよう

さて、複数人のシチュエーションで自然にスナップ写真に慣れてきたら、次は二人きりのシーンでの撮影にトライしてみましょう。その際も、カメラの種類は気にせず、なるべく撮りたい一瞬を逃がさないように、カメラはテーブルの上や自分の手元に置いておきましょう。

撮る準備は整っても、撮りたい瞬間を作り出すためにどうすればいいのか分からなくなるかもしれません。複数人の時は自分が会話に参加していない時でも自然な瞬間がたくさん起こってくれますから。でも相手との一対一の状況でもポイントは同じなのです。そう、停止した動作ではなく、流れの中の一連の動作に注目 することです。

たとえば、一緒に歩いているとしたら少し相手が先に進んだ時に呼んで振り返った瞬間や、運ばれてきたご飯に視線を向けている瞬間、そのご飯を食べる一口目の瞬間もよさそうです。こんな風に一対一でも、流れの中のふとした無防備な瞬間は、呼びかけや相手に先に食事させることで簡単に作り出せます。あとは意識的に自分が撮ってみるだけです。

まずはちょっとした工夫で、「一瞬」を生み出して、撮る。
こうしてスナップ写真の楽しさを、実際に体験しながら知っていきましょう。

Step 2 光の場所を意識してみよう

さて、スナップ写真に慣れてきたら、次は光を意識してみましょう。

光の力は本当に偉大です。写真で同じ人を撮っても、光の当たり方次第で顔の印象は大きく変わるものなのです。スナップ写真においても、光の力について知っておくと表現の幅が広がるので、なんとなく撮る時に意識してみると変化が楽しめるかもしれません。

光は、大まかに分けると、被写体に対して光がフロントから当たる場合、サイドから当たる場合、バックから当たる場合の3パターンが考えられます。これは被写体が人でも建物でも同じことです。

正面から光が当たる場合は、基本的に顔に影は落ちないため、撮る相手の顔がシンプルかつはっきりと分かり、爽やかで清潔感のある印象になりやすいです。

次に、サイドから光が当たる場合は顔に影が出来るので、一般的にはホリが深く見え、顔のメリハリを印象的に伝えやすくなると言われています。サンプルの写真では、相手の左側に窓があるのでなんとなく柔らかい光が顔の左側に当たっています。

ですが、強い印象になりすぎないようにあえて目線を外して会話の中で微笑んでいる瞬間を撮ることで、私の撮りたかったやわらかなイメージに近づけています。ステップ 1 との組み合わせが効いた良い例です。

写真

最後はバックから光があたっている場合です。一般的に言う逆光です。

この場合相手の顔は暗くなるものの、光のフレアや背景に光が回っている場合はふんわりとした雰囲気になり、どこか不思議な印象を作ることが出来ます。この写真の場合も相手の雰囲気に合いそうだったので、相手が向こうからこちらを見た瞬間にシャッターを切りました。

写真

このように、日常のスナップ写真に光を意識してみるとまた違った印象を作ることが出来るので、ぜひ試してみてください。

Step 3 シチュエーションを生かして簡単に構図を作ってみよう

最後に、スナップ写真をより良くするために、構図についてのお話をしたいと思います。

一般的に構図を作る際の基本的なポイントはいくつかありますが、ここでは「面白くなりそうな構図を見つける」ことについて述べます。スナップ写真が面白くなりそうな構図とは、どんな構図でしょうか。
まず見ている景色がなんとなくきれいだなと思う感覚や、ここから見るといつもと違って不思議に見えるな、といった視点を大切にしましょう。

私の場合、風景を見ていて光や建物が少しでも自分にとって引っかかるとカメラを向けることが多いです。例えばこの写真は、四角い光が差し込んでいて、周りの影が落ちている部分との違いが非常にわかりやすい場所になっています。普段生活していてもなかなかこのような場所には出くわさないですよね。特にこの日は光が強かったので、このスポットライトのような四角い光の中に歩いて入ってもらい、止まってもらった瞬間を撮影しました。

写真

こちらの写真は、駐車場で車まで向かっている際に、サイドから奥にかけて伸びていく街頭が美しくてきれいな対照になって見えたので、あえて途中で自分は止まって、少し離れた段階で相手に声をかけて、振り向いた瞬間を撮影しています。

こちらも、日常の中にある景色をみて、「あ!ここに人が立ったら面白くなりそうだ!」という好奇心が大切です。

写真

続いて渋谷のスクランブル交差点での写真です。たくさんの方が撮影する人気スポットです。

このスナップ写真は、ひと目でスクランブル交差点だとは分かりづらいかも知れません。場のシチュエーションを生かして構図を作る、という作業を特に意識した作品です。

このスナップ写真では、多くの人々が行き交う雑踏の臨場感を伝えたいと思いました。

そのためには足元に着目すると見る人に伝わりやすそうだ、と思い立ったことが始まりです。

できる限り低くその場にしゃがみ、煽るわけではなく低い位置から平行に人々の足元を撮ることにしました。また、写真の仕上がりを想像したときに、手前から奥にかけて真っ直ぐに横断歩道が伸びていると力強い印象になると思い、さらに横断歩道を直角に人が横切っていると構図として面白いな、という判断をしています。

ここまで考えるまで交差点に入ってからおよそ5秒かからないくらいですが、とっさの判断を下す力はひたすらスナップ写真に慣れることでやっと身につくものです。

同じ交差点の写真を撮るにしても、撮り手が交差点を渡り始めた場所やタイミングにもよるので、これが正解ということではなく、自分なりの構図を見つけることを楽しんでほしいと思います。

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最後のこちらの写真は、スケートボードのイベントに行った際のスナップ写真です。

スケーターの周りに柵があったので、スケートを楽しんでいる彼女たちを柵越しで撮ってみようというシンプルな意図に基づいています。スナップ写真はあくまでありのままの日常がベースなので、気張らずこのくらいラフな動機で撮るだけでも構わないのだと思います。

細かい構図のテクニックもさることながら、「あ!このライト左右で対照になっていて面白い!」や「この光が四角になってるの珍しい!」「しゃがむといつもと違って見える!」などと思う自分の感覚に敏感になり、日常にあるシチュエーションをまずは生かしてみましょう。

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(取材協力:三澤亮介さん)

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