座ったポーズや手にフォーカスした写真撮影
人間の手や、座っている人の写真を撮影するには特有のノウハウがあります。不自然さを克服し、被写体のよさを最大限に引き出し、魅力的なポーズの写真を撮影する方法を紹介します。
成功するポーズには計画と信頼が必要
撮影の際、被写体に座りかたや手の動かしかたを指示できると、狙い通りの写真を撮りやすくなります。ポーズのアイデアをあらかじめ用意しておき、撮影に向けて準備しましょう。そうすることで、モデルは安心し、より多くの写真を撮影することに集中できます。
写真のイメージを固める
どのような写真にしたいかを決めて計画を立てます。イメージが決まったら、どのポーズがそのイメージを実現できるか、アイデアを引き出していきます。モデルにも準備をしてもらいましょう。準備ができていないときには、誰しも写真を撮られたくはないものです。また、マニキュアが剥がれていたら、どんな写真もたちまち台なしです。
親しい人を誘って、ポーズの練習を見てもらうことから始めましょう。お金をかけなくても、そこからはたくさんのことを学べるはずです。
撮影はリラックスした状態で
「被写体が安心してポーズを決められる場所を作りましょう」(写真家・ビデオ撮影家/Kenton Waltzさん)。すばらしいポーズは、モデルがいろいろな位置に移動することで生まれるわけではありません。モデルとの信頼を築くことが大切なのです。モデルと意思を通わせて、心おだやかでいられるように気を配りましょう。ときどきカメラの後ろから顔を出し、目を合わせ、呼吸とリラックスを促しましょう。笑わせて、気分をラクにしてあげましょう。
• ラウンド形式で撮影する
ラウンド1ではモデルをよく知るために、自由に動いてもらいます。ラウンド2ではラウンド1に基づいてポーズを調整します。
• 自然な動きにまかせる
モデルの自然な動きに合わせます。強制された動きは浮いてしまいます。ポーズが生き生きしなくなったら、モデルに立ち上がってもらい、深呼吸をして気持ちを切り替えてもらいます。手の位置についても同じことが言えます。
• シンプルな小道具を使用する
カメラの前で手をどのように動かしたらよいかは誰にもわかりませんが、マグカップの持ちかたは誰もが知っています。「小道具は小さな松葉づえのようなものです。寄りかかることができるのです」(エディトリアル写真家/Nicolle Clemetsonさん)
• 先生を連れて来る
ポージングの先生を招いて手伝ってもらいましょう。細かいところに気がつき、不自然なポーズや手の置きかたを直し、外れた宝石を正しい場所に戻すように、撮影をサポートしてくれます。
• 場の雰囲気を盛り上げる
ボディランゲージを通して、狙っている雰囲気を被写体に伝えましょう。モデルに姿勢を正してほしい場合は、自分も姿勢を正します。「いい撮影をするためには、自分が作り出そうとしている感情としぐさを伝える必要があるのです」(Waltzさん)
手のポーズのヒント
すぐれた手のポーズには、広告写真に人間味を加える、一般的なポートレートに特別な印象を加えるといった効果があります。婚約写真や家族写真では、手のポーズによって感情的なつながりが強調されていると言えるでしょう。
手のポーズを成功させるためには次のようなヒントが参考になるかもしれません。
• 繊細さを意識する
手を体に当てるときは、肌に強く押し込まないようにしましょう。
• 手を隠さない
たとえば、ポケットに手を入れてポーズをとるときは、手の一部を外に出すようにします。
• いい角度を見つける
モデルの指がカメラに直接向かないように撮影しましょう。指が短く写ってしまいます。
• 距離を考慮する
大きく見せたい場合を除き、手がほかの部分よりもカメラに近くならないようにします。
• 手で強調する
手があるところはどこでも強調されます。手を当てておなかを強調するしぐさは、妊婦の定番ポーズのひとつです。
• 不自然にならないようにする
ある手のポーズがぎこちなくなってきたら、モデルに休憩をしてもらいましょう。
• 被写界深度を浅く
特に撮影の開始段階では、被写界深度を浅く設定して、1か所のディテールに集中できるようにします。
• 自然な動きができるように声をかける
被写体に何か好きなものについて話してもらいましょう。「楽しんでいるとき、人はつい手を動かしてしまうものなのです」(Waltzさん)
座ったポーズのヒント
被写体が最初に座るとき、座りかたを細かく指示しないでおきましょう。まずは自然に座ってもらい、それから調整します。
そのほかにも気に留めておきたいのは以下のような点です。
• いい姿勢が重要
被写体に背骨を伸ばし、肩をリラックスしてもらいます。
• 適切な椅子を選択する
理想的なのはいい姿勢を促し、複数の座りかたができ、モデルの足が地面に触れるくらいの高さの椅子です。
• 等距離を心がける
特に広角レンズで撮影する場合は、カメラにもっとも近いものが大きく見えます。足を組んだポーズや、足が近くにある場合は、カメラを上げて斜め下に向け、カメラが足と顔、それぞれから等距離になるようにします。
• 人の配置に気をつける
体の大きさの違いを表現する場合でない限り、カメラから均等な距離に全員を配置します。これは、結婚式の撮影やカップルのポーズ写真などの集合写真にも当てはまります。
• 視点を変える
ポーズを変えるよりも撮影角度を変えるほうがかんたんな場合があります。歩き回って、さまざまな方向から座っている人の写真を撮りましょう。
何度も何度も撮影する
「私たちはいま、ほとんどの写真をデジタルカメラで撮影しています。とにかく撮り続けましょう」(Clemetsonさん)。撮影中にAdobe Photoshop Lightroomでカメラをテザリングすれば、撮影画像がパソコンの画面ですぐに確認できるので、調整が必要なポイントを見つけやすくなります。
ポーズ写真には予想外のできごとがたくさんあります。しかし、しっかりと計画を立て、前向きな気持ちで、モデルが心地よく撮影に臨むことができれば、自然と魅力的なポーズを捉えることができるでしょう。
その他のおすすめ
プロの写真家からコツを学び、アドバイスに従ってポートレート写真を撮りましょう。
大切な日の喜びの瞬間、ありのままの姿をすべてカメラに収める方法を学びましょう。
良く撮れた顔写真は人物を素敵に見せます。顔写真の撮影スキルを磨く方法を説明します。
被写界深度を浅くするには
被写界深度を浅くすると、どのように写真に奥行きが加わるかを説明します。