ファイルサイズ
RAWで撮影する時に一番心配なのは、どれくらいのファイルサイズを使うか、ということです。その点が高画質画像を求めるときの判断基準となります。写真家のJenn Byrneさんは、RAWで撮影するときは使用可能なストレージを十分確保しておくことの重要性を強調しています。「JPEGからRAWに変えると、メモリーカードのストレージが多く使われてしまうので心配になります」。しかし、心配になったからといって撮影を止めてはなりません。「ハードドライブやメモリーカードは、15年前に比べて、とても安くなっています。RAWは、さほどコストはかからなくなっています」とByrneさんは言います。
後処理
写真を編集する際、高画質の方がより多くのデータを有していますのでRAWの方がJPEGより優れていることになります。Adobe Camera RAW、Bridge、Lightroomといった編集プログラムは、RAW画像を微調整して、良質な最終画像として仕上げます。
「Lightroomで写真を編集する上で優れているのは、RAWで撮った写真には変更を加えないということです。ですから、LightroomからJPEGをエクスポートするとそれは固有のファイルとなり、RAWの写真のデータには変更を加えません」とMorrisonさんは説明します。これは非破壊編集と呼ばれ、元のファイルを失うことなく、RAW画像をJPEG、TIFF、DNG 、その他の形式に変換してエクスポートできるなど柔軟性のある編集をおこなうことができます。
ダイナミックレンジ
RAWが持つ最大の利点のひとつは、後処理において通常はISO設定の関係で発生する粒子の粗いノイズを含むことなく、影やハイライトを復元できる点です。露出の過不足がある場合、RAWは対応してくれます。
「JPEGで撮影するときは、露出を正確にすることが重要です」とMorrisonさんは指摘します。JPEGの写真で影を引き出そうとしたり、ハイライトを抑えたりすると、縞模様やポスタリゼーションが発生してしまいます。これらの現象は、8ビットJPEGの色や色調スペクトラムが限られていることから起きます。これを防ぐには、ハイライトのインディケーターを有効にすることをMorrisonさんは勧めています。大半のカメラメーカーは、写真のプレビュー画面でハイライトが強くなりすぎている部分に注意を促す機能を搭載しています。
ホワイトバランス
JPEGファイルの場合、ホワイトバランスは既に調整されています。そのためJPEG画像は、カメラから画像を出したときRAW画像に比べると既に仕上がった状態になっています。「例えばホワイトバランスの場合、Lightroomでは1回の増加手順で変更できます。JPEGの場合では、5回の増加手順が必要になります」とMorrisonさんは指摘します。彼女は、ホワイトバランスについてはマニュアル撮影で覚えることを勧めています。そうすれば、後で任意に調整できるからです。