![Photomontage of desert, hand, and orange.](./media_1ccee23a9167907477c3dbc6b0b8416dd53bf9659.png?width=750&format=png&optimize=medium)
写真撮影
デジタルフォトモンタージュを使ってシュールな画像を作成する
1900年代初頭のシュールレアリズムから現代のデジタル合成写真まで、フォトコラージュの奥深い歴史を学び、このタイプのアートを作るコツを学びましょう。
![Image of a woman with clouds covering her eyes in an example of a photo montage](./media_15a28c9d2d1e3117a36c5b920fe3d4da4ef09cdd0.png?width=750&format=png&optimize=medium)
フォトモンタージュとは
フォトモンタージュでは、様々なタイプの画像編集を使って数枚の写真をカットし、合成し、1 枚の新しい画像を作り上げます。時には印刷された写真を切ることもあります。これはデジタルデザインのソフトウェアが開発される以前に、雑誌の編集者がペーストアップと呼ばれるレイアウトで出版物をデザインするために使った方法です。しかし今では、Adobe Photoshopなどのデジタルデザインツールがあり、既存の画像を使って想像の世界を作り出すことがもっと簡単になりました。もう、写真を切って貼り付ける必要はありません。デジタルでフォトモンタージュを作成する場合、合成 とも呼ばれます。
フォトコラージュが創る幻想的な世界
美術写真家でビジュアルアーティストのEdwin Antonioさんはフォトモンタージュを、「複数の画像を使って制作する、アーティストのビジョンや夢」と説明します。グラフィックデザイナーでコラージュアーティストのLana Jokhadzeさんも同意します。「フォトモンタージュは、自分の頭の中にあるものを何でも創り出す機会を与えてくれます」と彼女は言います。「以前はよく、どこか違う惑星にいて太陽と地球が並んで見えるところを想像しました。デジタルフォトコラージュなら、私のこのようなビジョンをスクリーンに映し出すことができます」
フォトモンタージュの起源
コラージュは、90年代に10代の若者がよく、自分のロッカーを雑誌から切り抜いたスターの写真で飾っていたのを想像させるかもしれません。しかしこのタイプのミックスメディアアートは、もっと深いところにルーツがあります。20世紀初期、第一次世界大戦時代のシュールレアリズム運動で、ドイツ人の反体制的アーティスト達がそれを始めました。
それは合成印刷から始まった
19世紀半ば、初期の頃の写真加工の技法である合成印刷がフォトモンタージュの道を開きました。合成印刷は、複数のネガを使って1枚の画像を現像するプロセスです。様々な光のレベルの露光を同時におこなうことが難しかったので、こういったプロセスを使うことが必要でした。しかし、写真家達はすぐにこれを、それまで以上に想像力豊かな、写真画像を作成するために使い始めました。美術写真家のOscar Rejlanderさんは、合成印刷初期の実験的な作品でそのパイオニアとなり、1857年に有名な作品『The Two Ways of Life』を制作しました。
写真:Oscar Gustav Rejlander
ダダイズムの足跡をたどる現代のコラージュ
1910年代半ばから後半に起こったダダイズムの、Hannah Höch、John Heartfield、Raoul Hausmann、Kurt Schwittersといったアーティスト達は、反ファシスト主義を表す方法としてフォトモンタージュを使いました。同様にロシアの構成主義運動のアーティスト、Alexander RodchenkoやGustav Klutsisは、角度をつけて配置するコラージュに、タイポグラフィとグラフィックデザインを取り入れました。同じ時代、Man RayやSalvador Daliはキュービズムとシュールレアリズムの絵画を手がけていました。彼らは、遠近と人間の形を様々に変えた幻想的なフォトモンタージュを制作しました。1970年代と80年代に、フォトモンタージュはポップアートの手法の 1 つとなり、イギリス人のコンセプチュアルアーティスト、John StezakerやDavid Hockneyは、パターンや繰り返しのデザインを展開し、また商業的な写真の再利用などをしました。これらのアーティストの作品について調べて、インスピレーションを模索しましょう。
Adobe Photoshopを使ってデジタルコラージュを作成する
「初心者は、Photoshopで色々試すのを恐れてはいけません」とAntonioさんは言います。「プログラムのツールを全部使って、どれでも使えるようにしましょう。楽しんで使ってみてください」。Photoshopの選択ツール、ペンツール、レイヤーといったツールを使えば、写真を合成してすばらしいアートを作成できます。
範囲選択とレイヤーマスクを使用した写真の合成
画像から人物やオブジェクトを削除するには、選択範囲とレイヤーマスクを使用します。自動選択にした後、レイヤーマスクを加える前に、マニュアル操作で選択した部分を微調整します。「大きな変更をした後は必ず保存します。決してレイヤーを結合させてはいけません」というのがAntonioさんからの注意です。それぞれのレイヤーを、作業中のファイルで見る必要があるかもしれません。Jokhadzeさんはこの点を繰り返して言います。「絶対に作業中のファイルを削除してはいけません」「絶対にダメです」
「作業を再度チェックしてください」とAntonioさんは付け加えます。「ファイルをエクスポートする時は、すべてのレイヤーがオンになっていて、見えるようにしてください」。レイヤーの基本を理解しておくと便利です。
![Use Selections and Layer Masks to cut out objects in Adobe Photoshop](./media_19f6ec5127a67d772aa0efbda21836c4d8a926ad1.png?width=750&format=png&optimize=medium)
手動でトレースする場合はペンツールを使用する
ペンツールを使って、画像の中から取り出したいアイテムの輪郭をたどる、正確なパスを選択して編集します。このプロセスは、iPadでPhotoshopとデジタルスタイラスペンを使うと、作業しやすくなります。「私のお気に入りツールはスタイラスですが、最初は大嫌いでした」とJokhadzeさんは言います。「難しく感じるかもしれませんが、色々なことができますよ」
Adobe Stockで作業に使用する画像を見つける
コラージュにエッフェル塔を加えたいとします。でもパリに行ったことがありません。「多くの場合、完璧な画像を自分で持っていることはありません」とAntonioさんは言います。「そんな時に便利なのがAdobe Stockです。とても便利なリソースです」。Adobe StockならPhotoshopアプリの中で、質の高い写真やグラフィックを検索できます。
すばらしいフォトモンタージュを作るためのヒント
始める時に最も重要なのは、この技法を十分試してみることです。これは非常の多くの可能性を含んでいます。「初心者にとって重要なのは、色々違うスタイルで自分にできることをテストしてみることです」とJokhadzeさんは言います。以下に、その他の役立つヒントをいくつか紹介します。
できるだけリアルにする
質の良い写真を使うと、大きな違いが出ます。Antonioさんは、もし手に入るなら300 DPIの解像度の写真を使うことを勧めています。そしてもし可能なら、写真をRAWファイルとしてインポートし、コラージュする前に、編集または写真をエンハンスできるようにしておきます。
一定の光が当たっているように見せる
露光を調整するかLighting Effectsを使って、合成するそれぞれの画像の光源をマッチさせてください。それぞれの写真のホワイトバランスを調整するのも、色と温度を均一にし、リアルな合成写真にする、良い方法です。
大胆に、ただし計画も忘れないように
フォトモンタージュでは、できないことは何もありませんから、躊躇しないように。「クリエイティブに、そして大胆になりましょう。自分の世界を創造するのです」とAntonioさんは言います。「でも事前に、何を創りたいのか計画を立てましょう。そうすれば横道にそれることなく、ゴールを目指すことができます」
![Photomontage of desert, hand, and orange.](./media_1ccee23a9167907477c3dbc6b0b8416dd53bf9659.png?width=750&format=png&optimize=medium)
![Photomontage of two people clinking glasses with their faces replaced by writing](./media_14a67a436f0b4344b33accf1991f6d40e1e660fdb.png?width=750&format=png&optimize=medium)
フォトモンタージュの第一歩
以下の3つのポイントを抑えて、シュールレアリズムの傑作を作ってみましょう。
尊敬する作品を見つける
「以前はよく、自分の作品を作り始める前に、色々なアーティストのコラージュを見たものです」とJokhadzeさんは語ります。インスタグラムやBehanceといったプラットフォームを使えば、他のアーティストのフォトモンタージュをいつでも見ることができ、自分の創造性に刺激を与えられます。
![Photomontage of various photos](./media_10ab7e276c6d5a268fa065a83904e2bbd79fcd449.png?width=750&format=png&optimize=medium)
自分のビジョンを計画する
「最初に考えるのは、もしこの新しい世界に自分が実際に立っていたなら、どんな風に見えるだろうか、ということです」とAntonioさんは語ります。「私は『Wonderland』というタイトルの、デジタルコラージュのシリーズを手がけました。その仕事の準備として映画 『不思議の国のアリス』 を少なくとも5回は見ました。作品の中のすべてを、光の当たり方に至るまで完璧にしたかったんです」
手順を踏んで作業を始める
以下に、フォトモンタージュのスキルを磨くためのチュートリアルをいくつか紹介します。
- 試しに、60秒以内に画像の背景を変えてみる
- 画像から物を削除したり加えたりする方法を学ぶ
限りのない選択肢と、すばらしい歴史を持つフォトモンタージュアートは、デジタルデザインのスキルを磨くための理想的なジャンルです。初心者の方はシンプルなコラージュから作成してみましょう。その後、Photoshopでもっと複雑な合成写真を作り、さらにスキルを磨いてください。