基本的な写真用語の解説

このガイドでは、撮影現場で一般的に使用される専門用語を解説します。

さまざまな写真のコラージュ

専門用語を正しく理解する

 

プロの写真家として活躍するためには、芸術的なセンスだけではなく、画質、カメラの部品、撮影技術といった撮影にまつわる専門的な用語を正しく理解する必要があります。

ダンサー、コーヒー、カメラレンズ等の様々な写真のコラージュ

撮影に関する基本的な用語

 

絞り : レンズから光を取り入れるために開く部分です。「F ストップ」、 「F 値」は、レンズの開口部である絞りの開き具合を示します。

 

被写界深度 : 画像の中でピントが合う範囲のことです。「被写界深度が浅い」とはピントが合う範囲が狭いことを指し、その周囲はぼやけます。被写界深度が深い」とは、背景も含めて全体的にピントが合っている状態を指します。

 

ダイナミックレンジ : 画像内の明るさの領域を指し、カメラが再現できる暗さと明るさの範囲を示す言葉です。基本的にカメラは人間の目と比べて明暗差が低いダイナミックレンジを備えているため、画像が真っ黒になる、真っ白になるということはありません。

 

露出のトライアングル : 露出に影響を与えるのは 絞り、ISO、シャッタースピードの3要素で、この組み合わせによって、カメラに取り入れる光の時間と強さが決まります。露出の3要素を調整することで、明るさや質感の表現が可能になります。

 

焦点距離 : レンズの中心点とイメージセンサーと距離のことです。 16ミリ、33ミリといった単位がミリメートルの数値で表されます。

 

Fストップ : レンズの開口部の大きさを表す言葉です。「F1」 は「 F6」 よりも多くの光を取り込みます。F 値を小さくすると絞りが開き、光の量が多くなります。反対にF 値を大きくすると、光の量が少なくなります。

 

ISO : レンズから入ってきた光をとらえる能力を表す言葉です。数値が高いほど感度が高く、光の量が少なくても明るい写真を取ることができます。反対に数値が低いと、感度は低くなります。ISOとは「国際標準化機構」の略称で、国際標準化機構が定めたフィルムの感度ということで「ISO感度」と呼ばれますが、デジタルカメラでは映像素子の感度を示す用語として使われています。

 

シャッタースピード : カメラのシャッターが開き、内部のセンサーが光でさらされる時間を表す言葉です。シャッタースピードが速いと、動く被写体でもブレずに撮影することができます。一方で低速度のシャッタースピードは夜間の撮影や風景写真用いられ、シャッター時間を長くすることで、多くの光をカメラに取り込むことができます。

さまざまなカメラパーツのコラージュ

撮影機材の種類と用語

 

オートフォーカスとマニュアルフォーカス : オートフォーカスとは、被写体に自動的にピントを合わせる機能のことです。近年のデジタルカメラには、ブレが出ないようにオートフォーカスの機能が備わっていますが、手動でピントを調節することもできます。一方、マニュアルフォーカスでは、レンズを動かして被写体に焦点を合わせます。

 

カメラ本体: センサー、電子機器、ソフトウェアなどデジタルカメラの主要部分です。カメラ本体とレンズの接合部分を「マウント」といい、レンズとカメラ本体のマウントが一致しないと装着できません。

 

DSLR : 「Digital Single Lens Reflex」 の略で、デジタル一眼レフカメラという意味です。デジタル一眼レフカメラは、従来の一眼レフカメラにデジタルセンサーの機能を組み合わせ、カメラ、レンズから入ってきた光をファインダーで認識し撮影することができます。

 

ホットシュー : フラッシュやファインダーを取り付けるなどストロボ部位のことで、通常はカメラ本体の上部にあります。

 

露出計 : 光源や空間内の光量を測定する装置です。

 

ミラーレスカメラ : 文字通り内部にミラーのないカメラで、機能的にはデジタル一眼レフカメラと同様の機能があります。センサーに直接光の情報を当てることで、レンズがとらえた景色を映像に変換してやファインダーに映し出されるので、明るさや色味を撮影前に確認することができます。

 

ポイントアンドシュート : 使いやすさを追求したカメラです。ピント合わせ、露出調整、フラッシュが自動的に機能するため、複雑な操作を必要とせずに撮影できるのが特徴です。

河を渡る為にジャンプする野生動物の写真
リビングルームの写真

プライムレンズ : 焦点距離を変えられるズームレンズとは異なり、焦点距離が一定のレンズです。「単焦点レンズ」と呼ばれることもあります。

 

一眼レフカメラ : 単一のレンズが機能するカメラです。「一眼」とは、撮影するレンズとファインダー用のレンズが一つ、つまり同じという意味です。かつてのカメラではレンズが 2 つある場合もあり、ファインダーで被写体を正確に見ることができませんでしたが、一眼レフカメラでは撮影レンズを通した映像をファインダーで見ることができます。このため、撮影者が実際に見たものと写真の仕上がり近いものになります。

 

望遠レンズ : 遠くの被写体をカメラに引き寄せる効果があり、遠距離撮影に適したレンズです。レンズのサイズが大きく、焦点距離が物理的な長さよりも短いのが特徴です。遠くにいる野生動物などの被写体であってもより近くに感じることができます。

 

ビューファインダー : 撮影者が写真を撮る際に覗く小窓のことです。一眼レフカメラでは、レンズがとらえた景色を反射させて「光学ファインダー」を通して見ます。現在のデジタルカメラには電子ビューファインダーが搭載され、シャッターを切ったときにカメラのレンズに写る画像が表示されるようになっています。

 

広角レンズ : 焦点距離が物理的な長さよりも短いレンズで、画角に広がりがでるのが特徴です。広い視野を確保できるため、風景、建築物大人数を撮影する場合に適しています。

 

ズームレンズ : 焦点距離を調整できるレンズで、レンズを交換することなく画角を変えることができます。その場の状況に応じて柔軟に対応できるため、フォトジャーナリストイベントを撮影するフォトグラファーの多くが使用しています。

3枚の写真のコラージュ:歩いている人、肖像画、夜の街並み

写真撮影のテクニックとその他の用語

 

絞り優先 : カメラの設定の一つで、「A」 または「 Av」 と略されます。絞り( F 値)を設定すると、それに合わせてカメラが自動的にシャッタースピードや ISO を選択する機能です。特定の被写界深度を保ちながら撮影をする場合に便利な機能です。

 

アスペクト比 : 画像の縦横の比率のことです。一般的なカメラでは[3:2] や[4:3]といった比率がスタンダードです。スマートフォンではさまざまな比率のものが登場しています。

 

ボケ : 「ぼかし」「ボケ味」とも呼ばれ、意図的に背景をぼかすことを指します。ポートレート使用されることが多くあります。

 

色収差 : 「カラーフリンジ」やパープルフリンジ」とも呼ばれます。レンズが色の波長を一か所に集めることができず、色のズレが発生する現象です。一般的に低品質の写真を指しますが、グリッチ効果同様に、意図的に色収差を加えることでレトロな雰囲気を醸し出すことができます。

 

構図 : 被写体や背景といった要素のフレーム内での配置です。カメラを動かす、ピントを調整する、または後処理で画像を切り取ったりすることでコントロールすることができます。テクニックの一例としては、写真の縦横を3分割して、線の重なる位置に被写体を配置する「3 分割法」があります。

山の雪に覆われた木造の小屋
露出設定が異なる森林の写真を比較をする画像

クロップファクター : カメラのセンサーサイズとレンズの見え方の比率のことです。近年のデジタル一眼レフカメラは、クロップファクターによる歪みを補正するために、サイズの異なる複数のセンサーを搭載しています。

 

手ぶれ補正 :カメラの動きによって生じるブレを軽減するための機能です。手ぶれ補正には、カメラに内蔵されているものと、後処理で行なうものがあります。

 

露出オーバーと露出アンダー : レンズを通して入ってくる光の量が多すぎる、または少なすぎたることを指します。露出オーバーの写真は、白く飛んでいるように見え、人物の場合は被写体の顔色が青白く写ります。反対に露出不足の写真は、暗くてぼんやりとした印象になりがちです。

 

後処理またはポストプロセッシング:Adobe Photoshop、Adobe Photoshop Lightroom といったアプリケーションを使って、写真ファイルの切り抜き、編集、変更、改善を行うことです。

 

RAW ファイル : 未加工の写真データを指し、「RAW 画像ファイル」は圧縮や加工がされていないファイルです。画像に関連するすべてのデータが含まれているため、写真をアーカイブする場合に適しています。オンラインでの利用など用途によってはファイルサイズが大きすぎる場合もあります。

 

シャッタースピード優先 :シャッタースピードを設定すると、それに合わせて自動的に絞りと ISO感度が調整される機能です。「タイムバリュー」と呼ばれることもあり、「 S」 または「 Tv」 と略されます。

 

TIFF :Tagged Image File Format(タグ付き画像ファイルフォーマット)」 の略で、画像の保存形式を表します。「TIFFファイル」は高解像度の画像を保存するためのフォーマットです。「TIFF」 を変換できる画像ファイルとしては「JPG」 や「 PNG」 があります。

 

ヴィネット効果:画像の周辺部分の輝度を下げることです。この効果によって画像の中心部の明るい部分を目立たせることができます。より効果を高めると、穴や望遠鏡を通して見たような画像になります。

 

ホワイトバランス : デジタル写真で、色をより自然に見せるための手法です。光源には色温度があるため、白いものが青く見えたり、黄色く見えたりする場合があります。ホワイトバランスを調整することで、白いものが白く、そのほかの色は正確に写し出されるようになります。

 

ニコンやキヤノンといったカメラ、あるいはスマートフォンのカメラを使用する場合でも、これらの用語を知ることで、写真への理解が深まり、撮影のスキルアップにつながります。

この基本的な用語解説以外にも、拡大されたファッションポートレートや夜景のタイムラプスといったさまざまな写真や撮影を紹介するガイドを用意しています。それぞれのジャンルの写真にどのような特徴があるのかを確認しましょう。

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