商品をブランドイメージごと
リアルに描き出すIllustrator+Dimension
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パッケージデザインを中心にしたブランディングで、国内外を問わず、幅広く活躍するデザイン会社 GTDI。そのフィールドは一般消費者向けの食品、飲料、化粧品から、普段目にする機会のない高級ブランドの特別な逸品まで、実に多種多様です。
仕上がりイメージを共有しやすい平面のデザインに対して、パッケージデザインのプレゼンテーションはいかにリアルで、魅力的なパッケージとして提示できるかが非常に重要です。
今回は、GTDI代表のヘンリー・ホーさんさんに、Adobe IllustratorとAdobe Dimensionを使って、精度の高いシミュレーションイメージを作る方法について伺いました。
“イメージにクリエイティビティがなければ、パッケージのコンペには勝てない”
Illustratorでテキストとグラフィックを作成
→Dimensionで高精度&高品質なプレゼンテーションを
「1年ほど前に海外のコンペに参加したとき、私たちは各面のデザインとそれを立体的に見せたイメージを持って行ったのに対して、海外のデザイナーは非常にリアルに作り込まれたグラフィックでプレゼンテーションをしていたのです。『これではコンペには勝てない』と思ったのが、Dimensionを使い始めたきっかけです。
2Dのグラフィックを3Dイメージとして表現できるDimensionは、Illustratorで作った文字やグラフィックをライブラリを経由してすぐに取り込めますし、パースやライティングの細かい調整も思っていた以上に簡単でした。3DCGのプロではなくてもパッケージのリアルな仕上がりシミュレーションができ、プロダクトが持つ質感や商品がまとう高級感までもフォトジェニックに表現できるようになりました。リアルさだけではなく、グラフィックとしてのクオリティを追求できる。これはDimensionならではの魅力だと思います。
商品ひとつを見せるだけではなく、ロゴやパッケージを含めた、全体像をブランディングして見せることもできるようになったことで、クライアントにもイメージが伝わりやすくなり、プレゼンテーションの精度が格段に向上しました。
クライアントはよりリアルなイメージを求めていますし、私たちが『この平面デザインから仕上がりをイメージしてもらえるだろう』と思ううちの半分も伝わっていない可能性があります。そのとき、3Dソフトでシミュレーションした、いかにも工業的な再現イメージではなく、アートディレクターが求める質の高いグラフィックを作り上げられるDimensionがあれば、そうした問題も解決できると思います」(ヘンリーさん)
1. パッケージデザインのシミュレーションに使用するグラフィックのパーツをIllustratorで作成し、ライブラリにグラフィックとして登録
2. Dimensionで3Dデータを読み込みます。キャップやフタは本体とは別のモデルとして配置し、向き、大きさを整えて背景色を設定
3. 3Dモデルにテキストやグラフィックを配置し、レンダリングプレビューを確認しながら、ライティングを整えて仕上げます
「3Dテキスト」で文字も立体に。
プレゼングラフィック作成に最適なDimension
「Dimensionを使う前は、Adobe PhotoshopやIllustratorで加工して立体的に見せるという方法が一般的でしたが、振りの角度の修正をしたり、視点を変更するのが非常に大変でした。
Dimension導入によって角度や目線の位置もすぐに変えられるようになり、360°ビューをクライアントのブラウザで見てもらうこともできるようになりました。立体だけでなく、テキストも3Dオブジェクトにできるのは、ビジュアルに加えるアクセントとして効果的だと思います。
いまではパッケージデザインのコンペやプレゼンテーションでは、Illustratorでグラフィック要素を作り、Dimensionで仕上げるという流れが定着しています。パッケージをボトルのかたちから提案するようなときは、3D CADを使えるデザイナー(杉本さん)が3Dデータを作ることもありますが、Adobe Stockにも3Dモデルが豊富に用意されているのはDimensionの便利なポイントだと思います」(ヘンリーさん)
直感的に、有機的なグラデーションが作れる
Illustratorの「フリーグラデーション」
「Illustratorのフリーグラデーションはとてもおしゃれで便利な機能ですね。箱物のパッケージデザインはもちろん、フィルムに印刷してボトルに巻きつけるような、化粧品のデザインでも問題なく使えると思います。
これまでこうしたグラデーションはPhotoshopのブラシで描いたり、Illustratorのグラデーションメッシュで作成していましたが、あとからの調整がとにかく難しかったんです。修正するくらいならイチから描きなおしたほうが早いということもありました。それがフリーグラデーションなら美しいグラデーションがすばやく作れるだけでなく、かたちの調整、色の変更、グラデーションの位置の修正も簡単。従来のグラデーションに比べて、色のなじみもきれいで、繊細な表現ができるようになったのも大きなメリットだと思います」(ヘンリーさん)
ヘンリー・ホー(Henry Ho)
株式会社GTDI 代表取締役 / TOPAWARDS ASIA設立者
1972年生まれ。香港理工大学グラフィックデザイン学部 卒業。渡日後、1996年株式会社GTDI代表取締役に就任。KIRIN、大塚製薬、資生堂、花王、リッツカールトン、LOTTE、Philip Morris Japan、モンデリーズ、docomo、Blue Bottle Coffee Japan、Taiwan Star Telecom等のパッケージデザインやブランディングを手がけ、JPDA日本パッケージング賞、グッドデザイン賞、Red Dot Design Award等を受賞。アジア各国が持つ文化がパッケージデザインにも影響されることに興味を持ち、2016年より応募制ではない初の「招待制」アジア限定パッケージデザイン賞TOPAWARDS ASIAをスタート。
Web(GTDI)›
Web(TOPAWARDS ASIA)›
杉本優弥
デザイナー
1989年生まれ。2014年に多摩美術大学プロダクトデザイン専攻を卒業。メーカー、デザイン事務所勤務後、2017年GTDIに入社。プロダクトデザインの経験、3D CADのスキルを活かし、パッケージ、ブランディング等広い視点で取り組んでいる。
第一線のクリエイターが
時短勝負!CCだとどれくらい早い?
IllustratorやPhotoshopでよく行う作業を、新旧バージョンを使用した場合で比較してみました。
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