校正の効率化でデザインクオリティもあげる
IllustratorAcrobatの仕事術

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グラフィック、web、プロダクトといった各分野デザイナーのみならず、コンサルタント、リサーチャー、プランナーから、コピーライター、音楽プロデューサー、映像ディレクターといった各分野のプロフェッショナルが揃う専門家集団・MIMIGURIで、タイポグラフィックデザイナーとして活動する今市達也さん。Adobe Illustratorをメインツールにグラフィックデザインだけでなく、タイプデザインも手がけるなど、幅広いクリエイティブを展開しています。

コミュニケーションの中心がリアルからバーチャルへと変化するいま、デザインの制作スタイルはどのように変わり、どのようなメリットが見えてきたのか。今回は、IllustratorAdobe Acrobatを使ったデザインワークスタイルを紹介します。

"デザインチェックをクラウド化すれば進捗・修正を全員で共有できる"

Frescoでイラストレーション作成 →Photoshopで最終調整&仕上げ処理

Acrobat DCで正確・迅速・確実なコミュニケーションを実現

「これまでは、できあがったデザインをプリントしたものを確認いただき、手書きの修正指示が戻ってくるケースもありましたが、いまはコロナ禍の影響で出社できないケースもあり、オンライン上でいかにコミュニケーションを完結させるかがひとつの課題になっています。

そのとき、CCライブラリを使えば、制作チーム内でデータを簡単に共有することができますし、校正のやりとりもPDFをベースにすることで、物理的なデータやプリントのやりとりをすることなく、デザインを完成させることができます。

PDFでの校正はこれまで注釈機能がメインでしたが、個別に校正の出し戻しをする必要があり、同じ箇所に修正指示が入る、同じ箇所に異なる指示が入ることもありました。

Acrobatの共有機能を使ってDocument Cloud上にアップロードすれば、発行されたURLを送るだけでデザインを共有できるので、重くなりがちなデザインのPDFファイルを送らずに済みますし、確認するファイルを取り違えるようなミスもなくなります。さらに外出先等でAcrobatが使える環境にいないときでも、PCやスマホさえあれば、ブラウザ上で全員が同じ原稿をチェックできるので、修正や進捗を視覚化できる。これは便利ですよね。

こうした部分のロスを減らすことができれば、そのぶんクリエイティブにしっかりと時間をかけることができる。そうした点でも、コミュニケーションをクラウド上で一元管理するメリットは大きいと感じています」

ステップ1

1. Illustratorを使ってCreative Cloudライブラリからレイアウト素材を配置。デザインを進めます

ステップ2

2. 「グリフにスナップ」を活用して、文字とオブジェクトを正確に合わせます

ステップ3

3. 完成したレイアウトをPDFで書き出し、Acrobatの共有機能で関係者に展開

Adobe Acrobat Pro

正確、確実なコミュニケーションができるAcrobatの注釈出力プレビュー

 

正確、確実なコミュニケーションができるAcrobatの注釈&出力プレビュー

「Acrobatはクライアントへのデザインチェックや校正、印刷入稿前のデータチェックに使用しています。

クライアントからのフィードバックはPDFへの注釈がメインですが、手書きの修正指示がスキャンされて届いていたころは、文字が読み取れない、白飛びしている、途中で切れるなど、正確なコミュニケーションが行なえないケースがありました。それに対して、Acrobatの注釈ならテキストをコピーできるぶん、修正ミスが発生しにくいですし、複数のフィードバックを統合することも簡単。クラウド化によって、1つのデータに対して全員がチェックできればさらにミスを減らすことができます。デザイン・制作の立場から見れば、チェックや校正はデジタル化、クラウド化したほうが圧倒的に効率的ですね。

『印刷工程』にある『出力プレビュー』は、CMYKそれぞれの版の状態を確認して、目的の印刷ができるデータになっているかを見るために使っています。Illustratorにも『分版プレビュー』がありますが、Acrobatはカーソルを合わせるだけでCMYK値も確認できるのが便利なポイント。入稿前のデータチェックには欠かせない便利な機能です」

illustrator

手書きロゴデータもすばやくクリーニング!Illustratorの「パスの単純化」

 

手書きロゴデータもすばやくクリーニング!Illustratorの「パスの単純化」

「デザインに手書きのロゴを使うときに、よく使うのが『画像トレース』と『パスの単純化』です。

『画像トレース』はバージョンを上がるごとに精度が上がっていますが、そのぶんアンカーポイントは多くなりがちです。そこで『パスの単純化』を使って、プレビューを見ながらアンカーポイントを整理して、手書きロゴのベースになるパスを作っています。

最近のIllustratorは、文字周りが非常に強化されていますよね。

テキストサイズを“文字の高さ”を基準に指定できるのは便利な機能で、サイズの指定方法を『仮想ボディ』から『平均字面』『キャップハイト』に変えて、同じサイズ指定をするだけで、和文と欧文の見た目の大きさを簡単に揃えられるようになりました。

『グリフにスナップ』も感動した機能で、たとえばこれまでオブジェクトとテキストを正確に揃えたいとき、テキストにはスナップするポイントがベースラインしかありませんでしたが、『グリフの境界』へのスナップをオンにしておけば、テキストをアウトラインしなくても、文字のかたちに対して正確にスナップできるようになりました」

Illustrator、Acrobatをはじめとするアプリから、フォントやストレージなどのサービスまでそろうCreative Cloudをぜひご検討ください。

 

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西脇和馬

今市達也

タイポグラフィックデザイナー

東京造形大学造形学部デザイン学科グラフィックデザイン専攻領域卒業。MIMIGURI(旧DONGURI)所属。タイポグラフィを軸としたCI設計やグラフィックデザインを制作。ブランディングに特化したオリジナルフォント開発事業『katakata branding』を運営。日本タイポグラフィ年鑑入選など。著書に『LETTER SPACING 感覚の分解』がある。

Twitter (@ima_collection)

 

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