特徴を引き立たせるカリカチュア(似顔絵)
友人や有名人にそっくりなイラストを描いてみましょう。顔の特徴を強調する、小道具を使うといった手法によって、似顔絵をさらに引き立たせる方法を学びましょう。
その人のユニークな特徴を誇張して表現
カリカチュア(似顔絵)は、政治家の顔や、街角で変わったお土産として大げさに人物画を描くときに使われる、イラストレーションのスタイルのひとつです。しかし、ただ鼻を大きく描くというような、顔の特徴を誇張して描くだけがカリカチュアではありません。「似顔絵は、単に顔の外見を描くのではなく、その人の真の個性と性格を表すものです」(カリカチュアアーティスト/グレッグ•ビゴニさん)写真からでも、実際に人をモデルにした場合でも、人の個性的な特徴を描くということは、人の個性をイラストにするための大変よい練習となります。
カリカチュアに必要なこと
カリカチュアや似顔絵のドローイングには、モデルをよく理解する必要があります。このような漫画的要素のあるカリカチュアに重要な要素を理解することは、チュートリアルに沿って作業するよりも大切なことです。「その人をよく知っていれば、もっとかんたんに描けますよ」と、ビゴニさんが言うように、その人の外見より、その人のどんな点が興味深いのかを考えるようにしましょう。描く対象が知らない人の場合は、その人にいろいろな質問をしてみましょう。
何がユニークなのか
それぞれの顔の特徴を見ましょう。もしかしたら、この人の鼻は短いかもしれないと思ったら、カリカチュアドローイングではそれを誇張することができます。モデルの顔の空間を表すことも大切です。「つまりはバランスなのです。誰もがみんな、ほかの人とは顔のバランスが異なりますからね」(イラストレーター・漫画家/ジョナサン•ケースさん)顔の特徴だけでなく、その人ならではのユニークな点にも注目しましょう。もし、その人がよく肩をすくめるなら、それを表しましょう。
大胆に
あざやかな色、大胆な線で描きましょう。もし誰かほかの人のために描くのなら、要求されたこと以上のことを表現しましょう。「友人から“彼女とご主人を操り人形として描いてほしい”と頼まれたことがあります。そこで私は『ではあなたたちが、その操り人形を操っているように描きましょうか?』と言ったのです」(ビゴニさん)
オーディエンスの情報
すばらしいカリカチュア、似顔絵は、おもしろおかしくて、個人をよく表しています。でも、その人をバカにしたり傷つけたりすることがないよう、気をつけましょう。「誇張するときに一線を超えてはいけません。ある人の特徴を誇張する場合、もしかしたらそれは、その人が気にしている部分かもしれないのですから」(イラストレーター・ドローイングインストラクター/ルーカス•エリオットさん)
顔の要素をマスターする
カリカチュアや似顔絵のドローイングスキルを追求するうえで、漫画のような顔を描くことは確かに重要なステップです。特に目、鼻、口は、個性を表す重要な部分ですが、顔をドローイングする場合、バランスと間隔を適切に取るということは、個々のパーツを表現するのと同じくらい重要です。顔に線を引き、かんたんな図形を描いて、目、鼻、口がどの位置に来るかを決めましょう。個性ある頭のかたちも考慮に入れましょう。
鼻をスケッチするときのアドバイス
人間の顔を誇張する場合、鼻を活かすといろいろなことができます。「僕は鼻から描き始めることが多いですね。最初に顔のかたちを把握し、鉛筆で軽くどんなかたちかを描きます。そして鼻を描くのです。そうすると、すべてがバランスよく描けるからです」(ビゴニさん)漫画的に描く前に、鼻のドローイングテクニックを練習しましょう。
目の動きのヒント
いろいろな目の描きかたを練習したら、それを応用してドローイングに個性を持たせましょう。「ドローイングで、モデルが何に反応するかを考えてみてください。それは顔のほかのどの部分よりも、目に現れますよ」(ビゴニさん)カリカチュアや似顔絵では、目のかたち、まつげ、眉毛などのほかに、視線をどこに持ってくるかで、いろいろな工夫ができます。
口のドローイングのヒント
口の動きとともに、唇のかたちも考えてみましょう。この人は叫んでいるのでしょうか? 口を尖らせているのでしょうか? それとも微笑んでいるのでしょうか? 口は目と同じくらいに表情豊かです。「表情は重要です。特にその人自身を表す個性的な表情や、何かに反応するときの表情は重要ですね」(ビゴニさん)
バランスがすべて
顔の特徴をすべて描いたのにどこか似ていない。そのような場合、空間の取りかたとバランスがよくないのかもしれません。「顔の部分を消したり、位置をずらしたりしたほうが、その部分のかたちを描くことより、その人の顔の空間をよく表せると思います」(ビゴニさん)こうした調整にはAdobe Fresco を使ったデジタルドローイングが役に立つでしょう。別々のレイヤーでそれぞれの顔の部分を描けば、納得するまでサイズや位置を変えることができるからです。
体や小道具を使って個性を捉える
顔の話だけで留まってはいけません。体の動きや小道具をドローイングに加えることは、カリカチュアや印象深い似顔絵に重要な要素です。
体も顔と同じくらいユニーク
カリカチュアや似顔絵では、顔と同じくらい、体の動きも重要です。人の体のユニークな点や振る舞いを表現することは、そのカリカチュア、似顔絵を引き立たせるための重要なポイントなのです。ビゴニさんは、あるカップルの結婚式の招待状のために似顔絵を描いたとき、2人を骸骨として描きました。「あれは私にとって大切な作品なのです。というのは、似顔絵の本人が『骸骨なのに私みたいに見えるわ』と言ってくれたからです」(ビゴニさん)その人の体の動きや、よく取りそうな動作をイラストにしてみましょう。「そのときタトゥーが正確に描けていると、みんな最高に喜びますね」(ビゴニさん)
個性を表す小道具
描きたい人のこと思い浮かべて、どんなバックグラウンドや小道具を使えばドローイングが引き立つか考えましょう。その人がどんなことをするか、何を食べ、飲み、何を読むか考えて描きましょう。その人が実際に着ている服を描きましょう。「何を着ているかだけでなく、どのように着ているかを考えましょう。もうひとつ、私がいつもするのは、その人のペットを絵に加えることです。ときに『似顔絵に天使の輪と翼をつけた、死んでしまったペットの猫を加えてもらえますか』と頼まれることもあります」(ビゴニさん)
個性的なスタイルを作る
街角やイベントでカリカチュアや似顔絵を描くときはスピードが要求されます。しかし、自分の才能を磨く一番いい方法はとにかく時間をかけることです。仮に一枚の作品を完成させる時間が遅くても、心配する必要はありません。うまく描けなかったら、最初からやり直しましょう。「ときには描きすぎて、消さなければいけないこともありますし、不十分すぎて消すこともあります。その人にとって、一番いいバランスを見つけることが大切なのです。やり直しを恐れてはいけません」(ビゴニさん)
有名人で練習
自分の好きなジャンルやスポーツのチームから有名人を選んで、ドローイングの練習をしましょう。そのチームをよく知っている、またはその人の仕草をよく知っているなどがあれば、描くときにかならず役立つでしょう。有名人なら写真やオンラインのイメージもたくさんあります。
デジタルスケッチブック
Adobe Fresco や Adobe Photoshop を開いて、別々のレイヤーで似顔絵のさまざまな要素をスケッチしてみましょう。この方法なら紙とインクをムダにすることなく、顔のパーツや小道具を描く練習ができます。
Adobe Fresco の便利なチュートリアル
Adobe Fresco で基本的なドローイングを学び、デジタルドローイングを制作してみましょう。そのあとで、コミックスタイルの肖像画にトライしてみましょう。さまざまな描きかた、表現方法に触れることで、新しいテクニックを学ぶことができるでしょう。
提供元
グレッグ•ビゴニ、ジョナサン•ケース、ルーカス•エリオット
その他のおすすめ...
プロのイラストレーターのアドバイスに従って絵を練習し、スキルを磨きましょう。
目の描き方
目の描き方のコツを学んで、感情を表す目を上手く描いてみましょう。