ダイナミックポーズの描き方
動きのあるポーズは、人体デッサンに命とエネルギーを吹き込みます。このガイドでキャラクターに動きをつけ生き生きした表現にする方法を学びましょう
ダイナミックポーズとは?
躍動感のあるポーズとは、対象となっている人体の動きを表しているポーズです。じっとして動いていない人体デッサンより、ダイナミックポーズの人体画は体の動きをよく表します。例えば跳躍する、踊る、走る、など。キャラクターアートでもアニメでも漫画でも、または人体をもっとうまくスケッチしたいだけでも、ページから飛び出るようなポーズを描いて新しいスキルを身につけましょう。
解剖学が肝心
人体デッサン(人体をスケッチする練習。)に慣れてきましたら、次のチャンレンジに挑戦しましょう。モデルを椅子から起こして、アクションの世界に連れて行ってください。始める前にぜひ覚えておきたいことが2つほどあります。
効果的に人を描くのに必要となる最初のツールは、解剖学の基本的な知識です。解剖学の知識があれば、人体のプロポーションや筋肉の動きをより正確に描くことができます。スケッチする時に、人の動きを自然な動きの中で描くには、これが最良の方法です。解剖学の本をいつも持ち歩く必要はありません。どのアーティストにとっても、人体の構造をマスターするのは、結局一生かかることだからです。しかし自分の筋肉群を観察し、参考写真を持っていれば、役に立つのは間違いありません。
次に、人体デッサンの基礎をしっかり身につけておくと、ダイナミックポーズを描くのに大変役立ちます。基本的な人体デッサンができると、解剖学的なデッサンのスキルをまず人体の形状に当てはめ、そしてさらに複雑でダイナミックポーズを描くのに役立ちます。しかし、デッサンの能力と経験に関係なく、アクションのあるポーズというのは初心者でも経験のあるアーティストでも、常に難しい課題となっています。
遠近法を上達させる
「ダイナミックポーズを見せるにはこのようにしましょう。平面上で自分の目の位置から描くこともできますが、それに遠近法を加え、カメラアングルで少し誇張して描くと絵が一層良く見えます。」とメーガン・リーベンスさんは語ります。例えば、スーパーヒーローがカメラに向かって飛んでくるのを想像してください。「このキャラクターがまっすぐ飛んでいるようにも描けますが、カメラを下に持ってきてみてください。もしスーパーマンが自分に向かって飛んできて、さらにその上に向かって飛んで行った方がずっとかっこいいですよね」とリーベンスさんは説明します。
アクションのラインを追う
アクションラインまたはエネルギーラインは、人体がその動きの中で現れる基本的な軌道です。これをポーズの基本ラインとして考えてください。絵を描く時にエネルギーラインを考えると、流れのある自然な動きの絵になります。「構成材料を構築するよりも、動きとエネルギーの流れを考えてください。」とリーベンスさんは説明します。体の部分が離れ離れになっていると動きは出ません。絵の中の人体の部分も同じことです。
アクションラインを最初に決め、そのラインに沿って人体を描いていきましょう。「まず棒線画で人体を描き、体の中のエネルギーの動きをつかみ、そして解剖学的に人体を形作るのです。」とリーベンスさんは言います。
まっすぐな線は避ける。「常に丸みを帯びた線を描きましょう。まっすぐな線で人体を描くと、生気が無くてぎこちない人間になってしまいます。」とアーティストのシーラ・ラーソンさんは語ります。
実際の人体を描く
実際の人体を見ながら描くと、もっとリアルな絵になります。写真はとても良い参考となります。BehanceやAdobe Stockを使って検索すれば、いつもと違う新しいポーズをスケッチできます。探しているポーズが無い時は、自分で参考画像を作ることができます。「パフォーマンスの好きな友達がいましたら、極端な近距離や低位置、高位置のカメラアングルで彼らの写真を撮ってみましょう。遠近法の中で体がどのように遠のき、近づくかよく分かります。」とリーベンスさんは勧めています。近距離撮影は被写界深度と関係し、被写体の1部がカメラに近づくと、目に見える被写体のプロポーションが変わってきます。このように写真に写った自然の歪みを利用して、後退していくラインをもっとビジュアルに、魅力的に描いてみましょう。
もし写真を撮る人が周りにいなければ、自分でポーズを取って自撮りをしてみましょう。こうすれば人体のアクションラインを、一層良く感じ取ることができます。写真は便利ですが、アクションはやはり静止したままなので、動きを人に伝えるという大変重要な要素が失われることがあります。「でも参考写真に頼りすぎないように。」とリーベンスさんはアドバイスします。ある時点で、動きの1番肝心な部分を自分自信の絵として描かなければいけません。」その動きを自分で真似してみるとそれができます。ちょうど、アニメーターが画像を動かす時に自分でその動きをしてみるのと同じです。「自分でできる限り上手にそのポーズを取ってみましょう。多少、変に見えても気にしないように。」とリーベンスさんは言います。
これから始める人のための描画のチュートリアルとコツ
ポーズを素早く描く
制限時間内に素早くポーズを描く練習をすると、描くスピードがより早くなり、動きのあるダイナミックポーズを描くスキルが向上します。アーティストのトゥーセンスレスさんによるアクションポーズの事例がAdobe Frescoに掲載されています。参考にしてください。
キャラクターデザインの基本を学ぶ
イラストレーターのサム・ピーターソンさんが3Dの物体をレンダリングし、人間の形をどのように捉えるか見せてくれますので、一緒にやってみましょう。ピーターソンさんはスケッチした棒線画から完成品にまで持っていきます。デジタルドローイングとペインティングのコツを学んでください。
このステップを踏んだチュートリアルでは、イラストレーターのローガン・ファーバーさんが、コミックアートのブラックパンサーを最初から最後まで描いていきます。コミックブックは、キャラクターが近距離アングルで戦っているシーンなど、アクションのあるかっこいいポーズが満載されています。
最後のコツ
プロの作品を参考にしましょう。映画、テレビゲーム、コミックブックなどからコンセプトを吸収しましょう。キャラクターデザインの素晴らしい参考例に触れることができます。例えば、ディズニー映画のどのコマからも、キャラクターのダイナミックなアクションを学ぶことができます。Googleでお気に入りのキャラクターを検索してみれば、次に描きたいポーズの参考になるかもしれません。
失敗をおそれないように。スケッチブックかデジタルペンを出して、素早くスケッチをする練習を始めましょう。「筋肉の記憶なんです」とリーベンスさんは言います。「自転車の練習と同じです。練習すればするほど自分がその動きを覚え、バラバラになっていたものがまとまりのあるものになってきます。」動きが自分の手に刷り込まれるように集中して練習しましょう。
ダイナミックポーズとは、人体の形を色々な動きを通して探求することです。人体に動きを加えてスケッチし、失敗してもがっかりしないようにしましょう。期待していないことが起きることを承知しておいてください。結局、リアルな動きを描くということは、正確に描くより動きのある絵を描くということなのです。
寄稿
メーガン・リーベンス、シーラ・ラーソン
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