写真技術の初めのころから、アーティストは写真に色を付けてきました。最新のツールを使用して古い写真を色付けする方法を学びましょう。

なぜ色を付けるのか

人は写真に写実性を求めます。光と影だけでなく、フルカラーで人生を捉えたいと思っています。「色付きで何かを見ることには間違いなく即時性があります。それは感情的な反応を引き出し、人は以前にはありえなかった反応をします。」と、プロの写真カラリスト、Jordan Lloydさんは言います。

19世紀には、ほとんどの写真が単色であったため、多くの場合、人々は純粋に審美的な理由から手で色を付けました。炉棚の上に飾ると、色付きの写真はよく映えました。このようなわけで、現代の芸術家も写真に色を付けます。アーティストであり教師でもあるTina Tryforosさんは、デジタル化する前のキャリアの早い段階で写真の着色を始めました。手作業でペイントし、色も限られていましたが、そのシンプルさが好きだと言います。「正確に色を付けるというよりも、より絵画的でノスタルジックな雰囲気が良いのです。」と彼女は言います。

写真家のKenton Waltzさんは、写真に含める色と含めない色を選べるので、白黒写真の色付けが大好きです。「写真の優雅さは色のシンプルさです。」と彼は言います。「明暗の質を堪能できます。」

画像を色付けする最初のステップ

色付けしたい理由は違っても、基本は同じです。

1. 新しいレイヤーを作成する

ソース画像に手を加える前に新しいレイヤーを作成する習慣を身につけてください。そうすれば、常にオリジナルが残ります。その後、レイヤーマスクを使用して画像のすべての部分に適切な色を加えます。

2. ほこりや傷を取り除く

古い写真を使用している場合、最初にすべきことは画像のクリーンアップです。これは、小さな点がなくなるまで、半径設定と2階調化設定をわずかに調整することでかんたんにできます。それでも取り除けない場合は、レイヤーマスクを作成して、残っている傷部分の上からペイントできます。

3.色を中和し、コントラストを調整する

写真がセピア調の場合、白黒調整レイヤーを追加して色を中和し、レベル調整レイヤーでコントラストを補正します。

色付けテクニックの例

オプションA：単色調整レイヤーでブラシを使用

この方法では、色付けする写真の全てに単色調整レイヤーが適用されます。ブレンドモードを[色]に変更して、元の画像の詳細が加えられた色を通して見えるようにします。レイヤーマスクを黒に反転し、ブラシを使用して、画像の色付けしたい部分を塗りつぶします。

オプションB：単色レイヤーとともに[クイック選択]ツールを使用

新しいレイヤーを作成したら、[クイック選択]ツールを使用して、色を付けたい領域の輪郭を描きます。誤って領域を選択してしまったら、ズームインして修正する必要がある場合があります。[エッジ強化(Refine Edge)]ボタンをクリックし選択領域のエッジを滑らかにします。([エッジ強化]ツールは、髪の毛などの細かいディテールの色付けにも最適です。)次に、新しい単色塗りつぶしレイヤーを追加し、色を選択して、ブレンドモードを[色]に設定します。それから満足のいく仕上りになるまで色を調整します。画像内の各要素に対してこのプロセスを繰り返します。[クイックマスク]モードを使用すると、大きな選択範囲の中で色付けしたくない領域（ボタンや目など）をすばやく削除できます。

オプションC：カーブ調整レイヤーを使用

カーブ調整レイヤーを作成して色を追加することもできます。シアン、マゼンタ、イエローの曲線を調整して目的の色を見つけ、ブラシを使用して色付けします。色ごとに新しいレイヤーを作成してください。

始める前のヒント

キーボードショートカットを使用

Adobe Photoshopのブラシおよび色付けツール用キーボードショートカットを覚えて時間を節約しましょう。

グラフィックタブレットを使用

すべてのアーティストには好みのスタイルがあります。Tryforosさんは初めからずっとトラックパッドを使用してします。これまでの経験から、大画面は使いやすいと感じています。Lloydさんは大量の色付けを行う場合に、タブレットの使用を勧めています。写真家のMartin Eveningさんが、「ペンでの手作業を経験したら、マウスの使用は、ボクシンググローブを付けて絵を描くようなものだ。」と書いたのは有名です。

調査

写真家が実際にファインダーを通して見た色について根拠のある推測をしたい場合は、調査しましょう。Jordan Lloydさんは、歴史を扱った写真について、ソフトドリンクの歴史からエジプト学、1920年から1950年の大衆文学まで、あらゆることについて専門家と相談しています。色の推測についてLloydさんは次のように述べています。「おかしいなと思う時は、おそらくおかしいのです。ウィンストン・チャーチルは紫色のジャケットを着ていませんでした。」

根気強く取り組む

色付けは、時間と労力を要するプロセスです。肌のトーンをリアルに表現することは特に困難です。ピンク、オレンジ、黄色、または青の微妙なレイヤーを加えることが必要かもしれません。専門家は、類似の肌のトーンのカラー写真を見つけて参照することを勧めています。

写真を色付けする方法を学ぶのに便利な豊富なオンラインチュートリアルがあります。「実際、参入障壁は低いです。」とLloydさんは言います。「着色に合う写真を探し、テクニックに従ってください。かなり良い結果が得られます。そして何よりも、実験が大事です。」

どの時点で完成といえるのでしょうか。「細かい部分まですべて埋まった時です。」とLloydさんは言います。