勝負は準備で決まる。メディアが取り上げたくなるプレスリリースの書き方
新商品やイベントなどの情報がメディアに取り上げられるきっかけの一つが、メディアへ送る「プレスリリース」です。
本記事では、プレスリリース制作から発表までの過程をはじめ、メディアに取り上げられやすく効果的なプレスリリースを作るためのコツをご紹介します。この機会に、「読み手に響く効果的なプレスリリース」について考えてみませんか?
プレスリリースは、「メディアへのラブレター」?
プレスリリースは、「企業や団体が新しい商品やサービスに関する情報を、報道機関・メディアへ知らせるために用いられる文書のこと。
プレスリリースでよく扱われる情報
・新商品やサービスの発売・発表
・新店のオープン
・開催予定のイベント
・独自で行ったリサーチ
・業務提携
など
プレスリリースには、これらの情報をメディア関係者の目に止まる形で発信し、さらに所属するメディアで取り上げたいと思われるようなストーリーの見せ方が求められます。PRの専門家である工藤まおりさんは、「プレスリリースはラブレターだと思い書くことが大切です」と例えるほどです。
プレスリリースを出すまでの4つの流れ
次に、そんな「良いプレスリリース」はどう作っていけばいいのか、詳しく考えていきます。プレスリリースの着手からメディアへの発表までには、大きく下記の4ステップがあります。
1、ヒアリング・ファクト収集
2、情報を送るメディアの選定・リストアップ
3、プレスリリース作成
4、メディアへ配布
STEP1:ヒアリング・ファクト収集
業務範囲にもよりますが、リリース直前になって、改めて商品やサービスの詳細を知るケースも多いはず。社内でどのような動きがあるのか、普段から目を配っておきましょう。
プレスリリースで取り上げる予定の情報が決まれば、各担当者へ詳細をヒアリングします。外部の人が知らない情報を届けるためにも、商品やサービスができあがるまでの背景や過程をファクトベースで関係者へ深くヒアリングしていきましょう。
一般的に内容にもよりますが、プレスリリースの制作にかかる期間の目安は、
・新商品発表の場合は約1カ月
・商品や社内の歴史などより詳細な情報が必要な場合には2〜3カ月
と言われています。
さらに、他社との提携などの共同リリースの場合には、会社間での調整の時間も見積もる必要があります。早めに動き出しましょう。
STEP2:情報を送るメディアの選定・リストアップ
「どのような体裁でメディアに掲載されたいか?」「一番伝えたい情報が最も魅力的に見えるのはどのメディアか?」を検討しながら、プレスリリースを送るメディア候補をリストアップします。
メディアリストを作るときは、過去にやりとりのあるメディア、記者だけではなく、
・過去の新聞・雑誌記事のデータベース(日経テレコンなど)で調べる
・記者自身が発信しているSNSを確認する
・検索エンジンでキーワードを入れて近いテーマを担当する記者を探す
など、さまざまな方法を用います。
STEP3:プレスリリースを作成
これまでに集めた情報を元に、メディアで掲載しやすいイメージに沿う切り口を考え、ニュースには欠かせない「5W1H」を入れながら、プレスリリースの作成を進めます。リサーチしながら書くため、長いと丸1日かかりますが、非常に重要な作業です。
プレスリリースに絶対に書くべき内容
プレスリリースを書くうえで、以下の情報を必ず書くようにしてください。
・タイトル
・リード文
・本文
・メディアへ転載可能なサイズの画像・写真
・リリース内容についての問い合わせ先
・会社概要
特に、プレスリリースの情報のみで速報や新商品紹介の記事を制作するメディアもあります。その場合、これらの情報が正確に書かれていることは非常に重要です。
リード文には5W1Hを簡潔にまとめる
多くの人に読んでもらうリリースにするためには、正確な情報を盛り込むことが必要です。そのために欠かせない要素が5W1Hです。この内容を入れ込むことで、誰が読んでも同じように理解できるニュースとなります。
・Who(だれが)
・When(いつ)
・Where(どこで)
・What(なにを)
・Why(なぜ)
・How(どのように)
もし5W1Hが欠けると、不明確な情報があるとみなされ、メディアに取り上げられにくくなります。また追加確認の手間があると思われたら、取り上げるニュースの候補から外れてしまうかもしれません。それだけ、5W1Hは大事な要素なのです。
プレスリリースに取り入れたい要素
メディアには毎日何百通ものリリースが送られてきます。その中から記者に読まれたり、取材されたりするためには、読者の目を引きそうな切り口を企業側から提案する必要があるのです。
特に読者が興味を持ちやすいものとして、今までになかったもの(新規性)やこの季節だから欲しい物(季節性)、今話題になっているもの(社会性)、世の中の人が考えつかなそうなもの(意外性)などが挙げられます。
例えばそれぞれの切り口は、次のように使われます。
・新規性:「新たな特許を使った〇〇を開発」「世の中にはまだなかった△△」
・季節性: 「夏に限定発売する新型の〇〇」「今年のバレンタインは△△で決まり!」
・意外性:「ビニールだと思ったら紙でできている△△」「重いという常識を覆した〇〇製品」
・社会性:「新型コロナウイルス」「在宅勤務」などの時事ネタ
など
このように独自の切り口を提示することによって、それだけでメディアから目を引くリリースに早変わりします。メディアは常に自身のテーマにあうニュースを探しているので、受け取る側の視点に立ってプレスリリースの切り口を考えていきましょう。
STEP4:メディアへプレスリリースを配信
プレスリリースを送る方法はいくつもあります。その一つが、ネット上にプレスリリースを投稿できるプレスリリースツールです。便利ではありますが、大量の情報が届くため、メディアから見逃されやすいという面も。
そのため、各メディアの担当者の目に止まりやすいように個別でのメール、郵送、FAXなども使って、配信を行います。コネクションがないメディアの場合、お問い合わせホームからコンタクトを取ることも。
送る件数や送り方にも、さまざまな工夫の余地があると工藤さんは言います。
「プレスリリースを送るときは、ニュースの内容と媒体の相性を踏まえて優先順位を考え、特に優先度が高い人には個別に案内文章を作成しますね。初めて連絡する場合でも、これまでの記事をしっかり読んだ上で連絡すれば、50%ぐらいの確率で返信がもらえると感じています。リリースごとに100件ほどのメディアへ案内を送り、最終的にお返事がいただけたり取材に向けたアクションへ結びつくのは、全体の10%くらいでしょうか」(工藤さん)
リリースタイミングは、週末前後等忙しくなる月曜日と金曜日を避けたほうがいいでしょう。また、新聞・雑誌・Webなど、メディアによって、求める情報を得たいタイミングと鮮度が異なるため注意が必要です。もし迷ったら、取り上げてほしいメディアの記者と仲良くなり、相談することをおすすめします。
読まれるプレスリリースを作る5つのコツ
プレスリリースの基本を理解したら、メディア担当者が思わず読みたくなるようなアレンジも取り入れてみましょう。どれもすぐに実践できる方法です。
コツ1:リリースにもっとも求められるのは「社会性」
メディアに掲載されるプレスリリースを目指すなら、切り口に社会性を記事に持たせることを優先しましょう。なぜなら、意外性や新規性、季節性は、メディアがその情報を求めるタイミングでリリースを提供できないと、掲載に結びつきにくいからです。そのため、自社の取り組みを把握しつつ、社会情勢や世間の関心をキャッチすることがリリース担当者には求められます。
「『この商品が社会にどのような形で貢献するのか』『消費者にどのよう影響を与えるのか』などを広報が考え、プレスリリースに盛り込む必要があります。自社の必要性を社会へ訴えるためにも、日頃から会社の取り組みをまとめておくと考えやすくなるでしょう」(工藤さん)
また、会社がリリースしたい情報とメディアが取り上げたいテーマがマッチしないこともよくあります。そのため、必要に応じて世間が関心のあるテーマでの切り口を作れるように、社内提案も検討してみてください。
コツ2:読まれるリリースかは「ストーリー」で決まる
プレスリリースが読まれるかどうかのキーとなるのは、「ストーリー」です。なぜこのプロダクトが誕生したのかなどの話を通し、メディア担当者が「読み込んでしまうストーリー」を書けることが理想です。そのためにも、記事を書く前のヒアリング・メディアへの見せ方をどこまで固めるかがポイントに。
「見よう見まねで書くのではなく、あなたが誰に何を伝えたいのかをぜひ考えてください。イメージはラブレターです。もしあなたが、ひな形どおりの定型文をもらったとして、恋心はゆさぶられますか。大切なのは相手(メディア)にどのように自分をアピールしたいかを、相手に伝わる文章で書き表すこと。そのカギとなるのがストーリー性をもったメッセージが書けるかどうかなんです」(工藤さん)
またプレスリリース初心者だと、過去の自社リリースや類似する他社内容を真似て制作することもあると思います。しかしそれでは、ストーリー性のない模倣となってしまう可能性があるため、要注意です。
コツ3:取り上げられ方を意識した「言葉のフック」
相手のメディアが取り上げやすいように、タイトルにフックとなる言葉を散りばめることが必要です。「世界初」「〇〇なのに△△」「〇〇すぎる」など、情報の中で、一番おもしろいワードを出すことがポイントになります。ただし、世界初や日本一などの言葉を掲載する場合には、きちんと関係者へのヒアリングやファクトチェックを行ってから、記載するようにしましょう。
また掲載メディアによって、タイトルを使い分けることも有用です。先方が好む見せ方に応じて、2〜3案を持っておくと使い分けができます。これにより、同じ内容のリリースでも、異なる切り口で社会へ発信できます。
もし専門用語が多いリリースの場合には、言葉を噛み砕いたり、メディア関係者が理解しやすいように背景情報や解説を書き足したりすると読まれやすくなります。
コツ4:イラストや写真を使って、誰でも分かるリリースに
文章で伝えることばかりに頭がいってしまいがちですが、製品写真やイラストなどを使うことで、より分かりやすい内容になります。
関係者から提供された資料をそのまま載せるのではなく、Adobe Photoshopでレタッチをしたり、内容に沿うようなイラストをAdobe Illustratorで作成したりするのも良いでしょう。
また、共同リリースで複数の会社のロゴが並ぶ画像を作る場合、ついつい使い慣れたPowerPointをつかってしまうと画像が荒くなりがちです。そんなときにもPhotoshopはおすすめです。
適切なイメージがない場合には、商用利用が可能な画像をAdobe Stockのようなストックフォトサービスから探してきても良いかもしれません。
社内デザイナーに制作を依頼するケースも多いと思いますが、緊急時の差し替えなど、突発の事態に備える意味でも広報担当者がデザインツールを使えるようになっておくのはおすすめです。
コツ5:リリース内容と企業ブランドをマッチさせる
書きたいことブランドイメージがマッチしたリリースほど、メディアを引きつけます。メディアには1日に100件ほど、ひっきりなしに各企業から連絡が寄せられます。その中で、どうしたら手に取ってもらえるかからが重要なのです。
例えば、自社の製品を使ってリリースを書いてメディアに送付したり、ブランドカラーを用いた封筒や便箋で、受取手の興味を誘ったりと、各社工夫を凝らしています。
Adobe InDesignを使い、ブランドカラーや製品をイメージするオリジナルの便箋や封筒を作ると、それだけで相手の関心を誘うのではないでしょうか。
「情報をメディアへ届けるまで」が広報の役割
プレスリリースは、書き方やその内容ひとつで、メディアでの取り上げ方が大きく変わります。誰が見ても分かりやすい内容にするためにも、「作成までの入念な準備」「読みやすい言葉やキャッチーなタイトル」など、ぜひこの機会に意識してはいかがでしょうか。Adobe製品を使い、みんなに伝わるリリースに仕上げられれば、きっとメディアからの見方も変わるはずです。
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取材協力:工藤まおり(くどう・まおり)
株式会社パスリー創業者。フリーランスとして広報・PRを複数社で担当。また、ライターとして夕刊フジ、BLOGOSにて連載中。
リクルートグループ、株式会社TENGAを経て、現在は会社経営とフリーの広報・PRとして活動中。
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(執筆:スギモトアイ 編集:ノオト)
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