なぜPOP広告が必要なの? 伝わる「POP広告」を作るための手順とコツ
飲食店や小売店の店頭でよく目にするPOP広告。メニューや商品の魅力をより多くの顧客に伝えるためには、一体どのように書くとよいのでしょうか。手書きPOPの書き方やテクニックを解説します。
POP広告は、店頭へ足を運んだすべての顧客に向けてプロモーションができる優れた販売促進ツールです。
しかし、ただPOP広告を描いて貼るだけでは、大きな効果は期待できません。購買に繋げるためにより効果的なPOP広告を作成ためには、何が必要なのでしょうか。訴求力の高いPOP作成の書き方のコツやテクニックを解説します。
6.コツや注意点をしっかり押さえて、訴求力の高いPOP広告を作ろう
1. POP広告のメリットや導入すべき店舗とは
さまざまな種類のあるPOP広告
はりまりょうさんご提供
POP広告とは、「Point of Purchase Advertising(購買時点広告)」の略で、店頭に設置される看板をはじめ、ポスターやチラシなど顧客に購買を促すためのプロモーションツールを意味します。
その定義はとても広く、最近増加傾向にあるデジタルデバイスを使った広告から、棚に設置されているプライスカードまでさまざまなものが含まれます。
この記事では商品の近くに配置し、その良さや魅力を紙に書き込んで伝える販売促進ツールを「POP広告」と位置づけ、重要性や強み、制作方法をまとめます。
POP広告を設置する3つのメリットとは
POP広告はほかの販促物とどう違うのでしょうか? ここでは3つのメリットを整理します。
メリット1、制作コストが低い
紙にメッセージを書くタイプのPOP広告の最大のメリットは、コストの低さです。立看板やのぼりといった手作りが難しい販促物は、社外に制作を発注する必要があるため、制作コストが発生します。
それに比べ、手書きのPOP広告は、紙とペンがあれば手軽に作成できます。また新商品の入荷や期間限定、季節の催し物などにも柔軟に対応できるのも手書きPOP広告のメリット。
メリット2、顧客のニーズに合わせた訴求ができる
実際に商品を見ている現場スタッフがPOPを書くことで、顧客のニーズやターゲットに合わせた魅力や効果を訴求できます。さらに、POPを商品の近くに設置できれば、一人ひとりへの接客時間も省略でき、時間的コストの削減にも繋がります。
メリット3、顧客の店内滞在時間が伸び、購買意欲が促進される
店舗内の情報量が増えることで、顧客の店内滞在時間の延長や、商品を手に取る機会の増加など、購入するための意思決定の幅を広げる効果も期待できます。
レジ付近の商品にPOPを設置することで、会計直前に後押しされるなど、1人当たりの客単価アップにも繋がります。
POP広告を導入するといい店舗や業種とは
手書きPOP広告を作るには、何から始めるとよいのでしょうか。商品の魅力が伝わるPOP広告を作るための手順を紹介します。
STEP1:POP広告を書く商品を選ぶ
まずは、POP広告をつけたい商品を選びましょう。
特に、
・新商品
・主力商品
・季節限定品
など、売り場一押しの商品を選ぶと訴求したいポイントや魅力を見つけやすくなります。
また、自分自身が「発信したい」と思う商品を選ぶことで、よりリアルな言葉や具体例を思いつくはず。
手書きPOP広告の魅力は、書き手の情熱やモチベーションをダイレクトに反映できること。実際に書いてみたいと思える商品を選ぶことで、よりスムーズにPOPが書けるでしょう。
STEP2:情報を伝えたいターゲットを定める
POPを書く商品が決まったら、次にその商品を誰に届けたいのか、どんな人に使って欲しいのか、ターゲットを設定します。
世代や客層によって、商品の訴求ポイントや響く魅力は異なります。年齢やライフスタイル、嗜好性など、商品を必要としている人物像を明確にし、そのターゲットに合った表現やアプローチ方法を考えましょう。
STEP3:商品についての情報収集をする
商品を訴求したいターゲットが決まったら、その人物が求めている情報や利用シーン、商品の情報をリサーチします。
POP広告で最も重要なのは、正しい商品情報が書かれていることです。嘘の情報や誇大な宣伝をするのはNG。顧客の信頼を裏切らないよう、届けたい情報をしっかりと調べ、商品に対する知識や理解を深めることが大切です。
小売店や飲食店の場合は、その商品の一番の魅力や効果、味などを具体的に把握しましょう。
STEP4:手書きPOP広告を作成するために必要な道具を揃える
POPを書く商品やターゲットを決め、下調べまで終えたら、次にPOPを書くための道具をそろえます。最低限必要な物は、この2つです。
・紙
POPを書く紙にサイズ規定やルールはありません。お店の雰囲気に合わせて、色や素材、大きさを考えてみましょう。最初にPCを使って、枠や吹き出しを使ったフォーマットを量産しておくと、店内のPOPに統一感が生まれます。また、インクがにじまないかなど、ペンと紙の相性も確認しておきましょう。
・ペン
同じ黒色でも、筆ペンやクロッキー、油性ペン、色鉛筆では文字の印象や風合いが異なるので、色や太さの違う物を数本用意しておくと便利。さらに水性のペン同士を重ねて塗ると色がにじんでしまうため、油性のペンも必須。油性ペンで枠を描き、その中を水性ペンで塗ると綺麗な仕上がりになります。自分の好みに合わせて、ベストなペンを用意しましょう。
紙とペン以外にも、マスキングテープやシール、色画用紙など、簡単にアクセントをつけられるアイテムもあると見せ方の幅が広がります。
STEP5:使うペンの色や文字のバランスを考え実際に書いてみる
道具をそろえたら、実際にPOPを書きはじめましょう。
いきなりPOPを書き始めるのが不安な方は、書きたい内容をあらかじめまとめ、文章量を調節したり、本番用以外の紙で下書きをしたりと書く前にイメージを掴むのがおすすめ。
文章やキャッチコピーの作成に慣れていないときは、シンプル言葉を大きな文字で書くこともテクニックの一つです。
はりまりょうさんご提供
使用するペンも、黒と赤の2色があれば、目を引くPOPは作れます。強調したい部分を赤色で書いたり、黒色で書いた文字の下に赤色で線を引いたりするだけでも、簡単に強弱をつけることができます。
2色以上を使う場合は、ベースの色や強調するための色のほかに、関連するキーワードに同じ色を使うことで統一感を出すことができます。まずは気負わずにシンプルなPOPからチャレンジしてみましょう。
コツ1:顧客のニーズを理解する
手書きPOPは現場のスタッフと消費者のコミュニケーションのツールです。顧客のニーズをしっかりと把握し、それに応えるPOPを作りましょう。
たとえば、店頭でよく顧客から質問されることを、先回りして書いてみるのもニーズに合わせたPOPの一つです。顧客に使用感や感想などを直接ヒアリングできる機会があれば、その意見をPOPに書いてみるのもおすすめ。顧客は購入者のリアルな声やどれくらい売れているのかがわかる具体的な数字を知りたいと思っています。
ほかにも、店舗内の売れ筋をランキング形式で見せたり、受賞した実績があればその情報を書き込んだりと役に立つ情報や見せ方に工夫をしてみましょう。
コツ2:装飾やアクセントで顧客の目線をしっかりキャッチ
入店後、POPに気がついて商品を手にとってもらうためには、まずはしっかりと見てもらうことが大切です。書いたPOPを設置する際には、顧客が見やすい高さや場所、枚数のバランスを考えて展開しましょう。
文字のサイズを変えるだけでも、POPの印象は大きく変わります。伝えたいキーワードや商品名を大きく書き、補足情報となる文章を小さく書くだけでも効果的な仕上がりに。書いた文字を囲ったり、文字同士を少し重ねて書くことで立体感が出たりと簡単に装飾できます。
POPを書くのに慣れてきたら、POPに使う色のバリエーションを増やしましょう。難しいイラストやキャラクターが描けなくても、商品に関連する簡単なモチーフを描くだけでも効果的。カラーアクセントや装飾に、季節に合わせた色や商品に関連する色を使うことで、季節感や使用シチュエーション、登場するキャラクターや世界観を伝えられます。
コツ3:苦手意識を持たずにお手本を見つけて真似をしてみる
手書きPOPには、
・キャッチコピーや文章が印象的なタイプ
・イラストが印象的なタイプ
の2パターンがあります。
もちろん文章やイラスト自体のクオリティも大切ですが、POPを作る目的は、数ある商品の中から見つけてもらい消費者の購買に繋げること。
描くことへの苦手意識を持たずに、自分が描きたいPOPのお手本を見つけ真似するのが上達への近道。長文を書くのが得意ではない場合は、短文のキャッチコピーでインパクトを出しているものや、イラストを使ったPOPをお手本にしてみましょう。
特徴的な文字やイラストも、トレッシングペーパーを使って写し描きや模写で練習するのも有効です。
また、長過ぎる文章は読んでもらえない可能性もあるので、内容がコンパクトにまとめられているもの、見せ方に特徴のあるPOPを探して積極的に真似をしてみましょう。
POP広告を書くことは、アウトプットの一つです。いいアウトプットをするためには、普段の生活でアイディアのインプットをしておきましょう。電車の車内広告や本の帯など、街中にはプロが作った様々な広告があふれています。その時の旬の話題や流行語を取り入れるだけでも、トレンド感のあるキャッチーなPOPに。
さまざまな広告に触れアイディアやキーワードのストックを作っておくと、自分がPOPを描くときのヒントになります。
4. POPを作るときの3つの注意点
注意点1:ネガティブな情報を書かない
POP広告では、消費者の購買意欲を低下させるようなネガティブな情報やマイナスにイメージにつながる表現は絶対にNGです。自分の言葉で情報発信をできることがPOP広告の魅力ですが、自分ではユーモアのある表現だと思っていても、見る人によっては不快に感じることも……。
注意点2:人を傷つけたり、作品のネタバレになったりする表現を避ける
特に現代ではSNSの影響力がとても強く、店頭で展開していたPOPが撮影され、インターネット上に拡散される可能性もあります。どこで、どのような人の目に触れてもいいように、表現方法や言葉の選び方には十分に気をつけましょう。また、書籍や映画など物語を紹介する場合、あらすじや結末に関する情報の取り扱いにも注意が必要です。
注意点3:ミスを減らすために、社内でのチェック体制を
アナログな手法の手書きPOPとデジタルツールの共存は一見難しいように思いますが、それぞれの強みをうまく組み合わせることによって、手書きPOP広告の可能性を広げることができます。
また、修正が難しく、ミスが許されないという手書きPOP最大の悩みを解決してくれるのは、デジタルツールです。
例えば、Adobe Captureで文字やイラストをパーツごとにスキャンして、PCに取り込み、PhotoshopやIllustratorを使って合成。こうすれば、文字のサイズを自由に変更できたり、取り込んだパーツを立体化したりと、紙では難しかった微調整やテクニックを簡単に実現できます。取り込んだパーツは、素材として何度でも使えるので作業の効率化や、他店舗とのデータの共有も可能です。
アナログとデジタルのそれぞれのメリットを活かしたPOP広告作りにチャレンジしてみてください。
6. コツや注意点をしっかり押さえて、訴求力の高いPOP広告を作ろう
ローコストで手軽に導入できる、手書きPOP広告。最初は自分の書いたPOPが消費者の目に触れることに不安を感じることもあるかと思いますが、何枚もPOPを書く経験を積むことで、感覚やコツを掴み上達していきます。
商品の魅力を伝えるためには、おすすめポイントを顧客に向け、自信を持って発信することが大切です。コツや注意点をしっかり確認して、訴求力の高いPOPを店内に増やしていきましょう。
参考文献:井口裕子『売上が伸びる手書きPOP』(株式会社かんき出版)
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取材協力:はりまりょう
手書きPOPライター。秋葉原の書店に在籍中、オリジナリティが高くインパクトのある手書きPOP広告が社内で高く評価され、手書きPOP広告専門のライターに転身。現在までに作成したPOP広告は2万枚を超える。
(執筆:ユウミ ハイフィールド 編集:ノオト)
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